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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

中小企業が今やるべきは集客なのか?マーケティングなのか?

2021年8月6日 (公開 :2020年11月11日)

集客とマーケティング、同じものだと思っていませんか?集客とマーケティングの違いはなんとなくわかっていても、明確に違いを説明することはできるでしょうか?特に最近では新型コロナウイルスの影響もあり、密集しやすい店舗などでは集客することが難しい業種も出てきています。そこで、中小企業が今がんばるべきことはマーケティングなのでしょうか?それとも集客なのでしょうか?マーケティングと集客、それぞれの違いを明確にしながら、今中小企業がすべきことを解説していきます。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 集客とマーケティングの違いとは
      3.            A  集客
      4.            B  マーケティング
        1.  2 中小企業がマーケティングをできない理由
        2.  3 ツールを使ったマーケティング
      1.  4 まとめ
  1.  

 

集客とマーケティングの違いとは

A 集客

集客とは簡単に言えば、企業が商品やサービスを販売するために顧客となる人を集めることを言います。顧客は主に5種類に分かれます。まず、商品やサービスを認知していない潜在顧客、商品やサービスを認知していて購入してくれそうな状態の見込み顧客、商品やサービスを初めて利用してくれた新規顧客、商品を購入したことあるが店舗に来なくなったり定期購入しなくなったりした休眠顧客があります。この5種類ある顧客に対して適切なアプローチをする事で顧客となる人を集めます。

例えば集客の手法としては、以前からあるものではテレビCMを通して大々的にコマーシャルを打ち出したり、現代ではメディアやSNSを通して、ニーズのありそうなユーザーへ認知させたりするといった集客方法があります。ここで重要なのは、これらは「安さ」や「質の高さ」といったような中身を知らせることで顧客が集まるプロモーションということです。よく店頭に掲げてあるような「セール価格」や「今だけ〇〇円」などのお得感を感じさせるような広告は集客につながりやすくなります。商品やサービスが良くても集客が上手くいかなければ売上につなげることはできません。そのため、集客はとても大切な部分であるといえます。

 

B マーケティング

マーケティングとは、規模をどこまでにするのかによって意味は変わってきますが、ここでは、「どうすれば商品が売れる仕組みが作れるようになるのかということを考える活動」と定義します。ピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」(『マネジメント』ダイヤモンド社)とも述べています。つまり、マーケティングにはモノやサービスを買う仕組みを整えることによって、購買の流れができるようにすることを指します。

そのためには、ターゲットの設定をして、ターゲットに対して商品の性能や品質、価格といったところまでを決定します。その中でどのようなメリットが感じられたら購買してくれるのか、商品開発後もさらなる改良を行って顧客目線で物事を考えるなど、ユーザーとの良い関係を構築できるように取り組むことが必要です。

このように、集客もマーケティング活動の中の1つの手法であり、購買を目指す活動においてはどちらも重要であることがわかります。

 

中小企業がマーケティングをできない理由

デジタルマーケティング2

いまだに中小企業にありがちなのが、営業における業務で長年の勘に頼ってテレアポや戸別訪問をするというガテン系な営業形態です。集客に強い企業では、モノやサービスが売れる仕組みを数値の分析や業務効率化といったマーケティングに力を入れています。これによって感覚的なものではなく、実情を把握した上での対策をとることができるようになります。

産業や規模によってもちろん違いはありますが、中小企業で戦略室があるなど大企業並みに明確なマーケティング活動を行っているところは少ないのが実情です。本来は中小企業が大企業に勝つための戦略を考えるにはマーケティング視点を持つことが大切になります。しかし、専門的な知識が必要なため、取り組みを先延ばしにしているところも多く見受けられます。さらに資金のある大企業はMBA資格者などを雇用し、専属部署を作ってマーケティングに多くのリソースを注ぐことが可能ですが、中小企業は予算も人材も不足しているため、同じ商品やサービスを販売するためには工夫が必要になります。

中小企業のマーケティング導入が進まない主な理由は、人材・リソース不足が挙げられますが、野村総合研究所の調査(中小企業・小規模事業者の成長に向けた事業戦略等に関する調査に係る委託事業
事業報告書)
では、多くの中小企業も市場ニーズを把握するために「既存顧客との関係強化」や「新規顧客・販路の獲得」といったマーケティング活動の一部分に力を入れることが大切であると考えています。

中小企業には、マーケティング活動をせずとも、社長や経営層によるこれまでの経験則やノウハウでマーケティングに代わるような活動を行っているところもあります。しかしこうした肌感覚で行う経営や営業活動はどういった影響でうまくいかなくなるのかがわからないというリスクがあります。

