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今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

製造業の営業課題の解決にはデジタルトランスフォーメーションが効く

2021年8月6日 (公開 :2020年8月24日)

製造業は技術力がモノを言う業界です。新しい技術が開発されるたびに営業戦略やマーケティング戦略を練り直さなければいけません。そのため、製造業は戦略サイクルが非常に早いとも言えます。製造業のよくある営業課題の解決に向けた具体策についてご説明していきます。

 目次

1 よくある製造業の営業の課題とは

2 営業課題の解決にはDX

3 御用聞き営業や属人化の解決にはCRM

4 提案書作成の解決にはクラウドソーシング

5 営業担当者の能力差の解決にはMA

6 まとめ

 

1 よくある製造業の営業の課題とは

よくある製造業の営業課題は3つあります。

製造業における営業は、従来のお客様のところを回るいわゆるルート営業が多いと言う特徴があります。そのため、ただの御用聞きスタイルになってしまうという課題が挙げられます。ただの御用聞きなので、新規案件が取れるかどうかはタイミング次第であり、業績が伸び悩む一因となります。前述した御用聞きスタイルにも関連するのですが、提案力の弱さもよく指摘されます。顧客の課題を察知して課題解決(ソリューション)を提案するのではなく、ひたすら自社の商品説明や設備説明に終始してしまうことがあります。そのような営業では取引先にとっては同じ効果の商品が他社から安く提案されれば容易に乗り換えられてしまうなど、業績の不安定化を招きます。

2つ目は営業管理についての課題です顧客情報がきちんと共有化されておらず属人化してしまっているので、担当の営業マンじゃないとわからないということがよく起こります。その営業マンが休暇をとっている、退職の引継ぎが不十分であった場合など対応できる人がいなくなり、他の社員が多大な労力をかけてフォローすることになります。

営業はマニュアル化が難しい業務の一つであり、営業マンの能力差が大きいこともよくある課題の一つです。優秀な人材は次々と受注してくるのに対し、そうでない営業マンの成績はいつまでたっても低空飛行です。結果、社員教育が進まずに業績が伸び悩むという問題が起こります。

 

2 営業課題の解決にはDX(デジタルトランスフォーメーション)

製造業の営業課題の解決策として注目されているのがデジタルトランスフォーメーションです。デジタルトランスフォーメーションとは、A IやITなどデジタル技術を活用したビジネスの改革のことです。これを導入することで、既存の仕組みを大きく変え、生産性の向上や業務効率化を図ることができるというメリットがあります。デメリットとしては導入の費用がかかる点や社内への浸透に時間がかかる点などが挙げられますが、そのようなデメリットを差し引いても導入による営業課題を解決し、売り上げが上がる方が価値は高いのではないでしょうか。製造業の営業課題の解決策としてどのようにデジタルトランスフォーメーションが役立つのか具体的に見ていきましょう。

 

3 御用聞き営業や属人化の解決にはCRM

御用聞き営業になってしまう要因として、得意先として売上を維持しやすいという点に着目できます。そういった意味ではご用聞き営業は正直効果的であり、否定することはできません。しかし、今や商品情報はインターネットですぐに検索できる時代であり、ライバル企業の商品にも目が行きやすくなっています。コストや商品力で遜色ないなら足繁く通ってくれる営業マンから購入する可能性も高いでしょうが、常に上司からコストダウンを迫られている購買担当者にとって、新たな取引先の開拓はミッションであり、御用聞きだけで売上が維持できるほど甘くはないでしょう。

では、どうすればよいでしょうか?それは、顧客が求めるタイミングに、適切な商品を提案できるように営業体制を整えることです。しかし、すぐにできるほど簡単なことではありません。まず顧客の課題に関する察知能力を高め、提案力を培うことが大切になります。そのためには取引先の過去のデータを確認しましょう。過去データをリスト化し管理していないのであれば早急にCRM(顧客関係管理)システムを導入し、情報の分析を行いましょう。情報が不足している場合には、過去の担当者にヒアリングをしてでも情報の収集を図ると良いでしょう。顧客情報は企業にとって大きな財産です。集約する価値があります。

過去の取引データを製品、価格帯、購入時期などさまざまな角度から分析していくと共通項が出てくることがあります。例えばAという商品を購入した顧客は、半年後に20%程度がBも買うという法則があれば、Aを購入してくれた顧客には必ず半年後にBを案内するというルールを決め、専用の提案書を作成し、セールスチーム全員で漏れなく売るという体制を作ることもできます。もちろんインサイドセールスで展開し、反応が良かった顧客にのみセールスチームが対応するということでもいいでしょう。SFA(営業管理システム)とCRMを合わせて使うと、より精度が向上するでしょう。

