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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

海外で成功したデジタルトランスフォーメーション3事例

2021年8月6日 (公開 :2020年11月20日)

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を最近よく耳にすると思います。その中で自社にどのように適用していくのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本稿では海外で進んでいるDX事例をご紹介します。参考にしてみてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 デジタルトランスフォーメーションとは?
      3.  2 海外のDX成功事例
      4.            A  Best Buy
      5.            B  Hour Fitness
      6.            C  ThyssenKrupp
        1.  3 DXのポイント
      1.            A  顧客視点で考える
      2.            B  大胆な取り組みを恐れない目標設定
      3.  4 まとめ
  1.  

 

 

デジタルトランスフォーメーションとは?

DXとは、経済産業省のDX推進ガイドラインによると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。つまり、企業のビジネスプロセスや文化、顧客体験をデジタル技術によって進化させたり、新たに創造したりすることです。様々な企業がDXを行なうことにより、新たなビジネスチャンスを発掘し、競合優位な価値を提供して安定した収益を得ています。

 

海外のDX成功事例

具体的に海外でデジタルトランスフォーメーションが成功している事例をご紹介します。

海外のDX

 

Best Buy

Best Buyはアメリカの家電量販店です。AmazonなどのECビジネスが普及したことで多くの顧客が店舗に来て商品を確認し、より価格が安いECサイトで購入するといういわゆる店舗のショールーム化が進行していました。その結果売上が大きく落ち込みました。このような状況に対応するために、リアル店舗とWEBをかけ合わせ新たな価値やサービスを提供するDXを推進してV字回復しました。

実際に行った施策例としては下記のようなものがあります。ネットで購入したものが実店舗で受け取れるようなサービスを展開し、リアル店舗とネット店舗を連携させました。また、顧客が店舗で見た商品が競合のほうが安かった場合に、差額を返金するというプライスマッチングポリシーにAmazonのECサイトなども加えました。その他、店頭在庫を即座に反映したり、少ないクリック数で購入できたりするようにショッピングサイトの改善を行いました。このように、WEBとリアル店舗を組み合わせることでより満足できる顧客体験を提供しています。

また、様々なタッチポイントを設定して顧客のデータを蓄積することで、新たなサービスも立ち上げています。例えば、商品をオンラインで買ったら、梱包の解き方からセットアップまでを丁寧に解説したメールが届き、24時間年中無休で家電やテクノロジー商品に関して問い合わせができるTotal Tech Supportを立ち上げました。このようにデータを活用することで新たな顧客体験を提供するとともに、デジタルデータを活用して新たなサービスを立ち上げ、顧客体験を高める事によりBest BuyはV字回復しました。

 

24 Hour Fitness

24 Hour Fitnessは、日本でも展開しているフィットネスクラブです。24 Hour Fitnessは競合がパーソナルトレーナーを訴求したり、アプリを利用したりするヘルスケアサービスが増えている中で、自社のパーソナルトレーナーの利用率が3%にとどまっており、今後離脱が増える危険性があるということからDXの取り組みをはじめました。従来24時間いつでも利用できるという顧客利便性を訴求してきましたが、新たな顧客との関係性を構築する戦略に変更しました。同社が行った取り組みのメインはアプリを通したパーソナライズした体験を提供するということです。例えば、顧客のロイヤルティーや興味などの情報に合わせておすすめのパーソナルトレーニングを提示したり、オファーのカスタマイズを行ったりしています。その他、ジムのワークアウトだけでなく、自宅のワークアウトなどの進捗管理、トラッキング、それに合わせた目標設定、クラス紹介から回復の仕方などのコンテンツ配信などを行います。このようにジムだけで顧客との関係性を築くのではなく、日常や移動中なども常に顧客との接点を持つことで新たな顧客との関係性づくり、フィットネスにおいての新たな体験を提供しています。アプリは400万人いる会員のうち100万人が利用し、また顧客のロイヤルティーも高まっているとのことです。

 

ThyssenKrupp

ThyssenKruppは産業機械や鉄鋼の大手であり、エレベーターの保守点検サービスにデジタルトランスフォーメーションの取り組みを行なうことで、エレベーター業界に革新をもたらし、多大な収益とエレベーター利用者の時間を年間9500万時間節約できました。ThyssenKruppでは、エレベーターに数千のIoTセンサーを搭載することで、エレベーターの動作状況のデータをリアルタイムで収集し、異常があった際の即時対応を可能にしました。また、従来エレベーターが故障した際、2万4,000人のサービス技術者が派遣されていましたが、より作業を効率化するためにMicrosoftのMR(複合現実)ヘッドセットを導入しました。MRを活用することで、エレベーターの問題の可視化や特定化を予め可能にし、現場の技術者とリアルタイムでイメージを共有しながら対応ができるため、ストレスと負担が大幅に節減できました。このように、ビジネスだけでなく、保守点検などビジネスの効率、プロセスの改善を行なうきっかけとしてもデジタルトランスフォーメーションは欠かせません。

 

DXのポイント

海外のDXでの成功事例をご紹介しましたが、最後にDXを実際に導入する際のポイントをご紹介します。

ポイント

顧客視点で考える

DXというと、どうしてもデジタルの新しいテクノロジーを導入するということを意識してしまいがちです。しかし、DXを考える上で重要なポイントは顧客視点です。例えば、現在サービスやプロダクトを利用している顧客がどのような課題を持っているのか、どのような悩みを抱えているのかなどを把握したり、新たな顧客体験を提供するためには何が必要なのかなどを考えることです。企業側の都合ではなく、常に顧客視点でサービスやプロダクトを理解するようにしましょう。

 

大胆な取り組みを恐れない目標を設定する

上述したようにDXの目的は新たなテクノロジーを導入することではありません。そのように小さな目標を設定してしまうと結局導入したが、余計なプロセスを追加されただけで利用されないものになってしまう場合があります。このようなことを避けるためにも、なんのためにDXを導入したいのかを明確にしたうえで、なるべく大きな目標を設定しましょう。例えば、1部門に限定するのではなく、複数の部門にまたがることで新たなサービスを提供する事も可能になります。DXを導入する上では常に大胆さ、ビジネスを変革させるという意識を持つようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。日本においても2025年の壁といわれているように、DX は多くの企業が取り組まなければならない課題になってきています。その中で海外は様々な分野の企業がDXすることで大きな成功やV字回復をしています。このような企業の成功理由としてはテクノロジーだけを意識するのではなく、顧客視点を意識して新たな顧客体験を提供すること。そして個別の導入だけでなく常に大きな目標を持っていたことです。自社の中でDXを検討している場合は、まず顧客視点のサービスやプロダクトのニーズや不満を検討することから初めてはいかがでしょうか。

 

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Topics: デジタルトランスフォーメーション

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。

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