最近ではマーケティングの中でもデジタルマーケティングが主流となっており、ウェブ広告を用いた販促業務を行っている企業も増えてきました。専門的な知識が必要になるため、IT業界ではないほとんどの企業は、自社内でウェブを使ったマーケティングを完結することが難しいと考えているようです。そのため、広告代理店やデジタルマーケティング支援企業に依頼しているところも多くあります。テレワークなどの働き方も流行りにはなってきていますが、ウェブに関する知識が乏しい企業には電話やメールといった非対面での説明が難しい傾向があります。特に地方ではこうした傾向が強く、導入が遅れている原因にもなっています。

 

ツールを使ったマーケティング

デジタルツール2

仮に人材不足やマーケティングに関する知識に強くない場合には、ツールを用いたマーケティングを導入してみてはいかがでしょうか。例えばMAではマーケティング業務を自動化することで効率よくマーケティングを行うことができます。主に顧客とのやりとりについて特化しており、顧客のニーズやステップに合ったメッセージを適切な相手に届けることができます。MAが中小企業で活躍するのには3つの理由があります。

1つ目はユーザーの生活様式の変化があります。商品を売るためにも認知活動は必要になりますが、時代の流れによって認知させる方法が大きく変化してきました。2000年前後ではテレビや新聞といったマス広告によっての認知活動が一般的であったのが、インターネットの普及とともにスマートフォンやSNSを利用する人が増えたため、人の集まる場所が変化していきました。これによってユーザーの嗜好も多様化してはっきりとするようになり、好きなチャネルごとに届けることが求められるようになりました。

2つ目はユーザーが多忙になっている事と求める質が厳しくなっていることです。対象が企業の場合には昔のようにテレアポや訪問型の営業で商品を販売することは、様々な理由で敬遠されるようになってきています。また、対個人の場合でもそうですが、商談の場を設けてもらう場合にはユーザーは既に他のサービスと比較している場合も多く、商品やサービスの質に対する意識が高くなってきています。

3つ目はデジタルツールの進化です。MAなどのITツールを導入せずに、担当者が一人で数十件以上の顧客相手に新規・既存に対してタイミングを逃すことなく対応を行うのは困難です。しかし、ITツールを利用することで、何百、何千といった見込み顧客や既存顧客に対してメールなどのコンタクトを取ることができ、顧客が必要としているタイミングで情報を知らせることが可能となり、効率の良いアプローチができるようになります。

また、MAを導入し、主要機能である自動化機能の設計をする場合、必然的にリード生成から顧客へのフローの点検をすることになるため、再度商品やサービスを分析することになります。さらに購買までの顧客の行動に目が向くため、嫌でもマーケティングを行うことになります。SFAの導入の際のパイプライン設計も、セールスのフローを再点検し登録することになるので、自然とマーケティングになります。MBAで習うようなマーケティング手法を駆使することはできなくても、MAやSFAといったツールを使えば、勉強に費やす時間やコストを削減してすぐに導入することが可能となります。必要なのは結果であり、知識ではないのです。ましてマーケティング人材が不足していることが多い中小企業の場合なら、これらのツールは大変便利といえるでしょう。ちなみに多くのMAでは導入支援業者にサポートを頼むこともできるので、導入に不安を持つ必要はあまりないでしょう。このように多くのメリットがあるMAですが、費用(有料版)については月額数万円から導入できるツールもあります。HubSpotのように無料版から試せるものもあります。

 

まとめ

ここまで、集客とマーケティングの違いについて述べてきました。企業内でデータ分析やフレームワーク等の知識をつけるのはとても大切です。しかし、多くの時間とコストがかかる事を考えるとITツールを導入する方が現実的な手段であるといえるでしょう。また、集客はマーケティング活動の一部であり、中小企業が自力で取り組むことが難しい場合には、広告代理店などに依頼するのも1つの方法です。また、資金に余力がない時点で新しい部署を作るのは現実的ではありません。そのため経営層自らマーケティング業務を兼業するなど、少しずつマーケティング視点を持って取り組むことが得策です。その際にはこれまでの組織の業務の見直しを考えることが大切となります。

モノが少なかった時代では企業が商品を作れば作るほど売れていました。しかし現代ではモノが溢れすぎているため、消費者に合わせたタイミングで適切な商品について届けることが大切です。これまでよりもさらに「企業起点」から「消費者起点」へと考えることで消費者とうまく付き合っていくことが重要になります。

最後に、最も大切なのは経営陣が覚悟を持つことです。これまでの古い体制を変えることは、そう簡単なことではありません。また、すぐに顧客との良い関係や結果を得ることは難しいでしょう。そのため、粘り強く徐々にマーケティング意識を浸透させて、コロナにも負けない強い経営を目指していきましょう。

 

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Topics: 中小企業, マーケティングオートメーション, 集客, デジタルマーケティング

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。