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ホテルの海外マーケティング成功事例。これから求められる顧客視点、顧客満足度とは

2021年8月6日 (公開 :2020年11月30日)

新型コロナウィルスの影響を受け、旅行業界は大きな打撃を受けました。今後新型コロナウィルス以降に旅行需要が戻ったとしても従来どおりには行かないと思われます。そこで重要となってくるのが、マーケティングです。本稿では、海外でのホテルマーケティングの成功事例をご紹介します。新型コロナウィルス以前の事例もありますが、是非参考にしていただければと思います。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 Four Seasons Resort
      1.  2 Circa 39
      2.  3 Hotel Kungsträdgården
      1.  4 ホテルマーケティングのポイント
      2.            A  顧客視点でのコンテンツ提供
      3.            B 顧客満足度の意識
      4.            C 柔軟に対応できる仕組みづくり 
      1.  5 まとめ
  1.  

 

 

Four Seasons Resort

Four Seasons Resortは、世界で展開している国際的なホテルチェーンです。Four Seasons Resortはデジタルマーケティングに力を入れて成功している事例です。Four Seasons Resortが行った施策は、ウェブマガジン、バーチャルコンセルジュ、SNSの活用などです。ウェブマガジンFOUR SEASONS MAGAZINEでは、旅先でやることに限定したニッチな視点でのコンテンツを提供しています。例えば、食や子供と家族、買い物など旅行で行いたいアクティビティーを中心にコンテンツを制作することで月間来訪者数は50,000人を超えます。このように旅行に行く人視点でコンテンツを作成することにより、他のホテルのウェブサイトと比べても多くの訪問者を獲得しました。SNSでは、これからFour Seasons Resortに旅行を予約した顧客に向けて、Pinterestを活用してローカルエキスパートが旅行プランをおすすめします。Pinterest上でおすすめの場所やお店などの魅力的な写真を提供することで顧客は旅行先でのイメージを膨らますことができ、SNSを通して顧客との関係性を築くことで旅行体験をより高められました。デジタルを活用する際も顧客視点を意識したコンテンツを作成することで大きな成功に繋がります。また、ホテルではリアルの場が大事ですが、リアル以外でもデジタルの場も活用して顧客のロイヤルティー、満足度を意識した施策を行なうことが重要です。        `

 

Circa 39

Circa 39は、アメリカのフロリダ州マイアミビーチにあるブティックホテルです。マイアミビーチは、アメリカのリゾート地であり、競合がひしめく中でCircaはリノベーションを完了したことで、認知度アップというのが大きな課題でした。そこで利用したのがインフルエンサーマーケティングです。トップの5の旅行YouTuberをマイアミに招待し、新しいホテルの設備を紹介するとともに、マイアミの魅力を伝える動画を制作しました。

トップYouTuberを活用することで旅行へのニーズがある幅広いニーズにリーチができ、動画という媒体を使うことでブログなどでは伝えきれない情報をユーザー目線で伝えられます。ビデオをアップした結果、50万再生を獲得し、YouTube以外にも様々な媒体に掲載されたことで1億円近くのPR効果がありました。また、6万5000以上のシェアがあり、ポジティブなフィードバックがあり、予約数も大きく伸ばしました。このように、旅行客に近い視点で情報を発信することやインフルエンサーを活用することはホテルのマーケティングにとっても大きな効果があります。

 

Hotel Kungsträdgården

スウェーデンのホテルは、コロナの中でも売上低下を免れた数少ない事例です。スウェーデンは他の国と比べても手洗い、除菌などのマナーが定着していたため、政府からの規制が緩やかでした。そのような中で、顧客に合わせたマーケティング施策を数多く実施したことで低下を受けずに売上が回復しています。実施した施策としては、下記のようなものがあります。海外旅行ができないため、国内旅行などにおいて、延泊や長期滞在のためのパッケージを充実させ、顧客に○泊以上はアップグレードするなどのオファーを呈示しました。また、その他に状況的にすぐ予約確定ができないことからギフト券や宿泊券を特別プロモーションで提案することで顧客の旅行したい欲求を満たし直近の売上を確保しました。また、それ以外にファンとの関係性づくりに力を入れています。例えば、メルマガやSNSを活用し、常にファンとの接点を持つことを意識した施策を行っていました。このような施策を新型コロナウィルスが流行し始める4月ごろから早めに実施することで大きく売上が低下せずに回復しています。このような危機的状況においても、トレンドや時流においてフレキシブルに対応できる仕組みを作ったり、常に顧客との接点を持つようなコンタクトポイントを持ったりすることが重要です。

 

ホテルマーケティングのポイント

最後にホテルマーケティングのポイントをご紹介します。

海外のホテル

顧客視点でのコンテンツ提供

ウェブサイトのコンテンツ、動画コンテンツ、SNSなど様々なメディアが登場しています。しかし、そのときに重要なのは、顧客視点での情報を発信することです。顧客がホテルでどのように過ごしたいのか、顧客が旅行に来てどのようなことをしたいのかなどを理解した上でコンテンツを作成しましょう。その際に有効なのは、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーとは、顧客が予約をしてから実際のホテルでどのように過ごしているのかという顧客の行動や、その上でどのような情報を求めているのかを整理します。カスタマージャーニーを整理することで顧客が求めている情報などが整理できるため、それにあったコンテンツを制作する事ができます。

 

顧客満足度の意識

マーケティングを行なう上で、ただ顧客を集客するのではなく顧客の満足度を高めることがこれからの時代はより重要になってきます。顧客の満足度を高めることで、ファンになってくれるため、危機的な状況においても規制がなくなったタイミングでまた利用してくれる可能性が高くなります。顧客満足度を高めるためには、従来はリアルの体験価値を高めることが重要でした。しかし、現在デジタルの重要度が高まっており、新型コロナウィルスの影響のようにリアルでの接点が持てなくなってしまう中でどのように顧客の満足度を高められるかが重要になってきています。デジタルの場でもどのように顧客と接点をもてるのか、どのように顧客の満足度が高められるのかを検討してみましょう。

 

柔軟に対応できる仕組みづくり

最後は、社内の体制も含めた体制づくりです。従来の組織はなにか施策をやるためには社内での承認がたくさん必要な場合が多いかと思います。しかし、このような緊急事態にこそ柔軟な対応ができる体制が今後より一層求められます。ホテルの事例とは違いますが、2013年にアメリカで最も視聴率が高いといわれているアメリカンフットボールのスーパーボウルの最中に停電が起きました。停電した時間は34分ほどでしたが、その間にオレオがTwitterで「停電でも心配ない、暗闇でもダンクはできる」というTweetをしたことで2万件以上のいいねを得て、クールなブランドというイメージを獲得しました。(ダンクとはオレオをミルクにつけることです)

 

このように危機的な状況を活用することでそれがブランドイメージや企業イメージアップに繋がる場合もあります。そのため、どのような状況においても柔軟に対応できるような仕組みづくり、体制づくりを行なうように心がけましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。現在新型コロナウィルスの影響でホテル業界は厳しいですが、このような状況だからこそデジタルマーケティングが重要になってきています。しかし、ただマーケティング施策を行えばいいのではなく、顧客がどのようなことを求めているのかなどをしっかり理解することやどのような状況でも柔軟に対応できることが重要です。施策を始める前には、まずは旅行に来る顧客がどのようなことを求めているのかなどのニーズを整理することから始めてはいかがでしょうか。

 

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Topics: その他業界, デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。