現在インサイドセールスに注目が集まっています。従来の営業はクライアントのオフィスに出向きながら、商談をするというフィールドセールスが一般的でした。しかし、現在新型コロナウィルスの影響による新たな働き方や将来の労働力人口の減少などがある中でインサイドセールスに注目が集まっています。本稿では、インサイドセールスの概要から、海外でどのように進んでいるのかなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
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インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、電話やメール、WEB会議などを活用して顧客に営業を行う内勤営業のことです。従来、営業はフィールドセールスが一般的で、顧客のオフィスに通いながら商談、契約を進めていくスタイルでした。しかし、労働人口減少などに伴い、業務の効率化が求められている中で従来どおりのフィールドセールスの改善が求められています。
インサイドセールスの由来は、アメリカで1960年頃から始まったとされています。アメリカの場合、国土が広いため、営業マンが顧客のもとに訪れて交渉するのが費用、時間的にも非効率なことから普及していったといわれています。さらにリーマン・ショック以降さらなる効率化をしていきたいと考える企業が増えた結果、普及が進み、現在アメリカ国内で約3兆円規模の市場になっています。
アメリカのインサイドセールス
アメリカでは、営業が5,700万人いるといわれており、その中の45.5%がインサイドセールスといわれています。アメリカでのインサイドセールスの役割は、顧客それぞれの課題を抽出し、課題に対して適切なプロダクトやサービスを提供することです。具体的な役割としては下記のようなものがあります。
●プロダクトやサービスに関して顧客への説明、質問への回答●潜在的顧客との関係性構築
●契約の締結
●セールス状況のデータの報告、分析
インサイドセールスは、電話やウェブ会議などを中心に行われるため、関係構築やプロダクトのデモがしにくく、より細かいコミュニケーションが求められます。しかし、その一方で移動時間がコントロールできたり、交渉一つ一つのタイムスケジュールが調整できるため、より柔軟な働き方ができるというようなことから今後もより一層増えていくと考えられます。
アメリカで普及した3つの理由
なぜ、アメリカでこれほどインサイドセールスが普及したのでしょうか。
効率化
上述したようにアメリカでは国土が広いため、フィールドセールスを行なうにも、飛行機移動などになる場合もあり、経費・時間が膨大にかかります。しかし、インサイドセールスではこのような経費・時間が節約できます。また、直接訪問しなくてもいいため、可能性が高い見込み顧客を優先する事ができます。
ITの発達
2点目は、ITの発達です。ZoomやSkypeはもちろん、メールやWeb会議システムなど様々なコミュニケーション手段が増えています。その結果、顧客と直接合わなくてもスムーズなコミュニケーションができるようになってきました。
顧客が直接の対談を望まない
3点目は、顧客が直接の対談を望まなくなってきたことです。従来、顧客にとっても対談を通して様々な情報収集も行えるため、顧客側にもメリットがありました。しかし、インターネットが発展することで、検索するだけで顧客が情報を取得できるようになり、顧客がわざわざ直接の対談を望まなくなってきたため、インサイドセールスの普及につながっています。
インサイドセールスの成功事例
それでは具体的にインサイドセールスで大きく成功した事例をご紹介します。
Gray Falkon
Gray Falkonは、Amazon等においての不正転売や偽造販売を防ぐためのコンサルティングの企業です。コンサルティングを行うことで50%近くの不正転売を抑えることができるといいます。Gray Falkonの大きな課題は、サービスの認知そして実際の契約までつなげることです。そこで新たにインサイドセールスチームを立ち上げ、1000のブランドやEC担当のリストに向けてのセールスを実施しました。インサイドセールスでは、E−Book等による不正転売に関しての情報共有を軸に、電話やEメールを通してブランドの課題やサービスの紹介を行いました。また、特にAmazonの売上が多い感謝祭の2−3週間前に集中して行うことでより効果を高めることを狙いました。その結果、通常の10倍もの契約に繋がり大きな結果を得ました。
California Causality
California Causalityは消防士や保安官向けの伝統的な保険企業です。保険業界では、情報がほぼない見込み顧客に対しての訪問営業や電話での営業が一般的です。そのため、無駄な営業が多くなり、根本的に電話もつながらないという課題がありました。そこで、California Causalityはインサイドセールスを導入しました。インサイドセールスを導入し、見込み客をデータに基づき、優先順位を決めたり、電話に適した時間を分析したりしました。インサイドセールスを導入した結果、会話時間は4000時間以上にのぼり、見積書の提示率が40%、成約率が22.9%、売上も12.5%あがりました。このようにインサイドセールスを導入することで、顧客の分析に時間を回せるようになり成功しました。
インサイドセールスのポイント
最後に実際にインサイドセールスを行うポイントをご紹介します。直接の対面をしないインサイドセールスでは、顧客との関係性を築いていくのに重要なのが顧客情報です。サービスや商品にどれくらい興味があるのか、メールの開封率、電話をかけたときの応答率、サイトの来訪歴などの顧客情報を連携し、分析することで顧客の優先順位を決めてより効率を上げていきます。インサイドセールスは、フィールドセールスと比較して時間も調整可能なため、顧客の分析などに活用できます。分析、顧客管理を行なうのに有効なのが、マーケティングオートメーションツールやCRMツールの導入です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。インサイドセールスは新たな営業手法として、現在国内でも注目を浴びています。アメリカやヨーロッパでは国土問題やリーマンショックの影響により、より効率化が求められたり、IT技術が発展したりしたことで日本よりも広く普及しています。今後、新型コロナウィルスの影響もあり、よりインサイドセールスが求められてくるでしょう。自社で導入するために必要なツールの検討から始めてはいかがでしょうか。