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リードナーチャリングとは?顧客化に向けてすべき4つのこと

2021年8月6日 (公開 :2020年12月22日)

人々の嗜好や社会の変化に加え、激しい市場競争や市場が飽和していく中で、多くの企業が対策を考えなくてはいけない時代になりました。リードナーチャリングが注目されている背景の一つに、消費者がインターネットを使いこなしていることが挙げられます。BtoCでは当たりのことですが、BtoBでも気になる商品やサービスを購入する際に、インターネットを通して検討することが多くなりました。これに加えて、従来の訪問型の営業やテレアポによるアプローチが敬遠されているのも大きな要因の一つです。そのため、企業はこれまで以上に顧客に寄り添った価値のあるサービスを提供しなければ消費者に振り向いてもらえない状況になってきています。

顧客をしっかりと引き寄せ続けるためにも、リードナーチャリングをしっかりと理解していきましょう。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 リードナーチャリングとは
      1.  2 ナーチャリングの進め方
      1.            A  リードの収集
      2.            B  MAツールへの収納
      3.            C  リードの仕分け
      4.            D  ナーチャリング
        1.  3 まとめ
  1.  

 

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、一言で言うと「見込み顧客の育成」という意味があります。これまでの交流会や展示会などで集めた、個人名やメールアドレスなどの顧客情報のことを「リード」と呼びます。このリードに対してメールなどの連絡媒体を使って定期的な接触をはかることで、相手に商品やサービスの認知を行いつつ、時間をかけながら「興味がある」や「検討したい」という状況にしていくのです。

このように商品やサービス興味を示したユーザーに対して、最適な時期に最適な提案をすることで、「成約」というゴールにつなげることが可能になります。その他にも、インサイドセールスによる定期的なヒアリングを兼ねた接触で、中長期的にリードの育成を行う方法もあります。そして、営業による商談の前段階を作るための作業として、検討度が高くなったタイミングで、フィールドセールスに引き継ぎをします。

リードナーチャリングは長期的なスパンで、ユーザーに少しずつアプローチを行い、信頼や安心を得ていきます。その中で、ユーザーの心を動かすことができると顧客の獲得もできるようになります。

 

ナーチャリングの進め方

リードナーチャリングを進めるにあたってはどのような手順があるのでしょうか。また、必要なツールも含めて見ていきましょう。

 

A リードの収集

まずは名刺交換やセミナーの開催によって情報を獲得する方法です。実際に会って話ができることから、営業担当者自身の気持ちや印象を強く与えることができます。

オンラインとオフラインそれぞれに特徴がありますが、最近ではリードの獲得方法も多様化してきており、ブログなどのコンテンツマーケティングを用いたものや、広告を用いてリードを獲得する手法などがあります。

コンテンツマーケティングでは、ユーザーが欲していて、ためになるような内容をブログや企業メディアなどの媒体に掲載します。加えて、コンテンツマーケティングの成功にはSEO対策をすることが必須になります。Googleに認められた記事は上位表示することができるため、より多くのユーザーに見てもらいやすくなるという特徴があります。そして、ユーザーが検索したものにマッチした内容を見てもらうことができれば確度の高いリードの獲得に繋がります。

次に、広告を用いたリード獲得です。Web広告には「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」などさまざまな広告が存在します。短期間で出稿できたり、費用によって出現頻度を調整できたりするメリットがありますが、最近ではありふれすぎた広告を毛嫌いするユーザーが一定数いることも考慮しましょう。しかし、さまざまな媒体に掲載することが可能なため、ターゲットにしたいユーザーが多く利用している媒体に掲載することで、初期段階でも比較的早期に結果をだすことが期待できます。

 

B MAツールへの収納

これまでは営業がとってきた、商談日時、商談内容などの顧客情報は、営業担当自身でエクセルなど情報管理ツールに入力することが一般的でした。MAでは登録フォームから獲得した顧客情報もセミナーや名刺交換から獲得した情報も一括で管理することができます。MAとはマーケティングオートメーションの頭文字で、マーケティング活動を自動化して顧客管理やニーズを育てる業務を効率よく行うことができます。自社のホームぺージの特定の画面をリードが見たら、案内メールを自動で出すなど、事前に条件を設定しておけばシステムが自動で動いてくれるため、大変便利です。

テレアポにおける内容やこれまでの商談結果を記録として残しておくことで、営業におけるプロセスごとに分析し、強みや弱みについての把握が可能になります。そのため担当者が不在の場合や、引き継ぎのタイミングでも記録として残しておくことができるので、スムーズな対応が可能になります。

自社における営業、マーケティングの考えだけでなく、顧客の満足度の向上など、カスタマーサポートにおいてもクオリティをあげることができるのです。

MA

 

