DIGITAL BUSINESS BLOG

今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

海外で成功したECサイトのデジタルマーケティング3事例

2021年8月6日 (公開 :2020年12月11日)

Amazonをはじめ、ECでサイトがすでに私たちの生活には欠かせない存在となってきています。様々な業種がECビジネスに進出している中で成功している業種とそうではない業種とで大きく異なります。本稿では、海外で成功しているECサイトのマーケティング事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 Fanatics
      1.  2 Iceland Groceries
      2.  3 Warby Parker
            1.  4 まとめ
            2.  

 

Fanatics

Fanatics は海外のスポーツ用品関連のECサイトです。ECサイトの課題は、どのように来訪者を増やすのかということとどのように顧客に再訪してもらうのかなどエンゲージメントをどのように高めるかです。Fanaticsはスポーツファンが一番に訪れてくれるサイトを目指してブログやSNSなどのコンテンツマーケティングに力を入れました。コンテンツマーケティングにおいては、スポーツファンが求めている情報を分析し、最新の試合や選手のトレード情報といったすぐ求められるトレンド情報とスポーツの歴史など長い間読まれるコンテンツのどちらにも力を入れて展開しました。トレンド情報のような最新情報は短期的なアクセスは見込めるもののピークを過ぎてしまうとアクセスが減ってしまいます。またスポーツの歴史などの記事は短期間ですぐアクセスが増えるものではありませんが、安定したアクセスを担保できます。このようにFanaticsは、来訪するためのコンテンツとエンゲージメントにつながるようなコンテンツのバランスを考えてコンテンツを展開しました。その結果、自然検索では1100%、ランキングキーワードは230%増加しました。また、作成したコンテンツはUSA Today、MSN、Yahooなどの大手サイトにも掲載されるようになり、スポーツファンの情報のハブとして認知されるようになりました。

ECサイトでもコンテンツマーケティングが効果的です。その時自社の情報だけでなく顧客のことを分析し、どのようなコンテンツが求められているのかを把握することが重要です。また、コンテンツには寿命があります。上述したようにニュース性がある記事は、一回のアクセスは増えるかもしれませんが長期間継続しません。現在SNSの登場などによりコンテンツの寿命は日々短くなっているともいわれています。しかし、一方汎用性がある情報は変わりません。サイトを運営していくためにはどのようなコンテンツが求められているかだけでなく、コンテンツの寿命もしっかり意識しましょう。

ECイメージ

Iceland Groceries

Iceland Groceriesは、北欧の冷凍食品を展開するECサイトの一つです。Iceland Groceriesの課題は消費者への認知が低く、顧客満足度が低いことでした。過去に有名人を活用したキャンペーンを展開していましたが、大きな効果を上げることができませんでした。その大きな原因は実際に利用している人や利用シーンを消費者は欲していたが、有名人ではそのようなリアル感が伝えられなかったことです。そこでマイクロインフルエンサーを活用したキャンペーンに方針変更しました

インフルエンサーキャンペーンを行う上で、ソーシャルリスニングなどを通して実際の顧客がどのようなコンテンツを求めているのか、どのようなインフルエンサーに反応するのかを分析し、50のマイクロインフルエンサーと提携を組みました。マイクロインフルエンサーは家庭環境や食事環境が全く違う層を活用し、どのようにIceland Groceriesの商品を利用して普段の生活に利用しているのか、冷凍食品でもどれだけ美しい食事、健康的な食事ができるのかをFacebookやYouTubeを介して発信してもらいました。その結果、FacebookビデオやYouTubeビデオのリテンション率は50%以上になり、商品満足度は10%から70%まで跳ね上がりました。

ECサイトの場合、顧客との直接の接触がないため顧客満足度を上げることは大きな課題の一つです。その時に活用できる手法の一つがインフルエンサーマーケティングです。インフルエンサーマーケティングを活用する際のポイントは商品特徴を理解した上でインフルエンサーを選択することです。よくある失敗として、どうしてもフォロワー数が多いインフルエンサーを選びたくなりがちかと思います。しかし、顧客との接点や共通点がない場合、いくらフォロワーがいても効果が出ません。そこで現在注目されているのがマイクロインフルエンサーです。マイクロインフルエンサーとは膨大なフォロワーがいるわけではないが、消費者に向けて一定の影響力がある人です。マイクロインフルエンサーのマーケティングは、特定の分野に大きな影響力があり、また消費者に近い目線での情報を発信でき、低価格で行えるという特徴があります。インフルエンサーマーケティングを活用する際には、フォロワー数だけでなく、消費者が何を重要視しているのかをしっかり把握した上でどのようなコンテンツ、どのような人とコラボレーションするのかを検討しましょう。

インフルエンサー 2

Warby Parker

Warby ParkerはNY発のメガネなどのアイウェアブランドです。Warby ParkerはD2C(Direct To Customer)ブランドの代表格といわれており、自社で企画・製造した商品を中間業者は介さず、直接消費者に販売します。また、基本的には実店舗での販売を行わず、自社運営のECサイトのみで販売しています。自社で企画から販売まで行なうため、高品質な商品を低価格で販売できるというメリットがあり、20,30代のミレニアル世代にうけており、AppleやGoogleを抜いて2015年にはFast Company社が提供する最もイノベイティブな企業リストの1位に輝いています。Warby Parkerが大きく成功を築けた理由は大きく3点あります。1点は、上述したように中間業者を介さないため、コストを抑えて低価格で高品質な商品を提供できたことです。2点目は、SNSを活用してファン層を拡大していたことです。3点目は、ECサイトの課題である商品を試せないという点を解決したことです。Warby Parkerはトライアルプログラムとして、無料でメガネのフレームを5点まで試着できるという「Home Try-on」を展開しました。送料、返送料はもちろん無料であり、このプログラムを活用することで消費者は実際に商品をトライアルすることができます。また、インフルエンサーなどを活用して、個々でのトライアルのフレームを多くの人がハッシュタグ「#Warbyhometryon」とともにSNSに投稿する導線を作成しました。その結果、多くのユーザーがSNSで実際にトライアルしている様子をアップし、商品の認知やファン層の拡大に繋がりました。このようにECサイトの課題を逆手にとり、新たなコミュニケーション手段にしたことが成功の大きなカギです。

Warby Parkerのように、小売店などの中間業は通さず、直接顧客との関係性を築くビジネスが流行しています。しかし、D2Cのビジネス基盤を築くのが大変という側面があります。現在のビジネスにどのような課題があるのか、それを解決するためのソリューション、自社がどのようなブランドなのかということの設計が重要になってきます。なぜ自社で買わなければいけないのか、何故買いたくなるのかなどをしっかり検討した上で取り組みましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。新型コロナウィルスの影響もあり、ECサイトでの買い物が消費者にとってより当たり前に、より必要になってきています。しかし、Amazonや楽天などの大手ECサイトが存在する中でただ作成するだけではコストが嵩むだけです。そのため、なぜ自社のECサイトで買わないといけないのか、自社のECサイトに来るきっかけをつくるなどの導線づくりが重要です。まずは自社のブランド価値を検討するところからはじめてはいかがでしょうか。

Topics: EC

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。