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デジタルを活用した海外のスポーツ施設最新事例の紹介

2021年3月12日 (公開 :2021年3月12日)

新型コロナウィルス以前に大きく注目され始めていたのが、リアルエンターテインメントです。その一つがスポーツです。しかし、外出自粛の影響やソーシャルディスタンスの考えから多くのスポーツやレジャー施設が新たな楽しみ方などを画策しています。本稿では、デジタルを活用して新たな顧客層の開拓や新たな楽しみ方などの策定に成功している事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 メルセデス・ベンツスタジアム
      1.            A  スタジアムアプリ
      2.            B  5Gの提供
      3.  2 SAPアリーナ
      1.   Levi’s Stadium
      1.  4 まとめ
  1.  

 

メルセデス・ベンツスタジアム

メルセデス・ベンツスタジアムは、アメリカのジョージアのアトランタにあるスタジアムです。アメフトのアトランタ・ファルコンズ、サッカーチームのアトランタ・ユナイテッドの本拠地であり、アメリカで最も視聴率が高いと言われているアメフトの頂上であるスーパーボウルの開催地でもあります。メルセデス・ベンツスタジアムは世界最先端のスタジアムともいわれており、スマートスタジアムとして注目を浴びています。

スタジアムの開閉はもちろん、デジタルビジョンの設置など様々なテクノロジーが導入されていますが、特に注目されているのがスタジアムアプリと5Gの活用です。

 

スタジアムアプリ

メルセデス・ベンツでは専用のスタジアムアプリを提供しています。スタジアムアプリを活用することで顧客の体験価値が高まったり、業務の効率化につながったりします。アプリでは、電子チケットや飲食オーダーを行うことができます。アプリで完結するため、キャッシュレスでの対応が可能で、チケットも電子チケットで余計な接触が不要なため行列をする必要もなく、ポストコロナにも対応が可能となります。また、リプレイ映像や競技の記録であるスタッツもリアルタイムで配信するため観戦環境も高められます。

 

5Gの提供

アメリカでは日本に先んじて5Gネットワークの普及がはじまっています。メルセデス・ベンツでは、2018年10月のオープン時から導入しており、新たな楽しみ方を提供する事が可能になっています。例えば、「Pose with the Pros」というサービスではデジタルサイネージ上で自分が好きな選手を選ぶと、ARで一緒に写真が撮影できるというものや、「Hype Up Chants & Hall of Heroes」というサービスでは、スマホアプリで会場外観に11m程度のバーチャル選手がARのように映し出され、タッチダウンダンスや気合い入れが見られます。また、従来テレビでしか見られなかったリアルタイムのライブスタッツがARで見られるというものもあります。このように現場での臨場感を味わいながら、テレビの中継でしか見られなかったような情報や新たなファン体験につながるような体験を提供しています。

 

SAPアリーナ

SAPアリーナはドイツのアイスホッケーチームの「アドラーマンハイム」の本拠地です。アイスホッケー以外に多目的ホールとして活用されており、年間約90万人近くが訪問します。SAPアリーナの成功理由の一つとしては多目的化に成功したことがあります。アイスホッケーの試合を開催したとしても8時間後には別のイベントが開催できるようになるなどの柔軟性、そしてビジネス利用もできるようにVIPルームやビジネスエリアなども取り揃えています。もう一点成功に導いたのがデジタルの活用です。SAPアリーナでもスタジアムアプリを提供しており、電子チケットやフードの注文が可能です。また、ファンが継続的に来ると、ディスカウントクーポンを配布したり、ポイントプログラムでポイントを集めると選手と写真が取れたりするなどファンエンゲージメント施策も実施しています。しかし、SAPアリーナの活用方法はそれだけではありません。

アプリ導入前にSAPアリーナは、アリーナ内での顧客購買行動の把握ができないという問題がありました。しかし、アプリを活用することで、どのようなデモグラフィックの顧客層がスタジアムを訪れ、ファンショップでどのような買い物をし、どのようなフードを買うのかなど客のデータを取得することができます。その結果、顧客のアップセルにつなげるためのクーポンを提供やチケッティング施策の検討など業務の改善につなげることができています。

 

Levi’s Stadium

Levi’s Stadiumはサンフランシスコ49ersの本拠地であり、アメリカサンタクララにあるスタジアムです。Levi’s Stadiumはデジタルを通じて顧客体験の向上を目指しました。従来、チケット購入、駐車場、ファンショップでの買い物、SNSなどはすべて別々のシステムで運用されていました。その結果、各システムでの個別最適しか出来ず、また全体データを分析しようとしてもすべてのデータを統合するのに時間がかかってしまうという問題がありました。そこでLevi’s Stadiumはすべてのデータを同じシステムで分析を行うことでリアルタイムに分析を行いました。その結果、チケットのスキャンデータを用いることでスタジアム内や時間帯にあわせえた人員配置を行えたり、スキャンデータと営業とを統合することで顧客が来た時に通知し、挨拶をすぐに行えるようにしたり、ゲームの進捗状況に合わせてフードの販売予測を行うなどしています。

その中でも特に特徴的なのが、Happy or Notという顧客満足度を測定するシステムです。トイレ、販売店などで簡単に計測できるシステムです。Levi’s Stadiumはこのシステムを100箇所以上設置し、システム内の課題点を抽出するのに活用しました。その結果、掃除ができていないトイレ、入場時間に時間がかかりすぎるという問題をみつけ、業務改善につなげることができました。このように常に顧客の満足度を抽出し、改善を行うこともリアルの場でも求められています。

 観客

まとめ

本稿ではスポーツのスタジアムを中心に、デジタルの活用で新たな顧客体験を作り、業務改善につなげている事例をご紹介しました。スタジアムや施設などのリアルの場においてもアプリなどを通して顧客がどのような行動をしているのかなどを把握し、改善につなげることが重要です。まずは自社の施設において顧客の行動を把握できるような施策を検討することがおすすめです。

Topics: デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。