C リードの仕分け

顧客情報を獲得しても、そのすべてがすぐに確度の高い見込み客になるのではありません。まだ検討中の見込み客には定期的な接触をはかるなど、ニーズを徐々に育てていくことが必要になります。コンテンツマーケティングとCRMを連動することによって、IPアドレスからサイトの訪問履歴を表示することができます。これによって、ユーザーがどれだけサイトに滞在したかを知ることができるなど、ユーザーの興味に対する温度感の把握が可能になります。

アプローチによって関心が高まったユーザーは、フィールドセールスやインサイドセールスへの引き継ぎをおこないます。しかし、同じように興味・関心をもっていても、リードの所属組織や地位によってニーズの強さに違いが出る場合があります。そこで、購買意欲をはかるために購買行動を数値化することが必要になります。多くのツールでは数値化してユーザーの状況を顧客ステージによって細分化させるなど、営業におけるアプローチの基準を作成しています。

判断基準としては「属性」「興味」「活性」の3つです。「属性」は企業の業種や地域、担当者の役職や部署などから判断します。

「興味」はリードがサイトにアクセスする頻度の高さや無料トライアルの活用をしているかなどによって、どのくらい商品やサービスに興味をもっているかをスコアリングします。

「活性」はリードがとった行動から次の行動までにどのくらいの期間があいているのかを測ります。活性期間が今であることと、数ヶ月前に活性が高かったのとではリードの購買意欲度合いに大きな差が生まれます。

このようにスコアリングによって、適切なタイミングでのアプローチの獲得を客観的に判断することができます。ユーザーに対しての働きかけを今行うべきなのか、緊急性はないのですぐにする必要はないのか、といった時期を見定めることができます。これにより、営業活動とマーケティングにおけるデジタル化をすすめることができ、活動の可視化を行いやすくなります。

 

D ナーチャリング

最後に、カスタマージャーニーに従ってランク付けされた顧客ごとに最適なコンテンツを用意し、どのような施策をどのタイミングで行うのかといったことを考えます。MAではこのことをキャンペーンと呼び、これまでの情報から最適なタイミングで最適な施策を提案することができます。

主な施策にはセミナー(ウェビナー)、メルマガ、SNS、インサイドセールス、DMがあります。

セミナーには場所の確保やセミナー自体の集客に手間がかかることもあります。しかし、訴求力がある人物がセミナー講師となることで、一度に複数の人物に対して営業ができることや、購入に対して積極的な参加者がでることで集団心理を働かせるなどのメリットがあります。また、社内での体制が十分でない場合には社長か社員が自ら行うことができることもメリットになります。最近ではウェビナーといわれるオンライン上で開催されるセミナーが普及しています。オンライン上で行えるため、遠隔地でも参加できることや、設営や交通費がかからないといったメリットがあることで注目されています。

メルマガではメールアドレスを登録しているリードに対して、新商品の紹介、セミナーの開催、ユーザーのためになる知識や情報を定期的に配信して中長期的に関係を築いていきます。内容を考える手間はかかりますが、HTMLメール形式を活用することで開封率やクリック率、コンバージョン率を計測してユーザーの興味を計測することができます。

次にSNSマーケティングによるリードの獲得です。Instagram、Facebook、Twitter、LINEといっSNSは近年では企業が認知や集客活動をおこなう上で重要な手段となっています。最近では店舗の情報などをInstagramで検索したり、文字や写真よりも説明がわかりやすい動画をYouTubeで検索するユーザーも多くいます。

また、拡散スピードが早く、共感したユーザーによるリツイートやシェア、引用機能により、爆速的に投稿がシェアされることも大きなメリットです。

SNSはいろいろな媒体があり、基本的にはターゲットが多くいると予想されている媒体を運用することが良いとされています。しかし媒体によって、それぞれ年齢や性別など利用層が異なるため、2つ以上運用することで、幅広いユーザーに届けられるように強化することも可能です。

インサイドセールスでは、電話やDMを使って定期的にユーザーとコンタクトをとることで、ナーチャリングを行います。テレマーケティングのようにインサイドセールスが直接アポをとりにいくのではなく、接触を図る中でユーザーとの関係をよくしてニーズを引き出すことが目的です。そのため、効率の悪い電話営業からの開放が期待できます。

 

まとめ

リードナーチャリングは情報の発信や定期的なユーザーとの接触をはかることで、密接な関係をつくります。そのプロセスのなかで大切になるのは、企業としても信頼性をあげることです。良い商品をつくっていても会社への信頼度が低いと思い通りの結果を出すことは難しいでしょう。

また、すぐに成果がでるものではないため、育成するプロセスの分析、改善をしっかりと行い、自社の課題を定期的に洗い出して、他社の成功事例を自社に適応させるなど戦略を立てて、うまく企業活動に役立てていきましょう。

Topics: マーケティングオートメーション

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。