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海外で採用活動にデジタルマーケティングを活用している4つの事例

2021年8月6日 (公開 :2020年12月4日)

近年採用活動に力を入れている企業も増えています。特に、近年SNSなど様々なメディアの登場により、候補者と接触できるチャネルが増えてきた結果、採用活動にデジタルマーケティングを活用している企業が増加しました。本稿では、海外の採用活動でデジタルマーケティングを導入している事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 Netflix
      1.  2 アメリカ陸軍
      2.  3 Salesforce
            1.  4 Lego
            2.  5 Snapchat
            3.  6 採用活動におけるポイント
            1.            A  企業ブランディング
            2.            B  候補者への理解
  1.            C  採用だけにとどめない
        1.  7 まとめ
  1.  

 

Netflix

Netflixは近年採用活動のマーケティング活動に力を入れている企業の一つです。Netflixは、独自の企業文化を築いています。そのため、採用において企業文化への共感は大きな指標の一つとなっています。そのため、メディアからの第3者的な発信ではなく、自社が自ら発信する採用ブランディングを2019年からはじめました。採用ブランディングは「We are Netflix」というスローガンを元に、社員の1日の様子、仕事を通したインパクト、企業文化についてなどを発信しています。特徴的なのは、マルチチャネルを活用して情報を発信してることです。例えば、LinkedInではビジネスの哲学などに関して発信、Twitterでは、幅広い人に向けて情報を発信できるため、求人情報の掲載にくわえ、候補者からの質問に直接返事をしています。Instagramは画像や動画を中心に従業員の日常やNetflixの良さを語ることに使っています。それ以外の採用チャネルとしてYouTubeやPodcastでも従業員の対話などのコンテンツをアップしています。このようにマルチチャネルを使い分けるのは、違う方法で情報が伝えられるということや各チャネルにより情報に反応する層が異なるからです。例えば、Twitterではエンジニア、Instagramではマーケティング、クリエティブはFacebookなどです。ユーザーを理解した上で企業ブランディングを進めていくことが採用においても重要になってきています。

 

アメリカ陸軍

採用活動において見逃されがちな点の一つが候補者の体験価値を高めることです。ある調査によると候補者の60%は採用活動においてネガティブな体験をしたという結果も出ています。このようなことを避けるための一つの手法がチャットボットです。チャットボットはウェブサイトなどでも利用している人が増えており、採用活動においても候補者とのリアルタイムなやり取りが可能なため活用され始めています。チャットボットを活用している例の一つがアメリカ陸軍です。アメリカ陸軍は「Ask Sgt Star 」というバーチャルチャットボットを導入しました。ライブチャットに自分が知りたい質問をすることでその回答を得ることができます。例えば、質問例としては、自身が応募する資格があるのかということや応募する方法、給料はどれくらいなのかなどです。チャットボットは、質問に回答するだけでなく、ウェブサイトに適用箇所への遷移を促したり、ウェブサイト自体が変化したりするといった仕組みです。このようにチャットボットを活用することで候補者が不安に思っていることや不満に思っていることへすぐに対応できるため体験価値を高めることが可能です。

 

Salesforce

外資系企業や海外市場においては転職文化のため、新卒よりも中途採用が重要になってきています。そこで効果が高いのが、社員からの紹介です。社員からの紹介は、採用プロセスが短くなったり、離職率を低くなるため採用コストが抑えられたりするというメリットがあります。社員からの紹介を活用したのがSalesforceです。SalesforceはRecruitment Happy Hourを実施しています。Recruitment happy hourとは、今空いているポジションに合いそうな人、友達、知り合いを誰でも社員が招待するという機会です。Happy Hourでは、軽食とともに人事や実際の採用担当などと直接話せる機会が持てます。このような機会をもつことにより、候補者はポジションや企業の文化、雰囲気についてしっかり認識できるとともに、社員側も面接前に候補者と話す事ができるためお互いのギャップを防ぐこともできます。Salesforceのこの取組は、好評で大きな効果があったことから多くの企業が導入を検討しています。

