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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

コンテンツマーケティングとは?導入から運用までの基礎知識

2021年8月6日 (公開 :2020年10月14日)

分かりそうで分からないコンテンツマーケティングについて解説します。購買行動がどんどん変化し、それに合わせてマーケティング手法も変わってきている現在。各企業がデジタルトランスフォーメーションへと動く中で、インサイドセールスを強化する意味でもコンテンツマーケティングは不可欠な手法となっています。改めてコンテンツマーケティングについて考えてみましょう。

📚 目次
  1.  
  2.  1 コンテンツマーケティングとは
  3.  2 メリットとデメリット
  4.     3 購買までのプロセスの変化
  5.     4 コンテンツの種類と効果
  6.  5 効果的なツールの条件
     6 導入にあたって準備すべきこと
  7.  7 コンテンツマーケティングの運用体制
  8.  8 効果が出ないときに考えるべきこと
  9.  

 

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、「コンテンツを制作し、読者が興味・関心を持つ情報を提供することで、見込み顧客とコミュニケーションを行い、サービス・商品の購買につなげるマーケティング手法」のことです。ニーズが明確化されていない潜在顧客に、コンテンツを見つけてもらい、コンテンツを通してファン化するという「認知拡大」「顧客育成」を狙うものであり、従来の一方的な企業の情報発信とは一線を画します。

ではなぜコンテンツマーケティングが注目されるようになってきたのでしょうか?これはインターネットの発達により誰もが気軽に情報発信できるようになったことで、消費者へ届く情報量が圧倒的に増え、従来の一方的な情報発信(特に広告)の効果が落ちたことが理由です。消費者は毎日勝手に送られてくる情報量の多さに辟易し、自らが情報を取捨選択するようになりました。まさしく消費者に「見つけてもらう」という必要が出てきたのです。

 

コンテンツマーケティングのメリットとデメリット

時代にあったマーケティング手法といえるコンテンツマーケティングですが、もちろんメリットだけでなく、デメリットもあります。メリットとデメリットを比較してみましょう。

メリット

A デジタル資産

テレビや新聞といったメディアへの広告は、出稿が終われば、集客効果はなくなくなります。しかし、デジタルコンテンツは、自ら消さない限り存在し続け、効果を発揮し続けます。メディアへの広告のような爆発力はないものの、半永久的にユーザーへアプローチが可能であり、企業のデジタル資産として存在し続けます

B 潜在顧客へのアプローチ

広告はニーズが顕在化している層をターゲットにしますが、コンテンツマーケティングでは、顕在化している層はもちろんのこと、リーチしにくい潜在顧客へもアプローチ可能です。例えば自転車販売であれば、「A社の自転車がほしい」「安く自転車が買いたい」といったニーズが顕在化している層はもちろんですが、「痩せるためにいいトレーニングはないかな」「運動系でかっこいい趣味を見つけたい」など自転車を現時点では意識していなくても、潜在的には顧客となりえる層は顕在化層の何倍もいます。このような層に「自転車を使った健康・ダイエット法」や「自転車のある生活がファッショナブルでかっこいい」というコンテンツを提供することで、自転車の魅力に気づいてもらい、販売へとつなげることができます。

C 潜在顧客の育成

コンテンツを見つけてくれた潜在顧客に対し、適切な情報配信をすることで見込み顧客(リード)化することが可能です。メルマガやCTA、SNSなども駆使して接点を持つことで、興味関心に合わせた情報発信の出し分けが可能となり、段階的に自社へのロイヤルティ(いいイメージをもつ)を高めていくことができます。

D コスト

コンテンツマーケティングのコストは、どれだけやるかによって変わるとはいえ、マスメディアへの広告費用と比べたら圧倒的に安くすむことは確かです。また、効果が見えないことによる不安があるなら、最低限必要なことだけ先行して始め、効果が出始めたら追加投資していくというスモールスタートでコストを抑えていくこともできます

 

