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インサイドセールスを中小企業が立ち上げる際に気を付けるべきポイントとは

2021年8月6日 (公開 :2020年11月5日)

インサイドセールスとは、企業に訪問することで営業活動を行うのが外勤であるのに対して、内勤が電話やメールを用いて営業活動を行うことを指します。もともとは、国土の広いアメリカで訪問ではなく内勤で行えるインサイドセールスが普及したことが起源といわれています。最近では日本でも時代の流れや新型コロナウイルスの流行もあって、多くの企業が導入したり、導入検討をしたりしています。企業によってはインサイドセールスを用いることで、大きなコスト削減や効率化を行うことが可能になるため、いま企業が率先して検討が必要な営業方法の1つだと言えます。

もし社内で新しくインサイドセールスを設置することが決まった場合、気をつけるべきポイントがいくつかあります。今回は中小企業がインサイドセールスの立ち上げで気をつけるべきポイントについて解説します。

📚 目次
    1.  
    2.  1 インサイドセールスが必要な背景
       2 立ち上げのポイント
    3.            A  リードの数と獲得方法
    4.            B  ツール導入
    5.            C  目標設定
      1.            D  マニュアル化
      2.            E  商材
      1.  3 まとめ
  1.  

 

インサイドセールスが必要な背景

社会情勢の変化によってビジネスが大きな影響を受けることがあります。最近ではコロナ禍によって、かつてのような訪問型の営業が難しくなり、電話やメールを用いた非対面型の営業が求められるようになりました。感染リスクだけでなく、コロナ禍によってテレワークが普及したことも、営業での非訪問スタイルの浸透に役立ちました。今後も疫病や災害による突発的な事態が起こることは十分にあり得るため、企業としてはこうした不測の事態に備え、リスクマネジメントも含めた意味で、営業方法の刷新を図らねばならなくなっています。

さらに、消費者のリテラシーが向上したことが、インサイドセールスが必要になった背景としてあげられます。インターネット技術の発展によりGoogleやYahooでリサーチすることで、誰でも簡単に答えを得ることができるようになりました。これによってユーザーのリテラシーが向上して商品やサービスを比較して自身にとって最善のものを購入するようになっています。そのため、商談の際にしっかりと下調べをしていることも多くあり、商品を検討する競合を事前に見比べています。また、コンテンツマーケティングなどを用いた、有益な情報をSNSやブログなどで発信している企業に信頼が集まり、そこから商品が売れる傾向があります。

インサイドセールスは、収集したデータによって営業手法の分析がしやすくなるという特徴があります。インサイドセールスは内勤で完結できた場合、訪問にかける時間がないため1日に多くの商談や架電を行うことができます。そのため、必然的に進捗状況や確度などの詳細な情報についてデータを残すことが必要になります。これによってステージごとの企業に対するアプローチ方法などのノウハウが蓄積されるため、データを活かした営業活動が可能になります。

また、売り上げを維持・向上させるには従来の手法にこだわらず新しい手法にチャレンジしなければいけません。そのためにはインサイドセールスによって人件費の軽減や営業活動の際にかかる時間や経費を削減して効率化を図ることが良い選択肢となります。

 

立ち上げのポイント

インサイドセールスをいざ始めようと考えた場合、どこをどのように検討するのがよいのでしょうか。5つのポイントをまとめました。

インサイドセールスの様子

 

A リードの数と獲得方法

いざインサイドセールスを始めようと思ったときに陥りがちなのが、エクセルでリストにまとめ(またはリストを買って)、のべつまくなしに電話営業を行ってしまうことがあります。この手法は非効率的であり、本来のインサイドセールスとは異なります。まず考えるべきは、リードの数の確認とどうやって継続的に増やしていくかを検討することです。リードが少ない場合にはコンテンツマーケティングでコンテンツを公開して企業のファンを作ることや、とにかく認知をしてもらうために広告を出稿するのも1つの手です。どちらもメリットとデメリットがあるので理解した上で進めることが重要です。

まず、コンテンツマーケティングでは短期間ではすぐに結果を出すことは難しいのが大きなデメリットです。そのため、長期的な視点を持って取り組む必要があります。しかし、コンテンツマーケティングではコンテンツを通しての問い合わせや資料請求があった場合、より確度の高いリード客を創出することができるため、結果的に成約率を向上させられるのがメリットとなります。

広告は費用を多く出すことができれば、短期間で多くの人の目に触れてもらうことが可能な手法です。しかし、広告の掲載を止めれば、そこで効果がなくなるのが普通であり、持続性はありません。また、膨大な数の広告があることによる広告疲れによって、広告というだけで敬遠されてしまうこともあります。そのため、広告はコンテンツマーケティングが効果を出すまでの初期段階や拡販時期のカンフル剤として使用するとよいでしょう。

ちなみに広告中心かコンテンツマーケティング中心かは別として、リードを持続的に獲得するマーケティングをせずに、セールス体制だけを整えても必ず限界がきますので、顧客創出から購買行動までを意識したマーケティングをすることが大切です。

 

