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企業が導入前に検討すべきコンテンツマーケティングの運用体制とは

2021年8月6日 (公開 :2020年10月7日)

コンテンツマーケティングの取り組みで成功している企業には必ずと言っていいほど「成功するための体制」が整っています。しかし、メディアやブログの運営を全く行った事がない、ましてや編集経験がないという人にとっては、そもそもどのような体制作りを行えば成功するのか想像もつかないことかもしれません。どのようにコンテンツマーケティングの運用体制を築いたら良いのか、ご説明していきます。


📚 目次
  1.  
  2.  1 運用体制の重要性
  3.  2 運用体制を決める
  4.     3 内部制作と外部制作
  5.     4 外注の際の注意点
  6.     5 制作時の注意点
  7.     6 まとめ
  8.  
  1.  
  2. 運用体制の重要性

  3. 会社によってはコンテンツマーケティングを一事業として独立部署を設けたりしているところも多く、それほどに大事な手法として力を入れている事がわかります。しかし、リソースを確保するのが難しい企業では、一人ですべての業務を担っていたり、平均でも二、三人しか配属されていないという現状があります。さらにいえば、他業務との兼業の場合も多く見かけます。
  4. メディア運営には企画、ライティング、SEO、分析、入稿といった、業務があります。それぞれをさらに細分化するとやるべき事や考えることは膨大にあり、その中で効率的によいコンテンツを制作するにはしっかりとした戦略や体制が必須であるのはお分かりいただけることでしょう。そのためには、開始前にしっかりと目標を決めて、コンテンツマーケティングを通して企業が進むべき方向性を理解する事が重要になります。そして、その中でマニュアルやノウハウを構築していくことで、社内に浸透しやすい体制になっていきます。

 

  1. 運用体制を決める

  2. 知識の全くない人がコンテンツマーケティングで成果を出すことは容易ではありません。コンテンツマーケティングの種類だけでもホームページ、ブログ、SNSといった配信手段が10種類ほどもあり、それぞれに強みとなる部分が異なるので商品やサービスごとに使い分ける必要があります。また、運用するにあたっては専門用語の理解だけでなく、成果をあげるために分析する知識が必要になるので、ゼロから初心者がすぐにやって成果を出すのはとても難しいのです。
  3. そのため、会社に余裕があれば、デジタルマーケティングの部署を設置するなどして、知識や経験の豊富なウェブマーケティング専任の担当者を任命するのが良いでしょう。必要な知識としては、編集スキルやデジタルナレッジがあるほうがうまく進めることができます。
  4. 編集にはディレクションの意味も含まれており、一般的には編集者と呼ばれる人たちが行っている業務です。行うことは主に2つあります。1つ目は、企画業務です。得たい成果のために課題を洗い出し、仮説を立ててこれから行うタスクをコンテンツに落とし込みます。企画部分はコンテンツの方向性を定める軸となる部分でありとても重要です。2つ目は社内で決まった案件や外部から案件を受けた際にライターを雇う、もしくは自ら執筆活動を行い納品・公開できる記事へと仕上げていきます。その中で全体の構造に違和感や内容に矛盾がないかのチェックをするのも仕事の1つになります。編集によってコンテンツの方向性の決定や文章・構成のチェックができ、コンテンツ精度を向上させることができます。
  5. デジタルナレッジは分析や改善方法の創出などで、PDCAを行うのに不可欠なものになります。コンテンツを作成してアップロードするだけでは終わらないのが、コンテンツマーケティングにおいて重要なポイントになります。むしろその後に行うことの方が多く、アクセス数やコンバージョン数などを分析して数値化します。そして今後のコンテンツ作成の際に結果を利用したり、既存の記事を書き直すリライト作業を行ったりすることで、成果の向上に役立てることができます。また、顧客や上司への報告時に制作するレポートの精度の向上にも役立ちます。
  6. チームを編成することで一人の単一的な視点からではなく、複数人の様々な視点から分析し、タスクを分散できるので複数人のチームを構成するのが望ましいといえます。

制作チーム

  1. 内部制作と外部制作

  2. 現実的にいえばすべてを内部制作できる企業は決して多くはないでしょう。特にIT系の企業でないなら未知の分野に見えることもあるかもしれません。であれば、まずは最初に考えるべきポイントはどこまで内部で行うことができ、どこから外部に依頼するのか、です。社内人材と外部人材のバランスをうまくとることで制作効率は格段に向上します。
  3. 制作手段は、100%自社で行う、内部と外部で使い分ける、100%アウトソースする、の3つがあります。そこで考えるべきポイントは社内にITが得意な人材がいるかどうかと、コンテンツマーケティングにかけられる予算です。予算に余裕があれば専門会社に100%依頼することも可能ですが、予算を出せなくなった場合や相手会社が倒産した場合などに関係打ち切りとなった際、自社にノウハウが残らないこともありうるため、丸投げはあまりおすすめできません。
  4. そこで、基本的には内部人材がマネジメント部分を担うのが望ましいでしょう。例えば、構成案決定、テキスト発注、校正、掲載作業といったディレクション業務やレポート作成、改善業務の推進などがこれにあたります。 外部で行うことは制作業務(執筆、デザイン、動画・スチール撮影、イラスト制作など)が多くなるでしょう。これによってタスクの分散になり、業務を効率よく進めることが可能です。また、自社で編集のノウハウを貯める事ができると、外部のライターへの依頼を増やしてコンテンツをどんどん拡大する事が可能になります。
  5. もし自社にコンテンツマーケティングに詳しい人材がいない場合には、外部に委託しつつも自社内で任せる事ができる人材を育成することを視野に入れるべきです。最初は知識不足等で効率が悪いことも多いでしょうが、数をこなすことで質は向上していくでしょう。そして、最終的にはディレクター業務をすべて任せる事ができるようにするとよいでしょう。