デメリット

A 効果が出るまでに時間がかかる

SEO対策の効果は短期的には出にくいため、検索で上位に表示されるまでには時間がかかります。また、ある程度の数のコンテンツを作成し、重層的に配置しないと効果が出にくい面もあるため、根気よく継続して作り続ける必要があります

B 専門的人材の配置

コンテンツマーケティングの特性を理解している人材を配置し、実行体制を組まないと効果が出るまでに遠回りする可能性があります。また、効果の出るコンテンツは簡単に作れず、トライ(アル)アンドエラーしながらノウハウを蓄積することによって生まれやすくなってきます。地道に制作し続けられる体制を作り、会社全体でサポートする必要があります。

中小企業におけるメリットとデメリットの解説は下記でも紹介しています。

中小企業がコンテンツマーケティングを始める3つのメリット

 

購買までのプロセスの変化

時代によって購買行動は変化してきました。インターネットが発達するまではAIDMAが主流でしたが、AISAS、Sipsなど今やさまざまな購買行動モデルが生まれています。数あるモデルの中でもコンテンツマーケティングに合致するのは、DECAXとされています。これはDiscovery(発見),Engage(関係),Check(確認),Action(行動),Experience(体験共有)のことを指し、コンテンツマーケティングを行う場合は、この流れにそってコンテンツを作成するとよいでしょう。

DECAXについて

ちなみに2019年にグーグルは「パルス型消費行動」を提唱しています。『AIDMA』に代表される従来のパターン(購買までにある程度時間をかけ、買いたい気持ちを醸成する)とは一線を画し、スマホなどで欲しい商品を見つけたら衝動的に買うというように変化しているというのです。つまり、空き時間に暇つぶしでスマホを操り、偶然見つけた商品を瞬間的に欲しいと思い、躊躇せずに購入するというシーンが増えているのです。これらの行動が趣味的な商品ではなく、日常使う商品に対して行われているという意味で『衝動買い』とは違うともされています。

パルス消費

画像引用:買いたくなるを引き出すために - パルス消費を捉えるヒント (Think with Google)

ちなみにこのパルス型消費行動は、「探索、ピンとくる (センサーに反応)、買う( Explore - Hit - Action) 」と行動が定義されており、買い物の起点がスマートフォンで発生しています。なんとなく面白い情報を探し、偶然見つけた情報にピンときて直感的に買うというこのスタイルの中で、コンテンツマーケティングとしては、「なんとなく」に合わせてスマホに最適化されたコンテンツを用意する必要があります。クエリも多様でなかなか予算的にも追いきれない面もありますが、物事を広く面でとらえた裾野の広いコンテンツを用意するということが大切です。例を挙げれば、自転車販売会社が、自転車の機能や価格だけを訴求するのではなく、「自転車のある生活」でコンテンツ化するといった形でしょうか。ダイエットや運動という機能だけでなく、ハイセンスな自転車ファッションで「憧れ」に訴求したり、親子の大切な時間として、自転車に初めて乗れた日で写真コンテストをしたりするなど、商品の違う価値観を示すコンテンツを盛り込んだ方がいいということですね。その他の購買行動を下記ぺージで紹介していますのでご参照ください。

購買行動の変化がコンテンツマーケティングの戦略を変える

 

コンテンツの種類と効果

コンテンツマーケティングの種類には、さまざまなものがあります。認知拡大やブランディングに向いているものから購買直前の段階に効果的なものまで、その目的と用途に応じて種類はさまざまです。中でもブログはコンテンツマーケティングの中核といえる存在。SEO目的で作られることが多く、特にユーザーに役立つ情報提供をしていると効果があります。企業が持つニッチな技術を生活と結びつけて、わかりやすく紹介したり解説したりすると人気が出ることが多いです。すぐに効果が出るものではないですが、SEO対策をしながら継続して掲出することで、徐々に検索順位が上がってくるでしょう。

