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デジタルマーケティングで大注目のパーソナライゼーションを海外の事例から学ぼう。

2021年8月6日 (公開 :2020年9月8日)

近年顧客との関係性の中で多くのデータを取得可能になってきています。様々な形で取得したデータを活用したマーケティング手法の一つとしていま注目されているのが、パーソナライゼーションです。本稿では、パーソナライゼーションの解説と海外での事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

📚 目次

 

 

パーソナライゼーションとは

パーソナライゼーションとは、取得した顧客データを分析することで、顧客それぞれに対して最適化されたコンテンツを作成するなど顧客に対して最適な体験を提供することを指します。例えば、Amazonのおすすめ商品などのレコメンデーション機能や顧客にあわせたeメールなどがあります。海外のマーケッターの中でもパーソナライゼーションは現在最も注目されているトレンドの一つです。Googleの調査によると90%のマーケティング担当の役員がパーソナライゼーションは売上に大きく影響を与えると答えています。このようにパーソナライゼーションは、海外のマーケッターにとって、現在欠かせないトレンドの一つです。

パーソナライゼーションのメリット

パーソナライゼーションを活用するメリットは大きく2点あります。まず1点目はユーザーとの関係性構築に活用できることです。顧客に最適化した情報やサービスを提供することでブランドへのロイヤリティーが高まるなど関係性構築に活用できます。2点目は、データを収集することでマーケティングに活用できることです。顧客の利用データなどが集まることにより、最適なコンテンツ作成に活用できたり、マーケティング施策の検討に活用できたりします。このようにパーソナライゼーションは顧客へのサービスの向上だけでなく、企業の施策の効率化などにも活用できます。

 

パーソナライゼーションの海外事例

それでは具体的にパーソナライゼーションを活用して成功している事例をご紹介します。

A レコメンデーション事例で成功 – NETFLIX-

パーソナライゼーションで大きく成功している企業の一つがNETFLIXです。NETFLIXは、ユーザー名を呈示して自分のページなのだと認識させる表面的のパーソナライゼーションから始まり、ユーザーが好みそうな作品のレコメンデーションまでの裏側のパーソナライゼーションまでを行っています。表面的なパーソナライゼーションは、ユーザー名やユーザーのアイコンを表示するなどのシンプルなテクニックですが、自分に合っていると認識する大きなきっかけになります。

 NETFLIXは配信するコンテンツを約2万7,000以上のジャンルに区分けしています。「SF」や「恋愛もの」などの一般的なジャンルだけでなく、「親子の絆」「8−10才向け」「漫画原作」など細かく区分けしています。これに合わせて、顧客の視聴作品、視聴時間、視聴時間帯などを分析することで顧客の好みに合わせた作品をキュレーションしています。また、作品だけでなく、作品ごとのサムネイルも複数用意し、顧客の嗜好に合わせて表示するなどUIのパーソナライゼーションを行っています。その結果、NETFLIXの1週間の視聴時間は10億時間を超えているといわれています。

 

B コンテンツパーソナライゼーション −Infatuation-

Infatuationはレストランのレビューやおすすめを見られるアメリカのサイトです。そのInfatuationが提供するパーソナライゼーションが Text Rexです。Text Rexとは、SMSベースで自分が求めるレストランや雰囲気を聞くことでレストランのおすすめを教えてもらえるコンシェルジュサービスです。例えば、ブランチに友人とワイワイできるイタリアンといった用途、雰囲気、予算などを指定することで的確なおすすめが提示されます。このテキストサービスは、AI等ではなく人が行っているため顧客が本当に求めているレストランをピンポイントに教えてもらえます。また、サービスを経由してもらったデータを活用して、コンテンツ制作の方向性にも利用しています。例えば、上記のようにブランチに関する問い合わせが多ければ、週末のブランチに友人とワイワイできるリーズナブルなレストランという記事を作成し、多くの訪問を集めました。このサービスはエリアが限定されていますが、顧客に適切なサービスを提供するだけでなく、データを収集することも可能です。

 

