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企業がマーケティングオートメーションの導入で気を付けるべきポイント

2021年8月6日 (公開 :2020年12月9日)

時代の流れによる変化やIT技術の向上により、マーケティング手法も効率を追い求めたものに変化しています。なかでもマーケティングオートメーション(MA)の活用は近年急速にすすんでおり、多くの企業で導入が始まっています。しかし、すべての企業がうまくいっているわけではないのが実情です。今回はMAを導入する上で気をつけるべきポイントについてご説明してまいります。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 MAとは
      1.  2 導入前に考えるべき4つのこと
      1.            A  自社に必要な機能の洗い出し
      2.            B  社内体制の構築
      3.            C  目的の設定
      4.            D  リード確保の導線設定
        1.  3 まとめ
  1.  

 

MAとは

MAとはMarketing Automationの頭文字をとったものです。マーケティング活動を自動化、仕組み化することによって、従来は人の手によって行なわれていた時間のかかる作業の効率を高めたり、機械によって多くの情報を一斉に管理することでミスや社員の負担を減らしたりすることを期待できます。

MAを使ってできることは主に4つあります。1つ目は見込み客の創出です。従来のリスト獲得など、顧客情報を集める業務になります。しかし展示会やセミナーの開催、営業時の名刺交換を行うだけでは、手間もコストも多くかかるため、どのくらいのリードを獲得できるかの見込みや、多くのリストを集め続けることは困難です。MAを活用することで、現在あるリードの状況やリードを行ったアプローチの結果、またこれからどのくらいのリードが必要になるかを一括で管理することが可能になります。

2つ目は見込み顧客の育成です。まずは商品やサービスを知らない段階から、興味をもってもらうフェーズに移行させます。見込み顧客の育成にはメールの定期配信やブログの更新を行うことでユーザーに認知させ、リードの見込み確率を上げることが可能です。より質がよく、より効率的にリードを獲得するためには、コンテンツマーケティングの概念をもつことが必要です。この業務には顧客のペルソナを決め、ニーズを満たすコンテンツを定期的に配信することで、顧客との接点を増やしファン化していくことを目指す作業になります。MAを活用すれば、適切なタイミングで見込み顧客との接点を作ることや、一斉にメール送信をすることができるようになります。

3つめは見込み顧客の分類です。営業活動を行うにあたって、ニーズの見込みがまったくないような顧客に時間をかけるのは非常に効率が悪いと言えます。そのため、見込み顧客の分類をおこなうことが必要です。オウンドメディアへの足跡の頻度を確認することで、よりニーズが強い見込み顧客を優先し、効率的に営業活動を行うことが可能になります。

最後に、見込み顧客の管理を挙げることができます。毎日多くの人と会うことになる営業部や社長は名刺が増えすぎて、いつの間にか必要なものとそうでないものがぐちゃぐちゃになって溢れている、といった事態を経験したことがある方はいるのではないでしょうか。そうなれば、すぐに顧客の情報をとりだすことができずに機会を損失してしまうこともあります。MAによって名刺の内容だけでなく、進捗も一括管理することで、必要なときにすぐに情報を確認することができるようになります。

このように、MAを活用することで今までの業務の一部を効率的に遂行することが可能になるのです。

 

導入前に考えるべき4つのこと

重要ポイント

A 自社に必要な機能の洗い出し

導入前に考えなければいけないことは、自社に足りない要素が何なのかを把握することです。そのためには現在のマーケティング活動における現状を知らなければいけません。そのなかで、課題についての認識をし、課題解決に向けた方法を考察します。

たとえば、見込み顧客が少なく、手作業によって負担になっている管理業務があることで、休眠顧客への対応ができていない状況という課題を挙げます。そのなかで「見込み顧客の数を増やしたい」「業務の自動化を図りたい」や「休眠顧客を復帰させたい」といった、マーケティングにおける解決するべきことをはっきりとさせます。これによりMAを活用するべき部分とそうでない部分の区別を行うことが可能になります。

 

B 社内体制の構築

MAの導入で大切なこととして、社内の環境を構築することが挙げられます。MAを運用するにあたって必要になる担当は、メルマガの作成・配信担当、セミナー全般などを行うコンテンツ作成担当、リードを生成するためのインサイドセールス担当、営業にトスアップする手法であれば営業担当などが挙げられます。これに加えて全体の進捗管理をするリーダーも必要になります。多くの企業は営業とマーケティング部門がそれぞれで独立して業務を行っていることが多いですが、MAを導入するにあたっては、部門間で連携して業務を遂行するための体制に切り替えることが望ましいでしょう。その際には、有望なリードかそうでないのかを両方の共通認識ができるように「スコアリング」などの取り組みも必要になります。また、やるべき業務の役割分担は明確にする必要があります。これにより、双方で曖昧になるような状況をつくらないようにすることが大切です。

