DIGITAL BUSINESS BLOG

今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

これからの卸売業−卸売業のDXに挑戦している海外のスタートアップ4選

2021年6月15日 (公開 :2021年3月26日)

新たなテクノロジーやイノベーションが開発されることで、現在多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に注目しています。デジタルトランスフォーメーションとはITやIoT、クラウドなどのテクノロジーを活用することで業務の効率化や新たなビジネスチャンスを作り出すことです。DXはどんな業界でも注目されています。本稿では、特に卸売業のDXで求められるものとは?そして実際にDXに取り組んでいるスタートアップをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

卸売業界の現状とは?

卸売業界はいまだに多くの作業が手作業で行われていることが多く、そのため人件費や作業時間など大きく手間がかかっています。例えば、商品の発注がいまだにFAX で行われており、それを受信しすべて手入力しなければいけないため事務所に常に人を張り付かせないといけないということや商品を登録するときにも商品一つ一つを手入力で登録しているため膨大な時間やスタッフが必要になるということがあります。また、それ以外にも発注管理システムと商品管理のシステムがバラバラのため、連携するためにわざわざ人が連携させているということなどがあります。

このような状況を避けるためにも卸売業者へのDXが急務となっています。DXにより期待されることとしては以下のようなことがあります。

  • ロボットやAIを活用することにより従来手作業で行っていた業務の自動化
  • システムを一元化することで業務のスピードアップ
  • 蓄積したデータを分析することで業務改善や新たなビジネスを開発

従来手作業や人が行っていた業務の効率化やAIを活用することにより今まで課題になっていた点を割り出し効率化したり、データをシームレスにつなげることにより新たな付加価値を創出したり、新たなビジネスチャンスを見つけ出すことも可能かもしれません。

 

海外の卸売業のスタートアップ4選

海外で卸売のDXとして展開しているスタートアップをご紹介します。

卸

Katoo

Katooはスペインで展開しているレストランとサプライヤーをつなぐためのソフトウェアを展開しているスタートアップです。従来レストランとサプライヤーの注文管理は、FAXや電話による応対が中心であったため、実は提供していない商品の注文が来てしまったり、ミスが発生したりしていました。しかし、Katooは、自社が提供しているカタログを提供し、同じシステム内で発注できるため余計な手間や発注ミスもおきません。また過去の顧客の発注履歴や情報も分析できるため、オペレーションの最適化や売上げアップにつなげられます。

 

iFinca

iFincaは、ブロックチェーン技術を活用することでコーヒーのサプライチェーンのデジタル化に取り組む企業です。コーヒーの消費量は年々上昇していますが、コーヒー農家の利益率は低下し続けているという課題があります。そこで、iFincaはブロックチェーンを活用することコーヒー農家と市場を結びつけ、透明性を確保した上で収益性を最大化することを目指します。テクノロジーとしては、ブロックチェーン技術を用いることでコーヒー豆の収穫から製粉、カフェ、消費者までのサプライチェーンのすべてのステップを改ざんされないように記録することにより、透明性ある情報を開示します。また、消費者は生産地、生産者の背景、収穫条件、コーヒーの品種、収穫日や過去の実績などを確認することができます。このように農家側は正当な賃金が支払われるようになり、購入側もコーヒー豆の後ろにあるストーリーを理解することで新たな価値を得ることができます。

 

ThisFish Inc.

ThisFish Inc.は、鮮魚卸売業者向けに情報をデジタル化するサービスを提供するカナダのスタートアップです。従来鮮魚の卸売は、手書きや紙媒体でのやり取りが中心だったため、ミスが発生するなど効率的ではないという問題がありました。そこでThisFish Incは、鮮魚の仕入れのデータ化から配送追跡、売上などをデジタルで一括管理できるサービスを提供しています。他の業界でも同様なサービスを提供している例もありますが、鮮魚卸売という紙媒体が未だに主流の業界で展開しているということ、また大きさや重さを図るスケーラー、センサーなどのハードウェアとのシームレスな連携ができることが特徴です。

卸売業者は、魚が捕獲できたら、スケーラー、センサーで計測したデータに、捕獲地、捕獲日などを入力することでコードが作成されます。コードを入力することによりリアルタイムで出荷状況や販売状況などを把握することができます。販売状況をデータ化することにより何処で売れているのかなどの販売戦略に活用できるデータも取得できます。また、消費者側もコードを読み込むことにより、何処でいつ捕獲されたのかという情報がクリアになるため、透明性を持って購入することも可能です。

 

Inspector Cloud

Inspector Cloudは、AIを活用して棚の状況を分析し商品管理を行えるサービスです。従来人の手や目で管理を行っていた商品管理をAIの活用で自動化、効率化し、有益な作業に人員やコストを回すことができるようになります。Inspector Cloudの技術は、画像認識と在庫管理を連携させたものです。倉庫の棚に並ぶ商品の画像を撮影することにより、画像から商品の個数などを分析し、在庫情報と照合します。それにより、効率的な発注や補充タイミングなどを分析することができます。これにより、効率的な発注、倉庫内の無駄なスペースの削減につながることで売上げアップにもつながります。HENKELやフィリップモリス、ペプシコなどの大手メーカーに導入され始めており信頼性も高いです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。卸売業は手作業や人の手を介して作業を行っていることが多いため、余計な手間やコストがかかっていたことも多いかと思います。その結果、卸売業者への負担だけでなく、生産者に正当な費用が支払われないといったことや消費者がどのような商品かよくわからず購入するなどの事態につながります。このようなことを改善するためにも今注目されているのがDXです。DXを行うことでプロセス改善や新たな付加価値につながります。様々な企業が新たなソリューションの開発を始めています。そのような新しい事例を見ながら自社でどのように適用するか考えてみてはいかがでしょうか。

Topics: デジタルトランスフォーメーション

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。