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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)で中小企業が売上を伸ばすのに必要なこと

2021年8月6日 (公開 :2020年11月25日)

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、AIや5G化といった先進的なデジタル技術を用いて、営業やマーケティング活動、商品管理といったビジネス全般に関する効率化を図るための施策です。リソースが大企業よりも劣る中小企業では、積極的なIT導入によって業務改善や競争力のアップを図ることが喫緊の課題となっています。DXを活用して売上を伸ばすには、さまざまな考えが必要になります。今回はDXの役割や課題について理解をし、企業活動におけるメリットや売上をのばすために必要なことを考えていきましょう。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 なぜDXが必要なのか
        1.  2 デジタル化の課題
        2.  3 課題の解決に向けて
      1.  4 まとめ
  1.  

 

なぜDXが必要なのか

今、DXの導入が必要な理由はいくつかあります。残業時間の上限規制や5Gの実用化、そしてコロナウイルスによる自粛要請など、相次ぐ制度変更や社会的な変動によって、企業もこれまでの体制やビジネスの手法に変革を考えなければいけない時代になっているという点です。

生産性の高い企業はデジタル化への投資に積極的に取り組んでおり、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、上位10%の企業は、売上高成長率が業界平均より8ポイント高く、デジタル施策の投資対効果は下位10%の企業の10倍でした。生産性が高くなると、一人あたりの賃金が上がり、作業工数にかける人材を少なくすることができるようになります。そのため、社員の満足度の向上や他の業務に必要な人員を確保できるといったメリットも挙げられます。

また、経産省のデータ(中小企業のデジタル化に向けて)では2010年以降、IT投資に積極的に動いている企業は、2007年以降から一度もIT導入をしなかった企業に比べて3.8%売上が向上していました。このように、以前から少しずつでもIT導入をおこなっていた企業はそうでない企業よりも、成果をあげていることがわかります。

世界に目を向けると日本はデジタル化で他国よりも劣っているというデータがあります。国際経営開発研究所による「世界デジタル競争力ランキング2019」では、日本のランキングは全体の23位と中国や韓国よりも劣っているなど、アジアの中でも差をつけられていることがわかります。例えば直近ではコロナ禍で露呈した日本と他国の対応には差がありました。コロナウイルスの蔓延初期には、日本だけではなく多くの国でマスクの供給不足が叫ばれていました。そんな中、台湾ではいち早く「マスクマップ」と呼ばれるマスクの在庫や販売している店舗をエリアや在庫数などで絞り込んでマップ化したサービスを始めました。これによりマスク争奪戦による混乱を最小限におさえることができています。わずか3日足らずでサービスをローンチできた背景には、普段から行政と民間の協業ができていたため、即座に対応することができたのでしょう。

DXを導入することで得られる効果は多くあります。例えばデータを一元管理することによってより生産性が可視化されます。勤怠管理や経費の精算といった、これまで手動で行っていた作業をシステムにより自動でおこなえるようになりました。これにより、最低限での労働力確保と作業工程の削減に繋がりました。

次にデータを活用した施策が行えるようになります。ほとんどの企業は、新しい施策を行う前には、過去にこれまでと似たサービスや商品における購買行動やデータなどをリサーチして仮設を立てます。DXを導入することにより、これらの統計やデータが自社における財産になり、今後のビジネスにも大きなメリットになります。

多くの人がDXなどのデジタル化を進める中で目が行きがちなのが、DXを利用した革新的な新規事業を作りあげることでしょう。しかし、DXの目的は既存のサービスや体制をデジタルの力を用いて効率的かつ便利にすることが目的であることを押さえておく必要があります。導入したからといって革新的なサービスができあがることはないのです。


デジタル化の課題

課題

デジタル化には未だに多くの課題があります。最近での導入実態はコロナ禍の影響から「リモートワーク」や「テレワーク」といった用語が知られだしたこともあって増加傾向にあります。時間短縮や業務の効率化など大いにメリットがある反面、対面での営業活動や商談ができないことによって、コミュニケーションの難易度が上がるなど課題も残っています。

経産省のテレワークに関する調査(中小企業のデジタル化に向けて)では2020年3月に比べて同年の5~6月では多くの会社で30ポイントから45ポイント増加していることがわかります。2020年はコロナウイルスによる影響から企業も半強制的にテレワークを導入しなければいけない状況になっており、多くの企業で導入が促進されました。また、インサイドセールス内で営業が完結できるような企業も増えてきており、効率化がより注目された年になりました。しかし、企業内で浸透するまでは時間がかかることから、粘り強くインサイドセールスなどに向き合うことが重要です。

