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3つの海外事例からわかるコンテンツマーケティングの成功ポイントとは?

2021年8月6日 (公開 :2020年8月20日)

スマートフォンの普及などに伴い、消費者は常に広告にさらされるような環境になってきています。そのように情報過多な時代になっている中で、現在注目されているのがコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングは現在国内外問わず、多くの企業が導入しています。今回は、コンテンツマーケティングとはなにか、コンテンツマーケティングの成功事例、成功させるためのポイントをご紹介します。

📚 目次
  1.  
  2.   コンテンツマーケティングとは?

     2 注目されている背景

     3 活用した海外事例3選

     4 成功させるためのポイント

     5 まとめ

 

 

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、潜在的顧客向けに顧客が興味ある情報をコンテンツとして提供することでファン化し、最終的に商品の購入や利用を促進するマーケティング手法です。コンテンツと聞くとまず頭に浮かぶのは、ブログやSNSなどかと思います。しかし、それだけにとどまらず、ホワイトペーパー、ポッドキャスト、リサーチ、YouTubeなどの動画、書籍など様々な媒体が含まれます。

 

コンテンツマーケティングが注目されている背景

コンテンツマーケティングが注目されている背景として、大きく2つの要素があります。まず1点目は、インターネットの普及です。インターネットが普及したことで、消費者の行動は大きく変わりました。従来商品の検討は店頭が中心でした。しかし、インターネットが登場したことにより、店頭に行く前に商品について調べたり、競合商品と比較したりして何を購入するのかを決めてから店頭に行くようになりました。この意思決定モデルはGoogleがZMOT(Zero Moment of Truthの略)と提唱しており、店頭に行く前にどれだけ自社の企業の商品について消費者にアピールできるかが重要になってきています。その結果、コンテンツマーケティングを活用して自社の商品を購買前にコミュニケーションする手法に注目が浴びています。

2点目は、冒頭でもご紹介したように消費者の広告疲れです。インターネット、SNS、アプリなど様々なメディアが登場したことにより、多くの情報を入手できるようになった一方、企業からのメッセージを受け取る機会も増えてきています。TVや新聞を見ているときはもちろん、アプリを開いても、動画を見ている時、消費者は常に広告に触れています。このように企業からの強制的なメッセージを通知する手法をアウトバウンドマーケティングといいます。しかし、消費者の生活を無視して一方的に情報を伝えるアウトバウンドマーケティングに消費者は嫌気がさしてきています。そのような影響もあり、アウトバウンドマーケティングとは逆に潜在顧客を自ら商品の情報に訪問してもらうようなインバウンドマーケティングが注目されています。そのインバウンドマーケティングの手法として最も効果的なのがコンテンツマーケティングです。

 

コンテンツマーケティングを活用した海外事例3選

それでは、具体的にコンテンツマーケティングを活用して成功している海外事例をご紹介します。

A デジタル媒体以外の事例 John Deere

John Deereとは、アメリカの農業機械メーカーです。John Deereは、コンテンツマーケティングの第一人者と呼ばれており、インターネットが普及するかなり前から手掛けていました。1895年に「The Furrow」という雑誌を発行し、他社が農機具を売り込むカタログや自社の製品についての広告を中心にコミュニケーションしていた中、収穫方法や農業経営のノウハウなど農業に関わる人が興味ある情報を発信しました。その結果、「The Furrow」は12言語、40カ国以上に発行され、400万人以上の読者に読まれるメディアとなったとともに、John Deereは農業機械メーカーとしてのブランド認知やイメージ向上につなげました。現在、「The Furrow」はコンテンツを一部デジタル化しながら、オウンドメディアとして貢献し続けています。コンテンツマーケティングは、デジタルのマーケティング手法というイメージがあるかもしれませんが、このように潜在顧客に求められるコンテンツを提供することで媒体を選ばずに成果につながるのがコンテンツマーケティングです。

