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海外事例におけるOMOとは?オンラインとオフラインの融合で新たな顧客体験を

2021年8月6日 (公開 :2020年10月5日)

AmazonなどのECサイトなどが普及したことを受け、小売や店舗は従来とは違う顧客接点を作ることが求められています。そこで一つの手法として注目を浴びているのがOMOという考え方です。OMOとは、Online Merges with Offlineの略です。本稿では、OMOとはとは何か、従来のO2Oなどとの違い、そして海外の最新事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

📚 目次

 

  1.  1 OMOとは?
  2.     O2O、オムニチャネルとの違い
  3.     OMOのメリット
  4.  2 OMO導入事例
  5.     Amazon Go
  6.             B8ta
  7.             Shopkick
  8.     3 OMO導入のためのポイント
  9.     4 まとめ

 

OMOとは?

OMOとは、Online Merges with Offlineの略であり、日本語にするとオンラインとオフラインの融合を指します。従来、オンラインとオフラインは別々のチャネルとして認識されていました。そのため、オンラインとオフラインがばらばらで設定されていたため、顧客から見ると全く別に見えていたり、オンラインとオフラインの顧客データが統合できずに部分最適になっていたりするなどの問題がありました。しかし、テクノロジーが発展したことにより、オフラインとオンラインのシステムを連携させることができるようになった結果、より良い顧客体験を提供するという視点から取り入れられているのがOMOです。


O2O、オムニチャネルとの違い

OMOとよく間違えられる概念としてあるのがO2Oやオムニチャネルです。まず、O2OとはOnline to Offlineの略で、オンラインからオフラインに向けて送客することを意味しています。例えば、オンラインでのクーポン発行し、実店舗での購買を促進することなどがあります。一方、オムニチャネルとは、オンライン、オフラインチャネルを問わずに、顧客へアプローチすることです。例えば、WEB広告、カタログ、ヘルプセンターなど複数の接点を用いて顧客とどのように関係性を築くかということを設計します。
O2Oもオムニチャネルもともに、オンラインとオフラインを別ものとして認識したうえで顧客の接点や行動を設計します。その一方、OMOはオフライン、オンラインすべてを一つのチャネルとして認識して顧客体験を設計するという違いがあります

 

OMOのメリット

OMOを導入することのメリットを2点ご紹介します。まず1点目は、データの連携です。ECサイトでの買い物では、過去の買い物の傾向などを分析しておすすめの商品を呈示するなどが可能です。しかし、オフラインのデータは取得ができないため、ユーザーのリアルを把握できないなどの問題がありました。しかし、OMOではオンラインとオフラインの行動をすべて把握できるため、よりリアルな顧客データを把握することができます。2点目は、顧客体験を最適化できることです。オンラインとオフラインが連携することで今まで以上のサービスを提供することができます。例えば、オンラインで購入したものを店舗で受け取ったり、逆に店舗で購入するものを自宅に届けてもらったりすることも可能です。このように従来のシステムでは実現できなかったサービスを提供することができます。このようにOMOは企業側にとっても、顧客側にとっても大きくメリットがある考え方です。

オンラインからオフライン


OMO導入事例

それでは具体的に海外のOMOの導入事例をご紹介します。

Amazon Go

まずご紹介するのは、Amazon Goです。Amazon GoはAmazonが提供する実店舗であり、現在全米で26店舗展開しています。Amazon Goは精算いらずの店舗であり、店舗入店の際にアプリでQRコードを読み込んだ後は、商品をかばんに入れて出店するだけで、Amazonのアカウントから引き落としがされます。仕組みとしては、店舗内のカメラで商品をかばんに入れるのをチェックされており、Amazonのアカウントに自動で連携します。このようにオフラインでの買い物とオンラインでの請求、アカウント管理が連携することにより、オンラインとオフラインのシームレスな体験を提供しています。


B8ta

B8ta(ベータ)とは、シリコンバレーに本拠地を置く小売店舗です。近年テクノロジーの進化に伴い、説明だけでは機能がすべて把握できないような複雑なVRグラスやIoT家電などのプロダクトが増えています。B8taはこのようなガジェットを展開している小売店なのですが、大きな特徴は店舗を売る場所ではなく、体験する場所として展開していることです。B8taは店舗スペースをビジネスパートナーに提供し、ビジネスパートナーのガジェットを顧客が実際に体験できるスペースを提供しています。このように、オンラインでプロダクトを出品するかのように、リアルの店舗で出品できるというオンラインとオフラインを融合したような形式のビジネス展開です。
また、2点目の大きな特徴が顧客のデータがフィードバックされるということです。店内には店員は少人数しかおらず、プロダクトの説明はすべてタブレットで行います。また、店内各所にAI搭載のカメラが機能しており、どの世代、性別の顧客がプロダクトを見ているのかを始め、タブレット内のコンテンツの閲覧状況など細かなデータを取得し、ビジネスパートナーにフィードバックします。ビジネスパートナーはこのようなデータを軸にプロダクトのブラッシュアップなどにつなげていきます。このようにオンラインと同様の行動データもリアルの店舗でも把握できるというOMOの事例になります。ちなみに日本にも出店しており、有楽町と新宿に店舗がある。


Shopkick

Shopkickは2009年にスタートしたショッピングアプリです。Shopkickの特徴は、オンラインとオフラインどちらも買い物ができ、ポイントを貯められ、ギフトカードなどを取得できるというオンラインとオフラインを融合したショッピング体験ができることです。例えば、ポイントを貯めるためには、実店舗へ実際に訪れても、オンラインのショップに訪れてもたまります。また、その他実店舗で気になる商品を撮影したり、バーコードを読み取ったり、オンラインの広告を見るなどしてもたまります。このようにオンライン、オフラインの境目なく、ポイントを貯めることができ、ポイントはAmazonなどで利用できるギフトカードなどと交換可能です。また、企業も顧客がどのような商品をオンラインで買っているのか、それとも実店舗で買っているのか、商品を買うのをやめたのはなぜかなど顧客の購買行動のデータを取得し分析することが出来ます。このように、オンラインとオフラインとを融合した顧客体験を作り出し、企業も顧客行動を分析できるOMOの事例です。


OMO導入のためのポイント

OMOの事例をご紹介してまいりましたが、OMOを導入するためのポイントとは何でしょうか。OMOやデジタルトランスフォーメーションと聞くと、新しいテクノロジーを導入しなければいけないという気持ちが先走る場合もあります。しかし、OMOを導入するための最も重要なポイントは「顧客体験」です。従来、オフラインとオンラインは全く別のチャネルとして認識されていました。そのため、ブランドイメージや顧客体験の乖離が発生する可能性が高かったのです。しかし、このようにチャネルの違いを意識せずに、顧客にとって最も良い体験はなんだろうかということを考えることがOMOを導入するために最も重要なポイントです。例えば、「大きな買い物をしたら、持ち帰るのではなく、指定しなくても家に届けてほしい」とか、「今のどが渇いたから買いたいけど、ポイントで買いたい」など、日常の体験から溢れる顧客のニーズを察知し、それに合わせてどのような体験をつくれるかをオンラインとオフラインあわせて構成していくことが重要です。


まとめ

いかがでしたでしょうか。O2Oやオムニチャネルなどの考え方も広がっている中で、現在トレンドとなっているのがOMOという考え方です。本稿でご紹介したアメリカの事例以外にも、中国などを中心に広がっている考え方です。しかし、OMOを導入するということで難しく考える必要はありません。まず、自社のユーザーを思い浮かべどのような課題が日常になるのかということを想像してみることから初めてはいかがでしょうか。

Topics: デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。

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