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海外の出版業界におけるデジタルマーケティングの成功事例とは?

2021年1月21日 (公開 :2021年1月21日)

出版業界は今、大きく変化の時代を迎えています。スマホの普及、YouTubeなどで様々なコンテンツが配信される中で、出版業界の市場規模は日本でも年々縮小しております。このような環境の中で出版業界でも従来のビジネスからの脱却を求められており、デジタル化やデジタルマーケティングの活用などが盛んになってきています。本校では、海外の出版業界のマーケティング成功事例などをご紹介します。是非参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 海外の出版業界の現状
            1.  2 Penguin Random House
            2.  3 New York Times
            1.  4 オーディオブック
        1.  5 まとめ
  1.  

 

海外の出版業界の現状

Kindleの登場などにより電子書籍が増え、多くの消費者が電子書籍に移行していると考えられます。しかし、近年アメリカやイギリスにおいては、電子書籍の売上は従来の印刷の本の売上を下回っています。例えば、Association of American Publishersのレポートによると2019年の出版売上は全部で260億円の中で、印刷の本は226億円、電子書籍は9億円程度、オーディオブックが12億円程度と言われています。

音楽や映像業界のようにデジタル化により市場が大きく変化すると思われていましたが、まだまだ昔ながらの本が優勢です。これは本が「モノ」としての価値が求められているからといわれます。自分が読んだものを飾っておきたい、飾りとして楽しみたいなど特にデジタル・ネイティブと言われている世代を中心にまだまだ求められています。モノとしては昔ながらの本がまだまだニーズがあります。また、電子書籍とは別の音声という媒体にも注目を浴びています。海外の出版業界が具体的にデジタルを活用しはじめている事例や注力している点などをご紹介します。

 

Penguin Random House

ペンギンランダムハウスはイギリスの本の出版会社です。ペンギンランダムハウスの紙印刷の本の売上は一定でありましたが、今後更に高めるために手掛けたのがポッドキャストです。ポッドキャストを通して、出版される筆者のインタビューやゲストとのやり取り、普段は聞けないような会話を配信しました。ポッドキャストはSNSやウェブサイトなどを通して、本の宣伝とともに配信しました。ポッドキャストを通して自社のブランド、筆者のことなどのブランディングを進めました。その結果、ポッドキャストチャンネルは初年度で22万時間再生され、イギリスにおいてトップ30に入るチャネルへと成長しました。ポッドキャストを用いることで、オーディオブック等を活用しているミレニアル層の獲得に成功しています。昔ながらの本だとしても、リアルな店舗などのビジネスだけでなく、店舗や筆者の情報などを活用したリアルとデジタルのクロスプロモーションが有効になってくるでしょう。

 

New York Times

ニューヨーク・タイムズは10年前に倒産寸前と言われていましたが、そこからデジタル化などビジネス変革を行い大きく成功しました。ニューヨーク・タイムズは、サブスクリプションへの移行などがうまく機能していましたが、ミレニアル世代の獲得に大きく課題を抱えていました。またニューヨーク・タイムズは記事の質には自信があったため、広告事業においても自社が企画、制作、編集するネイティブ広告などの売上があがっていました。しかし、リーチが伸びないという課題もありました。そこで実施したのがインフルエンサーマーケティングです。YouTubeやPinterest、Twitterなどを活用して自社のブランドを拡大するようなコンテンツを作成し、従来ではリーチできなかったミレニアル層へのリーチや認知拡大に大きく成功しました。ニューヨーク・タイムズは、キャンペーンの成功を受けて、担当していたインフルエンス・マーケテイング会社を買収し、自社内でのマーケティング組織の強化を行っています。

 

オーディオブック

ポッドキャスト-1

電子書籍の売上はまだまだ伸びていませんが、市場として大きく伸長しているのがオーディオブックです。アメリカでは、電子書籍の売上が9億円のところ、オーディオブックの売上は12億円と電子書籍の売上を上回っています。また、カナダでは本の売上の5%がオーディオブックとも言われています。このように現在オーディオブックへの注目が進んでいる中で、多くの出版会社が制作体制を強化するためにナレーターや制作部門の強化を行うことで、オーディオブックの制作数は前年の20%近く増えています。オーディオブックのユーザーは20代前半からの若い層が多く、今までの読者とは別のターゲットを獲得できています。これは、オーディオブックが通勤中や運動中など新たな体験を提供できることや物理的な本とは違い、データが取得できたり、デジタルとシームレスに経験できたりするということで好まれていると考えられます。このように物理的な本だけでなく、オーディオが新たに注目されるメディアになってきています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。出版業界はオワコンという人もいますが、オーディオの活用や電子書籍ブームを超え、改めて本の価値が再確認されています。このような中で、どのように新たなターゲットを開拓していくのか、新たなコンテンツをどのように制作していくのかという視点が変わってきています。現在のコンテンツをどのように活用できるのかを軸に新たなビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。

Topics: デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。