次にDXの導入にあたってはITリテラシーが高い企業と低い企業ではDXにおける入り方に違いがありました。経産省の調査ではITリテラシーが高い企業と低い企業においてITに関する相談相手の入り口が全く違うというおもしろいデータがあります。ITリテラシーが高い企業はデジタル化を考え始めるにあたって、依頼する企業はITベンダーや経営者仲間、ITの専門家などの実際に導入している人からの口コミやITに精通している人であるのに対し、ITリテラシーが低いとされる企業は販売代理店や士業、そして金融機関といった専門性も関連性もあまりない業者への相談をしているのです。また、ITリテラシーがある企業は独自のシステムを構築していたり、クラウドサービスやウェブプラットフォームを活用する傾向があったりしますが、ITリテラシーが低い企業はそうしたものを活用しておらず、既存の手法を変えることに抵抗があると考えている課題もあります。

次に経営層の意識の違いについてです。デジタル変革における課題の一つに経営の意識があります。DXに取り組んでいない企業は経営層のデジタル化における理解度が低く、IT投資を行うことに対してコミットメントがありません。また、社内のデジタル人材の不足もあります。これまで、デジタル変革に取り組んできた企業でもデジタル化の成功に及ばなかった企業があります。それは、IT業務の全てをアウトソースしていた場合です。アウトソースしていることによって、一時的には業務の効率化につながり、うまく行っているような気になるでしょう。しかし、企業内にIT人材が育たないために業務や体制において大幅な変更が起きた場合に、対応するのが難しくなります。また、外部のエンジニアや担当者はあくまで「外部の人」であるために、自社のビジネスを完全に理解することが難しいという弊害もあります。ベンダーマネジメントだけではデジタル変革には限界があることを理解する必要があるでしょう。

また、外部からのデジタルエキスパートを迎え入れた際にも、社内におけるITリテラシーの高いデジタル人材が少ないことから、せっかく迎え入れても活躍するのが難しい場合があります。そうしたことを防ぐためにも外部の人材が活躍できる環境を作ることも課題になります。 デジタル変革の成功は、従来の企業変革よりもはるかに難しいのです。


課題の解決に向けて

解決

デジタル化を促進するためには資金が必要になり、中小企業がすべてを刷新して変換することは困難な場合もあるでしょう。そのために、補助金の活用がおすすめです。例えば、2020年度のIT導入補助金には通常枠のA、B類型と特別枠のC類型の3種類があります。Aの上限額は150万円、B、Cは450万円に設定されており、A、B類型では、導入額の半分、特別枠Cでは導入額の最大3/4が補助されます。こうした導入初期にかかる費用に補助をうけることで導入障壁を下げることができます。

サプライチェーンにおけるセキュリティ対策や部門間での情報共有は企業にとって重点的に対策をすすめる必要があります。特にサイバー攻撃によるインシデントの被害は重大で、対策は必須といえるでしょう。令和元年からは民間による中小企業向けのセキュリティ簡易保険サービスの実現をめざすために、「サイバーセキュリティお助け隊実証事業」も行なわれています。

課題解決をするためには、経営陣の意識チェンジの必要性があります。既存のシステムや手法で今はうまくいっているからと、現状維持でよいと考えている企業が多いのも現実です。それでは、コロナウイルスのような予期せぬ流行や金融危機などの経済ショックを受けた際に困難を伴います。現状維持ではなく商品やサービス、体制を時代のニーズにあわせて変えられる企業を目指しましょう。また、今後の日本では人口縮小によって、必然的に売上が下がる状況になってきます。その対策のためには商圏を拡大するなど、これまでは訪問営業でしか対応できなかったものを電話やデータに基づくインサイドセールスなどのデジタルツールによって拡大を図るといった対策が重要になってくるでしょう。

最後に経営層だけでなく会社全体でのデジタルマーケティング意識をもたせることが大切になります。デジタルマーケティングといってもウェブサイト最適化、SNS活用、コンテンツマーケティング、インターネット広告など様々ありますが、時代のニーズに沿ったマーケティング手法を活用するのがおすすめです。顧客の行動や趣味趣向に沿った顧客データを意識して施策を行う意識をもつことでより社内に浸透しやすくなります。


まとめ

新型コロナウイルスにより、中小企業に限らず多くの企業でDXが進んでいく一方で、これまでの日本の取り組みが遅れていたことが露呈された結果になりました。未だに行政がファックスや手動での集計を行なっていたり、金融機関などでも印鑑や対面手続きが一般的であったりすることを考えると、日本はまだまだデジタル化にとりのこされているのが現状です。このまま既存システムを利用し続けると2025年以降に現在の3倍以上となる12兆円もの経済損失になるとの見方もあります。

今後すべての情報がデータ化していくなか、DXを実現することができないとデジタル競争でどんどん取り残されていくことになるでしょう。そうしたことを防ぐためにも、ベンダー企業に丸投げするのではなく、自社の課題や改善点を自分ごととして把握していくことが必要になります。

 

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Topics: 中小企業, デジタルトランスフォーメーション

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。