御用はありませんかとただ顧客に会うというのは顧客にとっても時間の無駄という可能性があります。適切なタイミングで効果の高い提案をできるようにデジタルトランスフォーメーションをしていくことが、継続的な顧客との関係維持につながるはずです。

 CRM

4 提案書作成の解決にはクラウドソーシング

これまでルート営業をしてきて、自社のパンフレットに頼った営業手法を使ってきた営業担当者の中には、顧客に刺さる提案書が作成できないという悩みを持つ方も少なくありません。慣れない作業に手間と時間だけ取られてしまうのは非常にもったいないことです。提案書作成がネックな場合は、思い切って外注してしまうとコア業務に集中できるようになります。

提案書の依頼は広告代理店など専門業者に依頼するのも良いですが、時間も費用もかかってしまいがちです。そこで、効率化を図るためにクラウドソーシングを利用することをおすすめします。クラウドソーシングサイトには様々な専門家が登録しており、インターネット上で直接募集から納品、支払いまで完結させることができます。また、提案書に使うグラフの作成だけ、構成だけなど部分だけの依頼も可能ですし、今回1件だけなどピンポイントでの依頼も可能です。

クラウドソーシングでは他にも様々な事務仕事や専門的な仕事を依頼できるため、人を雇うといった固定費を作らず、営業担当者が自分の仕事に集中できるようになります。

 

5 営業担当者の能力差の解決にはマーケティングオートメーション

営業担当者の能力差が顕著だという営業課題はよくある営業部署の悩みです。能力に個人差や個性があることは当たり前ですし、取引先との相性もあるかもしれません。こうした人材を適材適所に配置することこそ、会社としての腕の見せ所と言われればそうなのかもしれません。しかし、それがうまくできたら苦労しない、という声も本音でしょう。また、営業担当者を育成するのも非常にコストがかかります。例え時間も費用もかけて育成に成功したとしても転職してしまうリスクもあります。

営業に必要な能力はコミュニケーション能力をはじめマーケティング力、提案力など色々とありますが、個々人での能力差が生まれてしまうのは仕方ありません。問題はその差を放置して営業メンバーの底上げができず、組織全体の業績が上がらないことです。これの有効な解決方法が先述したCRM・SFAの導入です。トップセールスマンの営業手法を分析し、他の営業メンバーもある程度できるように「みえる化」しフローに落とし込むことで、漏れなく顧客にアプローチするマネジメントが構築できます。

しかし、顧客へのアプローチもすべてを人間が行うことはありません。自動化できることはツールにやってもらうといいでしょう。その便利なツールといえばマーケティングオートメーション(MA)です。マーケティングオートメーションは、CRMやSFAの機能を包含し、1つのプラットフォームでデータ分析、リードの獲得抽出、メール・SNS配信、広告といったマーケティング機能が行えるシステムです。商品Aを買った顧客の20%がB商品を半年から1年以内に購入するなら、MAの機能を使い、Aを購入した顧客全員にBの商品情報を●●月後にメールで案内し、その日から●●日以内にコールを設定し、それはチケットを発行して管理するといったことが自動で行えます。あらかじめフローを設定しておけば漏れるということはありません。またトップ営業マンのセールスフローをMAに登録し、Eメールや顧客アンケートなど自動化できるところは自動化することも可能です。このように営業の効率化を図ることによって“できる営業担当者”はより業績を伸ばしやすくなり、“差があった営業担当者”も底上げが可能になるため、営業成績自体が大きく飛躍するでしょう。

 

まとめ

新しい技術の影響を受けやすく、マーケティングサイクルの早い製造業によくある営業課題を解決するためには、素早いマーケティング戦略の調整が必要です。迅速な調整を可能にし、課題解決を図る方法こそがデジタルトランスフォーメーションです。中小企業はセールスとマーケティングが組織として分かれていないことも多いですが、システム導入で見直してみてもいいでしょう。様々な改革には導入コストという痛みや、社内教育という努力も必須ですが、その効果は並々ならぬものがあります。一度にすべての導入は難しいかもしれませんが、自社の課題に向き合い、効果の大きいことからデジタルトランスフォーメーションを図ってみてはいかがでしょうか。

Topics: マーケティングオートメーション, 製造業, 営業

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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