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大学の学生募集における海外のデジタルマーケティングの事例とは?

2021年8月6日 (公開 :2020年11月2日)

少子化などの影響や学歴主義、大学には通わずに起業という選択肢が一般化してきたことなどで、海外においても大学をはじめとした教育機関は生徒の取り合いが大きな課題となってきています。そこで、本稿では、海外の教育機関のマーケティングの最新事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

海外の教育機関の現状

従来大学などの教育機関では、海外においてもパンフレットやキャンパスツアーなどを実施するなどマーケティングにはあまり力をいれていない機関が多かったものです。しかし、CourseraやEDXなどのMOOC(Massive Open Online Courses)といわれる高等教育プラットフォームが出現したりする中で、学習者にとってよりキャリアのために効率的、効果的な選択肢が増えてきています。National Student Clearinghouse Research Centerによると、4年制大学は0.9%、2年制大学は3.4%の減少と入学者が減少しているというデータもあります。このように生徒数全体の減少や競合の出現などにより、海外の大学でも大きな課題が発生している中で、新しくマーケティングに力を入れている機関が増えています。

 

教育機関のマーケティング事例

それでは、実際の教育機関のマーケティング事例をご紹介します。

大学の授業

A University of Florida

多くの教育機関も起業同様にSNSを活用したマーケティングを検討しています。特に大学の場合は、高校生を対象とするため、より若者のトレンドにあったマーケティングが求められており、InstagramやFacebookなどを活用しているところが多いです。しかし、その中でも特に進んでいるのがUniversity of Floridaです。University of Floridaでは、Tik Tokのアカウントを作成することで93,000 fansを取得しています。アカウントでは、実際のキャンパスライフの様子やスポーツの試合の様子、キャンパスの風景、おもしろ映像を提供しています。その結果、10万ハート(Facebookでのいいねのような機能)を得ています。University of FloridaのSNS担当者がいうコツは、Tik Tokが使われている方法を理解し、自分が楽しむようにコンテンツをつくることではないかとのことです。

University of Floridaの成功したきっかけは、ターゲットのいるメディアを選定しアカウントを作成したということ、またメディアの特性を理解し、メディアに合ったコンテンツを提供したことです。このように、教育機関のマーケティングにおいても自分たちのターゲットを理解し、どのようにすればメッセージが届くのかを整理することが重要です。

 

B USC(University of South California)

USC(南カリフォルニア大学)は、ロサンゼルスでの名門校で4万人近い在校生がいます。特にオンライン教育において先進的な大学であり、大学院でもオンラインサービスを提供しています。しかし、オンラインの大学院で学生を集めるのに苦労しているという一面がありました。従来、生徒獲得のためにオンライン広告を利用していましたが、オンライン広告経由ではUSCが求めている学生が集まらなかったり、途中で離脱してしまったりする層も多かったことからうまく結果が出ておらず、広告費用が大きく無駄になっているという現状がありました。

そこでマーケティング方針をアウトバウンドマーケティングであるオンライン広告からインバウンドマーケティングに変更しました。USCでは、WEBサイトのカスタマイズやターゲット分析、ファネル分析も行っていませんでした。そこでマーケティングオートメーションツールを導入し、どのようなターゲットが求められており、どのようなコンテンツが求められているのかといったことを分析したり、コンテンツを多数作成し、テストを行ったりしました。また、ランディングページやリードごとに異なるリンクを作成しフローを整理しました。その結果、ブログのトラフィックは75%アップ、入学率も2倍になりました。

このようにアウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングに変更し、コンテンツを充実したことで成功しています。成功の大きな要因は、自社のターゲットを明確にし、どのようなコンテンツを求めているのかを把握、分析し、アフターフォローのオートメーションを導入したからです。

 

C Harvard University

Harvard Universityはアメリカの名門大学の一つです。Harvard Universityはコンテンツマーケティングで大きく成功した事例の一つです。Harvard Universityが発行する雑誌、オンラインマガジンにHarvard Business Reviewというものがあり1922から発行しており、ビジネス事例から経営のケーススタディーなどの幅広い専門的な知識を紹介しています。ここでは最新の事例や考え方も紹介されているため、ビジネスや経営について学びたければまず調べるのがHarvard Business Reviewを見るというものも多くあります。その結果、Harvard Universityはビジネス・経営においてトップの大学であるというブランドイメージを確立しました。まさしく継続的にコンテンツを提供することでブランドイメージを確立した事例といえるでしょう。

 

教育機関におけるマーケティングのポイント

海外の事例をご紹介してまいりましたが、最後に教育機関におけるマーケティングのポイントをご紹介します。

授業風景

A ターゲットの理解

従来の教育機関はマーケティングを行わなくても、生徒のほうから自主的に応募して来ることが多かったかと思います。そのため、教育機関はどれだけ質の良い授業ができるのかなど、いわゆるプロダクトのクオリティーだけを検討していれば問題ありませんでした。しかし、ご紹介したように少子化などに伴い、状況は大きく変わってきています。

そこで重要となってくるのが、ターゲットの理解です。ターゲットと接触するためには普段どのようなメディアに接しているのか、どのようなコンテンツに興味があるのかなどを理解することです。ターゲットをしっかり理解した上で、それに適したコンテンツを提供することで、生徒に自分たちのことを理解してもらい、将来どのようにつながるのかを想像してもらうことなどで募集に大きく繋がります。そのため、教育機関においても、通常のマーケティングと同じようにしっかりターゲットを理解し、ターゲットが求めているコンテンツを提供することを意識しましょう。


B 継続してコンテンツを提供する

コンテンツマーケティングを行う上で、短期間ではブランドイメージの向上や顧客獲得につながるものではありません。そのため、中長期的に継続し続けることが重要です。継続することにより、ブランドイメージの上昇につながり、またSEO等のデジタルマーケティングにも大きく影響することとなります。顧客がどのようなコンテンツを求めているのか、提供したい方向性が見えてきたら継続してコンテンツを提供することを意識しましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。海外の教育機関でも国内の教育機関と同じく、生徒募集などが大きな問題になっています。そこで今後教育機関にはマーケティングが求められるようになってきています。マーケティングを進める上で重要なのは、顧客を理解し、継続して行うことです。まずは、狙っている層がどのような特徴があるのかなどを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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Topics: 集客, デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。