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海外の倉庫・運輸ビジネスのデジタル化の現状とは?

2021年8月6日 (公開 :2021年1月14日)

ECサイトでの買い物が日常的になり、オムニチャネル化が進む中で倉庫・運輸ビジネスもデジタルトランスフォーメーション化が求められています。本稿では、海外の倉庫・運輸ビジネスにおいて起きている変化をご紹介します。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 倉庫・運輸ビジネスの現状
            1.  2 貨物のリアルタイムトラッキング
            2.  3 ロボット倉庫
            1.  4 ブロックチェーンの活用
        1.  5 まとめ
  1.  

 

倉庫・運輸ビジネスの現状

従来、倉庫・運輸ビジネスは大きな変化がない業界でした。そのため、申込みをしたはいいが、何度もメールでやり取りをしなければいけないなど煩雑だったり、運輸状況の確認をするには電話で確認しなければ行けなかったりなど利便性が悪いという部分がありました。しかし、ECサイトの利用が増えてくる中で、倉庫・運輸業においてもデジタル化やデータの活用などが求められはじめてきています。その中で、倉庫の中でロボットの活用や自動化、管理の利便性アップなど様々なサービスが開発・利用されはじめています。

 

貨物のリアルタイムトラッキング

従来倉庫の利用状況や運輸状況などの確認をするためには、倉庫管理会社・輸送管理会社など様々なステークホルダーと電子メールや電話などで確認する必要がありました。そのため、正確な現状の把握が難しかったり、コミュニケーションに余計な手間がかかったりしていました。貨物輸送のスタートアップFlexportは、インターネットを介したソフトウェアを介して、このような煩雑な業務をなくしました。

Flexportは、海上輸送、航空便、列車輸送、トラックでの輸送すべての輸送手段において、貨物の在庫状況や出発・到着、倉庫間の移動などをすべてオンラインのダッシュボードで状況を確認できるようなサービスです。従来の手間なく状況が確認できるようになったため、コミュニケーションの手間が省け、現状を正確に把握できるようになりビジネスの改善にもつながります。

また、データの管理や分析は、倉庫や輸送会社ごとにバラバラでエクセル等を用いて行っていることが多く、大きな手間がかかり、整合性を取るのが大変ということがありました。しかし、ダッシュボードにデータを自動で入力し、管理ができるようになったため、このようなプロセスも省けるようになりました。インターネットを介して、データを自動でインプットしたり、参照できたりするなど倉庫・運輸業の利便性がアップしてきています。

 

ロボット倉庫

ロボット倉庫

ECサイトの利用が増えるとともに、人員不足などが今後大きな課題となる中で倉庫ビジネスの効率化は大きな課題の一つです。技術の進歩により、ロボットがより高性能に安く開発できるようになった結果、ロボット倉庫が増えてきています。ABI Researchによるとロボットを活用した倉庫は2025年まで50,000件以上、現在の12倍以上になると予想されています。実際にすでに運用が始まっているところもあります。

早くから導入していたのがAmazonです。Amazonが導入しているのは移動棚ロボット「GTP」です。ピッキング作業者はその場から動かず、商品がある棚ごとをロボットが運んできます。棚ごと動かすためには、倉庫全体のインフラ整備や空間が必要になりますが、大きな業務効率向上につながります。

また、アメリカの大手スーパーであるウォールマートでは、ECサイトと連動して、顧客からの注文があると保存食品をピックアップし、配送担当のスタッフまで届けるというモバイルカート「Alphabot」を導入することで、スタッフの作業の効率化につながっています。

その他、ロボットハンドや磁力テープ無しでの移動が可能なAMRなど様々なロボットが開発、導入されています。ロボット倉庫は今後人力にとってかわる大きな役割を果たすと考えられます。

 

ブロックチェーンの活用

ブロックチェーン

特定の人物間でのみ共有ができるブロックチェーンは、今後輸送業でもお大きく活用されると思われています。例えば、デジタルデータを1つの帳簿で管理できるためデータの整合性を取る必要もなくなり、ブロックチェーンのスマートコントラクトという機能を活用することで人による操作に依存していたシステムを自動で実行できるようなります。このように今後運輸ビジネスに於いてブロックチェーンは大きな影響を及ぼす技術となる可能性があります。

すでに多くの企業がブロックチェーンの活用を検討しはじめています。例えば、物流最大手FedExは、物流業界のブロックチェーンの活用を義務化することを目指しており、標準化させることを目指しています。それにより製品の原産地証明書、取り扱い免許、輸送ルートなど一社だけで完結することがない多大な情報が必要なグローバル航空輸送においてもブロックチェーンで共通管理することで配送効率を劇的に上げれます。

また、オーストラリアの海運業界を中心に設立したブロックチェーンコンソーシアムEYでは、ブロックチェーンで書類をデジタル企業化することで物流企業は年間7500万人のプロセスを自動化し、1200万枚の書類を削減できる可能性があると宣言しています。

まだブロックチェーンは実用レベルに達していませんが、運輸や倉庫ビジネスとの相性もいいことから今後の動向は注視しておく必要があります。しかし、実用化していく上で従来アナログに対応していたものをどのようにデジタルに対応させていくのかが大きな課題としても残っています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。新型コロナウィルスの影響などもあり、ECサイトの普及や人員の効率化などが求められる中で、倉庫・運輸ビジネスはよりIT化、デジタル化が求められてきます。本稿では、デジタル化の一例をご紹介しましたが、今後5Gの普及に伴うIoTの進行などに伴い新たな技術などが開発普及していく可能性があります。今後も常に最新の状況をキャッチアップしていくことが重要でしょう。

Topics: その他業界, デジタルトランスフォーメーション

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。