このように、決して少なくない工程や分野に分かれることもあるので、運用する際には初心者ではなく、それなりに経験がある人物を責任者として配置するのが望ましいでしょう。

社内で十分な担当者を確保することができない場合には外注するのも一つの方法です。その際には、自社でできない部分のみを外注に頼り、徐々に自社内で完結できるようにすることを目的とするとノウハウの蓄積にもつながります。

 

C 目的の設定

MAは短期間で成果が出るものではありませんので、中長期的な目標を持つことは非常に大切になります。素早い行動に移すことはとても重要ですが、目標を決めていないと行き当たりばったりのアクションになってしまい、無駄が増えてしまうため、時間やコストの浪費になりかねません。

そのためKPIを設定する必要があります。KPIを作ることでゴールが設定され、そのゴールにたどりつくためにやるべきタスクが明確になります。また、PDCAを回しながら、短期、中期、長期で目標を決めてアクションすることで、成果に繋がりやすくなるでしょう。

目標の基準は、導入後3ヶ月~半年で何件の見込み顧客を獲得できているのか、長期的には営業へのトスアップ後に何件の成約につながったのかを設定するのがおすすめです。

次に具体的なKPIの設定例を見ていきましょう。

具体的な例としては、「開封率」「コンバージョン数」「クリック率」が挙げられます。

「開封率」はメルマガなどにおけるメールマーケティングの開封率を上げることです。開封率を向上させるには、メールの件名における文言を魅力的なものにし、開封されやすいタイミングを図ってメールを送信するなどの対策が可能です。

「コンバージョン数」は資料のダウンロード数や問い合わせ数を指標にします。そのためには資料の内容を工夫し、サイトが見やすくなるように問い合わせボタンの位置や配色を変更するなどの対策を行うことが必要になります。

最後に「クリック率」についてです。これはその名の通りクリックされた確率のことで、ウェブサイトやメルマガからのURL、広告のクリック率を上げるための方法を考えます。クリック率があがるとユーザーの興味や関心がより高くなっていると判断することができます。

このように目標を設定することで進むべき方向性が認識でき、それにともないとるべきアクションも明確になるのです。

 

D リード確保の導線設定

そもそもリード数が十分な数に至らないとMAの機能をうまく活用することはできません。はじめのうちはなるべく多くのリードを獲得して、スコアリングの基準を社内で作成するのがおすすめです。データが少ないと、マーケティングで確度が高いと考えて獲得したリードにも関わらず、いざ営業が商談を行うと実はそうではなかったなど、成果につながらないことが起こり得ます。

MAは自社の商品やサービスを知っているが興味・関心がないユーザーに対して、メールマガジンなどで定期的に情報を提供することが可能なことから、見込み顧客の関心レベルをアップさせることができます。

インサイドセールス用に企業の問合せ窓口へメールや連絡をするためのリストを買う方法もありますが、ベストなのはコンテンツマーケティングを活用することでしょう。Webサイトに訪問してくれたユーザーをリードにするためにはアクセスの解析と、ホットなタイミングでの接触が重要になります。

コンテンツマーケティングでよく使われるものとして、ブログなどのオウンドメディアがあります。BtoB向けのメディアである場合には、コンテンツ内にタグを埋め込んでおくことで、ウェブトラッキングをすることができ、どのような企業がサイトに訪問したのかを確認することができます。そのため、訪問したユーザーに対してタイムリーにコンタクトをとることが可能になるため、確度の高い接触を図れます。そして、訪問したユーザーの情報を確認できると、事前に設定しているペルソナのターゲットに情報が届いているのかどうかを認識することができます。

また、SNSやメールマガジンといった複数のチャネルを活用し、コミュニケーションを強化することでより広い範囲での接触が可能になります。MAを活用した分析ではその人に合った内容の広告や、メール配信を適切なタイミングで何度も行うこともできるので、ホットな時間を逃すことが少なくなります。

最後にランディングページの作成は顧客情報を得るための受け皿を広げるために使える方法です。コンテンツによってダウンロードやセミナー参加への導線をつくりフォームへの入力をしてもらうことで、マーケティング活動に活かすことができる情報を獲得することができます。

 

まとめ

MAの活用はこれまで人力で行ってきた業務を機械で自動化することができるなど、魅力的なことが多いのは確かです。しかし、人間が全く関わらなくてもいいというわけでもありません。MAがきちんと活用できているのか、どのように運用していくかは人間が見極めコントロールすることが大切になります。自社にとって足りていない部分・必要な部分を明確にし、導入後の失敗がないようにすることが大切です。そして、導入後は社内全体で試行錯誤を行いながらうまく活用できるように近づけていきましょう。

Topics: マーケティングオートメーション

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。