 

Lego

エンジニアなど実際のスキルを理解した上で採用を進めたいと考える職種も多いかと思います。現在オンライン面接でも実際にコーディングのテストを行なう企業も増えています。Legoは技術テストをリアルイベントにしてしまいました。実施したのは、新設されるLegoテーマパークの一つLegoland Discovery Centerのマスターモデルビルダー(テーマパークでのLegoを設計し組み立てる業務)の採用試験です。マスターモデルビルダーの候補者向けのLegoの組み立てコンテストをイベント化することで、候補者以外の観客も動員することによって、採用のプロセスだけでなく、ブランディングにもつなげられました。このように採用活動をただのコストとして終わらせるのではなく、企業の他の要素にも活用することで新たな価値を提供することが可能になります。

 

Snapchat

Snapchatは自社のプラットフォームを活用して採用活動をしました。Snapchatは友人やグループ向けに画像や動画をシェアするSNSであり、特徴は友人が閲覧してから10秒で動画が消えてしまうことです。Snapchatはエンジニアを採用する際に、ヘッドハンティングしたい会社を決めこみ、位置情報を活用して特別なフィルターを提供し、今の企業に不満がある人に届くメッセージを提供しました。

具体的には、サンフランシスコなどのベイエリアにあるUberやPinterestを対象として、オフィスでSnapchatを開くと特別に利用できるフィルターを提供しました。フィルターには、「このオフィスに嫌気が指したか?」や「もうやめたくなっている?」など働いている人が本当に思っていそうなことをメッセージにして共感を呼び、自社への興味を持ってもらうような施策を実施しました。

 

採用活動におけるポイント

採用面接

 

企業ブランディング

近年価値観の変化もあり、条件よりもその企業が目指している目的や企業内の文化が求められ始めてきています。このような中で従来のような採用サイトを通した情報発信だけではなく、候補者に寄り添ったよりリアルな情報発信などが求められ始めてきています。このような情報発信を通して、自社がどのような存在なのか、どのような文化なのかなどを整理した上で、発信することを検討しましょう。ここで重要なのはリアル感です。現在SNSやスマホの普及に伴い、様々な情報が手に入るようになってきています。その中で作られたような嘘っぽい情報では結局見抜かれてしまいます。そのため、社員が本当に語っているなどリアルな情報発信を意識しましょう。

 

候補者への理解

採用活動において年々候補者の体験価値が重要になってきています。そのため採用活動においてもマーケティングと同様、候補者がどのようなものを求めていて、どのようなところに不満があるのかを理解することが可能です。例えば、欲しい情報がすぐに見つからない、連絡が遅い、福利厚生について知りたいなど様々なニーズがあるかと思います。このようなニーズを理解し、候補者にあったチャネル、メディアで情報を発信することやそれにあったソリューションを導入することを検討しましょう。候補者がいい体験をすることはブランデイングに近い効果があります。

 

採用だけにとどめない

Legoの事例のように採用活動を採用活動にとどめるのではなく、他の活動に絡ませることまで意識しましょう。例えば、企業文化を発信することは企業の信用度を高めることや社内を理解してもらうこととなるため、取引先とのやり取りがやりやすくなる可能性もあります。また、企業への好意度が高まることでサービスを利用してもらう人が増えるかもしれません。もちろん候補者第一ですが、それだけではない副次的効果をどれだけ検討できるのかがこれからの採用活動でも重要になってくるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。採用活動にもマーケティングが重要になってきており、多くの企業が様々な施策を実施しています。採用活動を成功させるためには、マーケティングと同じように、候補者をターゲットと捉え、ニーズ、課題を抽出することが重要です。今から採用活動の改革を検討している人もまずは自社の候補者を分析することからはじめてはいかがでしょうか。

 

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Topics: リクルーティング, デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。