John DeereのWebサイト:https://www.deere.com/

B SNSを活用した事例 GE

GEは家電から飛行機のエンジン、原発まで製造している総合電機企業です。GEは家電などの認知やイメージはありましたが、飛行機エンジンや風力タービン、原発などのBtoB企業向けの製品の認知が低く、イメージが低いという課題がありました。そこでInstagramを活用したキャンペーンを実施しました。インフルエンサーとファンを同社の施設に招待し、その現場の様子を#GEInstaWalkのハッシュタグをInstagramに投稿するように依頼しました。その結果、普段見ることがない飛行機エンジンなどの製造現場や裏側を見ることができ、800万以上のページビューを獲得したとともに、エキサイティングな企業イメージを獲得しました。

GEのWebサイト:https://www.ge.com/

C 動画を活用した事例 ブリュードッグ

ブリュードッグとは、イギリスのクラフトビール企業です。イギリスにおいてクラフトビール市場を切り開き、わずか8年足らずで売上70億円を到達しました。ブリュードッグが行ってきた手法は、かなり過激なものも多いですが、プロダクトそしてクラフトビール市場を拡大するために様々な動画コンテンツをオンラインで提供してきました。例えば、氷点下のビールを凍らせたアルコール度数が高いビールを宣伝するためにマイナス30度の冷凍庫に裸で入って実況中継をする動画をアップしたり、市場によく出回っているビールをまがいものであるという理念からビール瓶を爆破したり破壊したりする動画などをアップロードしています。また、BrewDogという自社名をつけたテレビ番組の制作まで行いました。テレビ番組では、砂漠の中やロードラリーの車の中などハードなシチュエーションでビールを作るなどクラフトビール文化の拡大と自社のミッションであるパンクなどを広めた。ブリュードッグは動画以外にも自宅でクラフトビールが作れるセットの展開やクラフトビールを楽しみためのコンテンツを提供して、自社のビジネス拡大だけでなくクラフトビール市場の拡大にも貢献しています。

ブリュードッグのWebサイト:https://www.brewdog.com/

 

コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント

海外でコンテンツマーケティングを活用している事例をご紹介してきましたが、最後に自社がコンテンツマーケティングを実施するためのポイントをご紹介します。

SNS

A 顧客を理解する

従来のTVCM広告やバナーなどは企業が伝えたいことだけを伝えていたケースも多かったかと思います。しかし、上述したように企業からのプッシュ型のメッセージだけでは消費者は疲労してきています。コンテンツマーケティングでは、潜在顧客からの自発的な行動を目的としています。そのため、コンテンツを制作するために最も意識しなければならないことは顧客を理解することです。顧客がどのような情報を求めているのか、顧客がどのようなことに関心をもつのかなどをしっかり分析するようにしましょう。顧客を理解するために有効なのは、理想の顧客像を自社で描いてみるペルソナの作成や顧客がサービス・プロダクトを購入するまでにどのような行動をするのかを一覧化するカスタマージャーニーなどがあります。このようなフレームワークを活用し、顧客を理解した上で、コンテンツを作成しましょう。

B SNS視点を意識する

コンテンツマーケティングのデメリットとして、結果が出るまで時間がかかるというものがあります。コンテンツを公開しても、消費者が検索して訪問してくれなければ誰にも見られません。また、SEO対策にも時間がかかります。そこで重要なのはSNS視点です。SNSの特徴は、興味関心が似ているターゲットがコミュニティー化していることやコンテンツを拡散するプラットフォームとなることです。そのため、ターゲットの関心を呼ぶようなコンテンツを提供することでコンテンツが爆発的に拡散する可能性があります。上述でご紹介したBrewdogの事例も過激なコンテンツを提供することで拡散を狙ったと考えられます。このように、コンテンツを作成する時に常にSNS視点でどのように受けいれられるのかを検討しましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。コンテンツマーケティングは国内・海外問わずに多くの企業が導入しており、現在欠かせないマーケティング手法です。新しいマーケティング手法と聞くと、デジタルでどのように活用するのかというイメージが強くなるかもしれません。しかし、コンテンツマーケティングに媒体は関係ありません。顧客をどのように理解し、どのように広げていくのかを意識することが重要です。現在コンテンツマーケティングを検討している方もまずは自社が狙っている顧客がどのような興味関心があり、どのような行動をとっているのかを検討してはいかがでしょうか。

Topics: オウンドメディア, コンテンツマーケティング, インバウンドマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。