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海外におけるマーケティングオートメーションの3つの活用事例

2021年8月6日 (公開 :2020年8月28日)

マーケティングオートメーションという言葉をお聞きになった方も多いのではないでしょうか。マーケティングオートメーションは、海外では大企業から中小企業までが導入しているツールであり、国内でも活用する企業が増えてきています。本稿では、マーケティングオートメーションとは、マーケティングオートメーションを導入のメリット、海外の導入状況などをご紹介します。

目次

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーションが求められる背景

マーケティングオートメーションの海外事例

事例から学ぶマーケティングオートメーションのポイント

まとめ

 

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーションとは、人が行っていた定型的な作業や人の手では膨大な時間がかかることなどを自動化することで、「顧客開発におけるマーケティング活動を効率化する仕組みやツール」のことです。具体的な機能としては、訪問者分析、リードスコアリング、リードナーチャリング、レポート作成などがあります。

つまり、新規顧客情報を一元管理し、潜在顧客の優先づけをした上でEメールなどでのキャンペーンを自動化して顧客獲得を目指すものです。

 

マーケティングオートメーションが求められる背景

マーケティングオートメーションは、日本と比べて欧米諸国、特にアメリカでの導入が盛んです。その理由としては大きく3点あります。

A 国土が広い

日本と比べてアメリカは国土が大きいため、営業・マーケティングの手法も大きく異なります。日本、特に東京の場合は、企業から呼び出されればスグに訪問できるというメリットがあります。アメリカでは国内の移動だけでも、ヨーロッパの場合は他国への営業も盛んですが、訪問するためには大きく時間コストがかかるため、電話、メール、ウェブ会議などを活用した営業スタイルが普及していました。このように電話、メールなどのツールをより効率的に運用するためにマーケティングオートメーションの導入が普及しています。

B 組織でのマーケティング

従来の日本の営業スタイルは、営業マンの個人スキルに依存したシステムであり、そのため、営業マンが転職や引退してしまうとそのノウハウやナレッジが引き継がれずに困るという場合もありました。しかし、欧米においては転職文化も盛んなことから個人に依存せずにどのように効率を上げていくのか、どのように運用していくのかが重要になります。このようなシステム構築のために有効なのが、マーケティングオートメーションの活用でした。

C マーケティングの地位

日本ではもともと製造業が主役であり、どのように効率的に製造を行うのか、どのような新たな機能を開発するかにフォーカスしていたため、マーケティングがないがしろになっている面がありました。しかし、欧米企業においては、マーケティング部門とは、全社戦略を規定する部門でありCMOなどの役職も大きな責任を担っています。このように、マーケティングが全社において大きな立場を担う中で、顧客のデータを一元管理し活用するマーケティングオートメーションの役割も大きくなるため導入が進んだと考えられます。日本でもCMOを任命することが増えてきており、その流れを受けてマーケティングオートメーションの普及も増えてきています。

 

マーケティングオートメーションの海外事例

それでは、具体的にマーケティングオートメーションを導入して成功している海外事例をご紹介します。

海外
A マカフィー

マカフィーはパソコン用のウィルス対策ソフトの有名な企業です。クラウドベースソフト開発した当初、高水準セキュリティーのデータ・ストレージを提供するなどコンセプトとしての受容性はとても高くリードを獲得できていました。しかし、コンバージョンレートが低く実契約につながらないという問題が発生していました。

そこでマーケテイングオートメーションツールを導入することで、リードの分析を行い、コンバージョンに繋がるメディア、クリエティブなのかなど顧客視点を強化しました。分析を基に、広告配信を改善するとコンバージョン率は400%改善し、企業としての業績も大きく伸ばしました。

B マテル

マテル社とは、バービーやミニカーのホット−ウィール、UNOなどを提供する世界最大規模のおもちゃ企業です。子供が生まれたばかりから大きくなるまで様々な商品を提供しており、成長に合わせて細かくブランドを設定していました。しかし、各ブランドでコミュニケーションを行っていたため、子供が成長すると別のメーカーのおもちゃに離脱してしまう事例が多く発生しました。そこで子供の成長に合わせて提案できるようなカスタマージャーニーを構築し、顧客の成長に合わせて最適なブランドが提案できるアプリを作成しました。アプリのダウンロードをすることで顧客の情報が入手できるとともに、新たなブランド体験も提供できます。