 

  1. 外注の際の注意点

  2. 記事制作やデザインを外注に依頼する際には、外注を受けた側が制作するのにイメージが持てるような構成案を提示することが大切です。
  3. 例えば、ライターに執筆依頼するなら、大見出し、小見出しとそれぞれの簡単な内容が分かる構成案を作成し、できれば参考資料も用意すると依頼を受けた方が制作を行いやすくなります。その際には見出しで伝えたい意図を簡潔にまとめると伝わりやすくなります。構成案があれば、納品物が発注側の意思からズレるということが少なくなるため、依頼した企業側の修正も少なくて済みます。
  4. また、文体やサイトに合わせた表現になるような統一表記や執筆時の注意点をまとめたマニュアルを用意すると、大幅にサイトの色に添わない制作物が納品されることがなくなります。
  5. とくにライティング依頼において、企業で統一された基準がないのであれば、「共同通信社の記者ハンドブック」に準拠するように伝えることで、相手にとってもわかりやすい依頼となります。このハンドブックは、執筆時に漢字にするのか、平仮名なのか、どの漢字がふさわしいのかといった文章における表現の悩みを解決することができるので、ブロガーやライターといった文章を書くことを仕事にしている層からの信頼が高いものになります。
  6. その他、フイードバックをする際には、できる限り修正内容を詳細に伝えることが大切です。毎回新しいライターに依頼するより、一人のライターに依頼をしてその度にフィードバックを行いながら改善をしてもらい、企業の意図する記事を制作してくれるライターになってもらうのが双方にとって効率的であるからです。また、意思の共有がうまくできないと、何度も修正箇所を依頼するような事が起こり無駄な労力を使うことにもなります。
  1.  
  2. 制作時の注意点

  3. コンテンツが指し示すものは幅が広く、さまざまな種類のものがヒットするので、最初に立てた目標からどんどんずれることがあります。
  4. 例えば、介護リフォームを得意とする会社が、同じリフォームでリノベーションが流行しているからといって、そのコンテンツばかり特集するとどうでしょうか?確かにリフォームを考えている層から多くの注目を集めるかもしれませんが、見ている人は介護リフォームの発注をするでしょうか?下手をすれば介護リフォームを探している見込み客がサイトを訪れたとしても、リノベーション専門会社と思って離脱するかもしれません。情報を自ら取りに行く現代のユーザーは、いかにコンテンツが自分の欲しい情報とマッチしているのかを考えています。そのため、コンテンツの途中からであっても、少しでも欲しい情報にズレが生じるとすぐに離脱してしまうのです。
  5. そのため、自社が欲しいターゲットをしっかり決め、そのターゲットのニーズをしっかりと捉えることが重要です。介護リフォームを考えている人たちが気になる情報はどういったものでしょうか。ベッドやフローリング、トイレ、お風呂を介護仕様にすることについて、など様々です。間違いなく費用や施工期間など現実的な部分も気になる情報でしょう。こうしたユーザーの潜在的に気になる部分をいかに詳しくわかりやすい記事で提供できるかが、ユーザーのピンポイントに欲しい情報につながります。
  6. サイト作成時には常に最初に決めた目的、ペルソナ、ジャーニーマップから外れないようにして統一感のあるコンテンツにすることが大切な要因の1つになります。もちろん、ペルソナやジャーニーマップに問題があればすぐに修正する必要がありますが、データをよく分析してから直すようにしましょう。
  7.  
  1. まとめ

  2. 成長しているメディアを見てみると、どれも継続してコンテンツを生産するための体制がある事がわかります。コンテンツマーケティングはすぐに効果を実感できるものではなく、時間がかかるものであるとあらかじめ知っておく必要があります。そのためメディアの成長に連れて必要な体制は変化することを前提に、継続して運営できなくなるような状態は避けるべきです。どのようにすると続けていける体制を作る事ができるのか、社内で考えることも必要でしょう。
  3. また、どのような分野でも最終的には人と人で行うものです。そのため、気持ちの良い仕事ができるようにお互いに配慮した対応をする事も大切になってきます。そういった環境を作る事で、コンテンツの修正依頼や案件獲得といったことがお互いにしやすく仕事の成果にもつながりやすくなります。
  4. コンテンツマーケティングで成果を出す体制について、導入前にじっくり考えてみることをおすすめします。

 

Topics: オウンドメディア, コンテンツマーケティング

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。