C ブランドの自分ごと化 – Coca−Cola- 

デジタルでの事例だけでなく、ブランドのパーソナライゼーションで成功した事例がコカ・コーラです。コカ・コーラのパーソナライゼーション事例は日本でも2014年に展開された名前ボトルです。名前ボトルは、2012年にオーストラリアでShare A Cokeというキャンペーン名で展開され、今は世界中で行われています。コカ・コーラはボトルを自社のブランド名を100以上の名前に変え、印刷を行って販売を行いました。その結果、10年停滞していた売上を破り、売上を伸長しました。また、その後キャンペーンは続き、1000以上の名前でオリジナルCMソングを作成するなどの施策も行っています。

 このようにデジタルコンテンツだけでなくリアルな商品でもパーソナライゼーションを活用することで売上を伸ばすことができます。コカ・コーラ社はこのキャンペーンの成功理由の一つとして、パーソナライゼーションするだけでなく、シェアを意識したことといいます。個別最適するだけでなく、拡散する仕組みも合わせることにより大きく成功することが出来ました。

 

パーソナライゼーションのポイント

海外でパーソナライゼーションによって成功している事例をご紹介してきましたが、ここでパーソナライゼーションを行うときのポイントをご紹介します。

 パーソナライズ2

A マーケテイングの課題がパーソナライゼーションで解決するのか?

パーソナライゼーションがトレンドだからといって、ただ闇雲に飛びつかないように気をつけましょう。自社のサービス・プロダクトに顧客が求めているものがどのようなものがあるのかなど、現在のマーケティングの課題はなんなのかをしっかり把握しましょう。例えば、マクドナルドも好みなどをデータ化することでパーソナライゼーション可能です。しかし、顧客はそれを求めているでしょうか?このようにパーソナライゼーションはすべてを解決するツールではありません。しっかり自社に適しているのかを最初に検討しましょう

 

B どの程度パーソナライゼーションするのか?

ご紹介したようにサービスに顧客名を表示するだけの表面的なパーソナライゼーションからレコメンデーションなどの仕組みによるパーソナライゼーション、コンテンツのパーソナライゼーションなどレベルがあります。レコメンデーションなどの高度のパーソナライゼーションほど多くのデータ、開発までの工数、時間、研究開発のスキルが必要になります。そのため、自社が求めているレベル、実際にかけられる工数などを検討したうえで、どの程度のパーソナライゼーションを行うのかを検討しましょう。ちなみにメールの件名に名前を入れるだけのパーソナライズは反って逆効果というデータもあります。どの程度実行するかは極めて重要です。

 

C パーソナライゼーションに活用するデータの集め方と利用法は?

パーソナライゼーションを行う上で、データは欠かせません。そのためパーソナライゼーションを行う上でデータをどのように収集するのかを検討することが必要です。顧客に入力してもらうのか、それともサービスを利用していく中でデータを収集していくのかなどです。

 また、データを収集するだけでなくどのようなデータを活用するのかを意識しましょう。パーソナライゼーションで重要な視点の一つが顧客の満足度です。いくら分析を行い、パーソナライゼーションを行っても顧客体験が向上しなければ意味がありません。例えば、Netflixでは総視聴時間を最初は活用していたが、現在は活用をやめています。このように顧客満足度を意識した上で、どのようなデータを活用するのかも検討しましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。リアルとデジタルが繋がり、様々なデータが収集可能になりはじめている今、パーソナライゼーションは欠かせない手法の一つです。パーソナライゼーションは顧客の満足度の向上だけでなく、企業のビジネスの最適化などにも利用できます。しかし、ご紹介したようにパーソナライゼーションは万能なツールではありません。そのため自社のマーケティングの課題を解決するのに有効なのか、どのようなデータを活用するのかなどしっかり検討を行いましょう。また、現在ヨーロッパなどを中心に個人情報データの活用が問題になっています。個人を特定するためのデータ活用がないなど扱いは慎重を期しましょう。

Topics: CRM, デジタルマーケティング

デジタルブログ編集部
執筆 デジタルブログ編集部

ゼクシィネットなどの数多くのメディア制作に携わった後、Investing.com日本版編集長。現在はデジタルマーケティング統括責任者。メディアで培ったノウハウを生かし、HubSpotを中心としたデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、インサイドセールスなどを中心に執筆。HubSpot導入コンサルタントとしても活動中。