新たなブランド体験の例としては、マテル社の強みである「親も遊んだことがある」ということを活用し、親が子供のために自分が遊んだことがあるミニカーを購入するタイミングで、親子で遊べるレースゲームアプリも作成しました。レースゲームアプリを親子で遊べるという体験ができ、ブランドの構築に繋がります。

また、アプリのダウンロードは購入の際におすすめするのではなく、ダウンロードをしてくれない場合は、メールや電子レシートにダウンロードURLを明示しダウンロードを促す際にマーケティングオートメーションを活用しています。このように、BtoCで子供向けの企業でもマーケティングオートメーションを活用しています。

C SmartBear

SmartBearはアメリカのBtoBモバイル・クラウドソフトウェア企業です。マーケティングオートメーションは、企業をより成長していくためのインフラ整備のために導入しました。MAの導入前は、メールキャンペーンなどの小さなテストからはじめました。メールキャンペーンの結果から改善を行なった結果、リードは200%増加し、その中の80%は自動化プロセスにより得たターゲットだったといわれています。大きな成功の鍵はスモールスタートから開始した事と考えられます。マーケティングオートメーションすべての機能をいきなり導入するのではなく、自社の求めているものを明確にし、そこからノウハウをため、全体に展開することで大きな結果につなげました。

 

事例から学ぶマーケティングオートメーションのポイント

海外でマーケテイングオートメーションを導入して成功を収めている事例に関してご紹介しました。マーケティングオートメーションはただの仕組みであり、ただのツールです。導入すれば成功が約束されているわけではなく、戦略を練ることが重要です。最後にマーケティングオートメーションを活用するためのポイントをご紹介します。

A ペルソナの検討

1点目は、ペルソナの検討です。ペルソナと理想の顧客像を指します。自社のプロダクト・サービスの顧客にしたい像を具体的に思い浮かべることにより、どのような施策を行う必要があるのかが明確になります。ペルソナを作成する際のポイントは、できるだけ具体的にすることです。仮の名前をつけたり、何時に起きて、テレビを見るなど一日の具体的にしたりすることにより、どのようなタイミングに情報を伝えればいいのか、どのような情報が欲しいのかなどがイメージしやすくなります。マーケティングオートメーションも無闇矢鱈に実施しても意味がありません。どのような人にどのような情報を送るべきかをしっかり検討しましょう。

B スモールスタート

2点目は、スモールスタートから始めることを意識することです。マーケティングオートメーションは様々な機能があります。ツールを活用しようとすると、どうしても最初から全部使ってみようと意気込んでしまうこともあるかと思います。しかし、最初から全部使おうとした結果、どれも中途半端になってしまい結局使われなくなってしまったり、結果につながらなかったりということも多くあります。こうなってしまっては、費用も時間も無駄になってしまいます。このようなことを避けるためにも自社の状況を分析した上で、どの機能を使いたいのかを整理してみましょう。そして、その機能に優れたツールを探すのがいいでしょう。HubSpotのようにツールによっては無料である程度の機能を試すことができるものもありますので、お試しをしてから本格的に導入するのも一つの方法でしょう。自社に導入した際の課題やどのような成果を得られるのかが明確になり、本格的な導入もスムーズにいくようになります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。現在日本でも導入する企業が増えていますが、マーケティングオートメーションは欧米においては企業のサイズ限らず、多くの企業が導入をしています。BtoBサービス向けというイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。事例でもご紹介したように、BtoC企業でも活用されており、ペルソナの設定など自社の戦略次第なのです。マーケティングオートメーションの導入を検討してらっしゃる方はまず自社の課題を検討することから初めてはいかがでしょうか。

Topics: マーケティングオートメーション

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。