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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

海外の美容業界におけるデジタルマーケティング3事例

2021年8月6日 (公開 :2020年12月18日)

美容やビューティー業界は、Z世代など若い世代をターゲットにしている企業も多いかと思います。若い世代を獲得するためには常に最新のトレンドをキャッチしておくことも重要です。本稿では、海外のビューティー業界の最新マーケティング事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 ソーシャルコマース
      1.         NARS Cosmetics
      2.  2 ライブコマース
      3.    Maybelline New York
      4.  3 MEO
      5.         Flirt Urban Salon
            1.  4 まとめ
            2.  

 

ソーシャルコマース

インスタグラム

ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディア上でオンラインショッピングができる機能です。企業がSNSを活用する場合、従来顧客の興味関心を惹き、ECサイトやWEBサイトへの流入を誘導するのが大きな役割でした。しかし、InstagramやPinterestなどの購買機能を搭載したことで、認知から購買までを一気通貫して対応する事ができるようになってきています。例えば、Instagram上で直接オンラインストアが作成でき、決済もアプリ内で可能です。また、顧客とのやり取りもSNS上で可能になります。Instagramでは、ショップタグが追加されており、新たなブランドの発掘も可能になってきています。このようにSNSのプラットフォームがソーシャルコマースに対応し始めてきたのは、ミレニアル世代やZ世代などがオンラインショッピングを重視しており、また、SNSとの相性がいいことから注目を浴びています。

 

NARS Cosmetics

Instagramでは購買ページや商品ラインナップだけでなく、AR機能の搭載をしております。その事例の一つがアメリカのコスメ、NARSです。NARSは口紅や化粧品など実際に試してみたいと思うような商品に関して、アプリ内カメラを活用することでリアルタイムでの色の種類や肌とのマッチ度などを試せる広告を展開していました。ここで気に入った商品はInstagram内で「カゴに入れる」ボタンで追加でき、そのまま購入まで一気通貫で対応可能です。SNS上でただ広告をし、購入するだけでなくユーザーの体験までもが一気通貫して行えるような事例が増えています。

 

ライブコマース

ライブコマース

ライブコマースとは、動画をリアルタイムで配信し、動画内で商品を紹介、販売する手法のことです。従来のテレビショッピングのインターネット版というイメージに近いです。従来のECサイトでの購入には実際に商品が試せないということや説明文だけでは分かりづらいという課題がありました。しかし、ライブコマースではインフルエンサーなどが実際に動画内で商品を試したり、使用感を伝えてくれたりするのでより商品のイメージを想像しやすくなります。また、テレビショッピングとは違い、双方向のコミュニケーションが容易にできます。そのため、商品についての不明点や気になることをメッセージすると配信者が答えてくれるということなどが可能です。このように家にいながらでも実際に買い物をしているような感覚を味わう事ができます。

ライブコマースはすでにアメリカや中国で大きく成功しており、中国では2億円の売上を上げている事例もあります。特にライブコマースは、アパレルやメイクなど若い女性向けの商品での導入が増えています。

Maybelline New York

Maybelline New Yorkは新たな口紅を発売する際に課題として、どのように若い世代にターゲティングするのかという課題がありました。他のブランドはタレントやトレンドに合わせて展開している中で、Maybelline New Yorkはターゲットの行動に注目し、発売キャンペーンをすべてモバイル上で完結させました。50人以上のインフルエンサーを用いて、中国でもっとも大きいTaobaoのサイト上でライブコマースを行いました。ライブコマースではタレントが実際に口紅をつける姿に消費者がコメントなどを行え、双方向のコミュニケーションを実現しました。その結果、600万人以上が視聴し、1日で通常の10倍にもなる1万個を売り上げました。また、コメントを通してどの色が人気なのかなどの分析もでき、販売戦略の検討にも活用できました。このようにライブコマースはECサイトの新たな手法として注目されており、大きな結果につながっています。また、ただ販売につながるだけではなく、消費者との双方向のコミュニケーションがとれることからリアルな意見やどのようなことが気になるのかなど消費者のインサイトも探ることができるため、マーケティングに活用することができます。ライブコマースを成功させるためには、ターゲットがどのプラットフォームにいるのか、そしてただ有名というだけでなく、コミュニケーションができる、自身に近い視点があるなどどの配信者を選ぶのかが重要になってきています。

 

MEO

最後にご紹介するのは実際に店舗運営等に活用できるMEOです。MEOとは、Map Engine Optimizationの略であり、Google Mapなどの地図検索エンジンでの最適化のことです。近年Google Mapのアプリ精度が高まり、開業時間や口コミなどの情報の拡充、そして予約や注文までできるようになってきています。その結果、検索エンジンではなく、近くの情報であれば地図アプリから検索するというように顧客の行動が大きく変わってきております。このようなことから地図アプリの検索でどのように表示されるかが新規顧客獲得において重要になってきています。

MEOの大きな特徴は。ニーズが高い顧客の刈り取りができることです。近所の店舗を調べている消費者はすでに「髪を切りたい」などすでに悩みが明確になっています。このようにニーズが高い消費者に対して、Google Map等では、ホームページとは違い顧客が求めている基本情報が整理されているため顧客の刈り取りに有効です。

 

Flirt Urban Salon

Flirt Urban Salonはカルフォルニア州にある美容院の一つです。SNSやブログ、SEOなどを活用して新規顧客獲得を狙っており、その中の一つとしてMEOを活用しました。MEOを活用することにより、サイトへのアクセスが倍になり、閲覧数は3倍以上になりました。また、MEOはただアクセスが増えただけでなく、顧客の行動促進の効果もありました。インターネットを経由した予約や電話予約がMEOを実施する前に比べて4倍以上に増えました。このようにMEOは顧客の検索行動に対した新たな手法として注目を浴びています。特に、従来のSEOとは違い顧客の行動の促進に強いという特徴があります。このようにスモールビジネスの場合は周りの顧客を逃さないようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ビューティー市場は特にミレニアル世代、Z世代とよばれる若い世代を捉えることが大きな課題になっています。そのためには常にトレンドを意識した上で、新たな手法、新たなメディアを導入してみましょう。本稿では、現在特に注目を浴びているソーシャルコマース、ライブコマース、MEOを紹介しました。どの手法も大きく費用がかかるものではありません。そのため、まずは試してみてはいかがでしょうか。

Topics: デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。