その他、社員インタビューや社員(役員)ブログなども効果的です。この形を取ることで、企業側からの情報提供という堅いイメージを中和させることができるし、社員のキャラクター次第では、ユーザー受けすることも期待できます。企業の理念や社風を柔らかく伝えるという意味で大変優れている手法といえます。また購買直前段階では、さまざまな企業を比較するために、事例やお客様の声を紹介することがチェックすることが多いものです。こちらも用意しておくとよいでしょう。

配信手段としてはブログ以外にSNSや動画も使うとよいでしょう。特にSNSは制作にそれほど費用がかかるわけではないため、利用すべきといえます。細かなコンテンツの種類や効果に関しては下記にて紹介していますのでぜひご参照ください。

効果の高いコンテンツマーケティングの種類とは?

 

コンテンツマーケテイングに効果的なツールの条件

コンテンツマーケティングの肝はなんといってもコンテンツの力です。コンテンツの力でサスペクト(潜在顧客)を誘引し、リードに変換して顧客化するわけですから、コンテンツが弱いと惹きつける力も弱くなります。また、そのコンテンツを分析・検証しながら効果的に配信するマーケティングの力も重要です。せっかく作ったコンテンツも人に見られなければ意味がないからです。その組み合わせが効果的かどうかで結果が変わってくるといっていいでしょう。

では効果的な組み合わせにするにはどうしたらいいのでしょうか?答えは自社に合ったツールを選ぶことです。コンテンツ力を磨くのは一朝一夕にはいきませんが、効果的に行えるツール選びは簡単にできます。条件としてはPDCAを速く回すために、機能ごとにツールを使いすぎないことです。SEOはコレ、CMSはコレ、SNSはコレというように別々だと、何かやるごとにいちいちツールを変えなくてはいけませんし、ツール同士の連携がされていないと無駄な入力といった手間がかかります。できればある程度数をしぼり、連携がされているツールを選ぶようにしましょう。欲しい機能としては集客用にSNS連携、メール配信、広告連携、制作用にはCMS、分析用にはSEO、レポート機能です。HubSpotのようなマーケティングオートメーションはある程度この機能が揃っているといってよく、ツール選びの対象となります。詳しくは下記にて紹介していますのでぜひ参考にしてください。

コンテンツマーケティングに効果的なツールの条件とは?

 

導入にあたって準備すべきこと

コンテンツ

まず最初に準備すべきは何のためにコンテンツマーケティングを始めるのかを決めなければなりません。戦略なくして戦術なしというように、目的が定まらないと準備するコンテンツもあやふやなものになってしまいます。目的など当たり前すぎると思う人もいるでしょうが、実は「目的は何ですか?」と聞くとすらすらと答えられない担当者が意外と多いのです。目的が決まればWebサイトがいいかアプリがいいかなど配信方法から、コンテンツの内容まで目的に合致したものを揃えられるでしょう。

目的が決まれば、次はペルソナ、カスタマージャーニーマップ、KPI・KGIです。ペルソナは簡単にいうと顧客となりうるユーザー像のことですが、性別、年齢、職業、収入、趣味、価値観、家族構成などを詳細に落とし込む必要があります。ペルソナが実体に近ければ近いほどコンテンツ効果は高まりますので、よく吟味しましょう。カスタマージャーニーマップは顧客が商品を認知してから購入するまでの心理や行動を図にしたものです。そしてその心理や行動が変わるごとに対応するコンテンツを用意して、自社に興味関心を持ってもらいつつ購入に至るようにします。KPI(重要業績評価指標)はその段階ごとに用意したコンテンツの目標であり、KGI重要目標達成指標)は最終目標となります。

これらが正しく設定できれば、コンテンツの内容が大きくズレるということはないはずですので、よく考えて設定しましょう。下記でも参考情報を紹介していますのでぜひご覧ください。

コンテンツマーケティングで、中小企業が売上拡大するために準備すべきこと

3つの海外事例からわかるコンテンツマーケティングの成功ポイントとは?