B ツール導入

効率的な運用を目指すなら、CRM、SFA、MAといったツールの導入を検討すべきです。中でもコンテンツマーケティングを展開するならMAが最適です。MAとはマーケティング活動を自動化し、見込み客へのアプローチを効率良く行い商談の場を創出して生産性向上を目指すツールのことです。

B to Bの顧客は衝動買いをすることはほとんどなく、検討期間が長くなる傾向があります。そのため、MAによる自動化されたメールマーケティングによって、見込み客へ定期的に情報を発信し、コミュニケーションが途切れることがないようにすべきです。営業担当者に任せきりにすると、目の前の仕事に忙殺されて、見込み客や顧客へのフォローを忘れることがありますが、自動化しておけばそんな事態は避けられます。また、CRMと連携させ、「企業規模別」「閲覧サイト別」などの様々なリストを作成し、アプローチすることも可能です。リード獲得・ナーチャリング、契約、アフターフォローまで全工程でマーケティングを自動化することができ、マーケティングの業務負担を軽減可能になります。

デジタルツール

 

C 目標設定

KGI、KPIをきちんと設定することがとても大切です。クロージングまでを行うインサイドセールスでない場合は売り上げという成果が見えないので、うまく機能しているのかを判断するのは難しくなります。そのため、KPIは数字で明確に設定するのが良いでしょう。企業によってインサイドセールスの業務範囲が変わってくるので、まったく同じになることはありませんが、基準として電話やメールでのアプローチ数、商談アポイント率、契約率を柱にして細かく設定するのが効果的です。

また、フィールドセールスに商談を引き継ぐ際には、商談しても関心のないリードにならないように、クロージング率をインサイドセールスで設けると効果が高くなります。これによって、フィールドセールスが引き継いだ案件での商談の確度が低い、といったことが起きづらくなるだけでなく、インサイドセールスと営業の双方で認識のズレが生じにくくなります。

コロナ禍以前であれば、インサイドセールスはアポ取りとも呼ばれることも多く、アポを獲得して商談は営業に引き継ぐことが主流の企業もありました。しかし、中小企業では人員の面からいってもインサイドセールスだけでアポ取りからセールス・契約ができる方が効率は良くなります。そのため、商談に慣れているフィールドセールス経験者をインサイドセールスに抜擢し、インサイドセールスだけで契約までもっていくフローを確立するとよいでしょう。実際、アメリカの自動車会社テスラはフィールセールスを廃止し、インサイドセールスのみに変更して成功を収めており、検討する価値は十分にあるといえます。

 

D マニュアル化

ツールの導入と同時にどのようにセールスを行うかをマニュアル化しておくと対応に隔たりがなくスムーズなフローになります。トークスクリプト、ステップメールの設計、評価方法を統一します。トークスクリプトは顧客へのヒアリングを中心に課題を知るための質問をします。そのため、「はい」「いいえ」で終わるクローズドな質問ではなく、「どう考えているか」といった顧客が内容を答えてくれるような次につながる質問を設けましょう。

次にステップメールの設定では、MAを活用したメール配信を行います。架電後数日以内に顧客離れを防ぐために忘れずにフォローメールを送ります。その際の内容もパターンごとにマニュアル化することで効率良くできます。これらはMAのワークフロー設計と重なるところも多いので、制度設計段階で吟味して整えるとよいでしょう

最後に評価方法の統一は、社員のモチベーションに大きな影響を与えます。評価方法が曖昧だと、精度よりも数とばかりに確度の低いアポイントを取るなど、成果につながりにくい行動をとることがあるからです。

ちなみに中小企業だと一人でインサイドセールスを任されることもあり、往々にして忙しさにかまけてマニュアル化を行わないことがよくあります。これでは担当者に何か起こった場合、後任者への引継ぎができないばかりか、またゼロから作り上げることになるため良い判断ではありません。属人化はさまざまなリスクがあるので、経営の方針として指示をして整備を行うことが必要です。

 

E 商材

インサイドセールスはうまく利用することで、大きなコスト削減や効率化につながりますが、万能ではなく商材によっては向かないものもあります。一般的には商品の機能やサービスが複雑なものや高価なものは商品理解や購入への難易度が高く難しい傾向にあります。例えば家を電話1つで購入することはほとんどないですが、スマートフォンのサービスくらいになると契約に抵抗が少なくなります。インサイドセールスを導入の際には商材のコストと営業マンのコストを吟味する必要があります。

 

まとめ

インサイドセールスと単にいっても、商談のアポイント獲得までがインサイドセールスの役目の場合と、これに加えて商談・提案・契約まで売り上げを作ることが役目の場合もあります。そのため、企業によってインサイドセールスの目的を設定することが大切です。

中小企業は人員の面からすぐにインサイドセールスを取り入れるのが難しい場合もあるでしょう。インサイドセールスはカスタマイズしやすいことが1つの利点でもあります。不足している部分はアウトソーシングを活用するなど、お試しのつもりで徐々に取り組んでいくのも方法の一つです。まずは、資料請求や専門家に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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Topics: 中小企業, マーケティングオートメーション, インサイドセールス

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。