 

コンテンツマーケティングの運用体制

コンテンツマーケティングを始めるに当たって重要なのが、運用の体制を決めることです。特に重要なのはもちろん担当者です。コンテンツマーケティングで効果を出すには、コンテンツとマーケティングの2つの知識がある程度ないと簡単ではありません。もちろんどこまでやるかとの兼ね合いではあるのですが、できる限りある程度経験のある人物を登用した方がよいでしょう。しかし、2つを兼ね備えた人物がいないというなら、コンテンツ制作に知識や経験がある人の方が効果が出るまでの時間は早いでしょう。なぜならコンテンツマーケティングの肝はあくまでコンテンツであり、効果的なコンテンツを作れないと、結果は出にくいからです。

運用体制としては、専任の担当者を置き、できればチームで運用したいところです。チームの方がディスカッションをしながら気づきを得やすいし、サポートし合えるといったメリットが数多くあるからです。ただし、チームであったとしてもコンテンツマーケティングのすべてを内部リソースでできる企業は限られるでしょう。ライターやデザイナー、エンジニアなど外部に協力を得ることも多いのではないでしょうか。ここで気を付けたいのは、ディレクションは内部でやるということです。外部は制作やマーケティングのプロではありますが、会社独自の技術やノウハウには素人であり、発信したら効果が出るような材料の存在に気付かない可能性があります。どこの企業でも発信できる内容よりニッチだけどオリジナルなコンテンツの方がはるかに価値が高いので、丸投げではなく案出しなど最低限のディレクションは内部ですることをおすすめします。その他、運用体制の構築に関しては下記に詳細がありますのでぜひご覧ください。

企業が導入前に検討すべきコンテンツマーケティングの運用体制とは

コンテンツマーケティングのおすすめ制作会社の見分け方

 

導入後、効果が出ないときに考えるべきこと

コンテンツマーケティングを導入したけれど効果が出ないという悩みはよく聞く話です。経営陣から実績の少なさなどを詰められ、意気消沈している担当者も多いのではないでしょうか?そもそもコンテンツマーケティングは効果が出るまでに時間がかかるという認識が少なく、効果が出るまでの時期はデジタル資産への投資だということをわかっていない経営陣が残念ながら多いのが実態です。

そういう場合に検討すべきことは、まず現状を分析し、計画と相違がある理由を突き止める必要があります。そしてどう改善するかを再度経営陣に提案し、経営側が求める数字との乖離についてお互いに認識を共有する必要があるでしょう。コンテンツマーケティングへの理解が少ないなら再度説明し、認識を改めてもらう必要があるでしょう。運用は山あり谷ありであり、経営陣との認識合わせをしておかないと状況が悪くなったときにトラブルになりかねません。

効果が出ない理由は様々な要因が考えられますが、最低限分析しておきたいのは、コンテンツが目的に合致しているか、ペルソナやジャーニーマップと相違はないか、検索ニーズを満たしたものか、コンバージョン用のコンテンツを用意しているか、SEOをきちんとできているかでしょう。一部のコンテンツだけでなく、全体の伸びが弱い場合は、根本がずれていることが多いので、この基本的なことを再度見直すべきです。特に検索ニーズに関しては、ニッチやオリジナルなどにこだわり検索数が少ないものばかり作りたがる担当者がいますが、HubSpotが提唱するトピッククラスターのような考えも採用してコンテンツをバランスよく効果的に作ることがおすすめです。効果が出ないときに検討すべきことは下記にて詳細に解説していますのでぜひご覧ください。

コンテンツマーケティングの効果が弱いとき、会社の担当者が解決すべきこと

 

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Topics: オウンドメディア, コンテンツマーケティング

デジタルブログ編集部
執筆 デジタルブログ編集部

ゼクシィネットなどの数多くのメディア制作に携わった後、Investing.com日本版編集長。現在はデジタルマーケティング統括責任者。メディアで培ったノウハウを生かし、HubSpotを中心としたデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、インサイドセールスなどを中心に執筆。HubSpot導入コンサルタントとしても活動中。