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海外小売業の最新デジタルマーケティング事例とは?【ロケーションベース・BOPIS・無人レジ】

作成者: 海野健|20/09/28

今回は海外で展開する小売業のマーケティング最新事例をご紹介したいと思います。日本に比べ先行する面もある海外事例を参考に、自社での導入といったマーケティング施策の検討にぜひ参考にしてください。

ロケーションベースマーケティング

ロケーションベースマーケティングとは、GPSやビーコンなどを活用したマーケティング手法です。顧客が今いる位置を分析することで来店促進を行ったり、顧客体験の最適化に活用したりします。ここで小売がロケーションマッピングを活用している事例をご紹介します。

商品ナビゲーション機能

日本のスーパーとは違い、海外では大型店が数多く展開しています。敷地が大きいため、どこにどの商品があるのかを探すのに一手間かかることが多いのが現実です。そこで大手Targetがアプリで検索しているのが商品ナビゲーション機能です。アプリで探している商品や特売品を検索すると、自分の現在の位置と探している商品の棚位置がアプリ内の店内地図上に精密に表示されます。

自分の位置は、店内に20~30cm間隔で設置されている光ビーコンを携帯が探知することで正確な位置が表示されます。また、地図を表示する際におすすめ商品や割引情報も表示することで他の商品の購入も促します。

クーポン配布

ロケーションベースマーケティングは、顧客体験だけでなく、来店誘引にも活用できます。例えば、米国大手ドラッグストアのWalgreenでは店舗近くを訪れた人に対してクーポンをアプリ上で配布することで来店促進を促しました。また、米国大手デパートのMacy’sでは、年間最大の商戦が行われるブラックフライデーに、店頭近くを訪れた人にクーポンだけでなく、来店すると抽選で賞金やギフトカードがもらえるくじをビーコン経由で配布し、多くの来店を促進しました。このように店内だけでなく、店頭での来店促進にもロケーションベースマーケティングは活用されています

オンラインとオフラインの融合

オンラインのECサイトと店頭の連携の手法としても位置情報は活用されています。米国大手デパートのNordstromでは、オンラインとオフラインを融合することで顧客体験の向上を目指しています。例えば、オンラインショップで買いたいものを保存しておくと、店頭でその商品が実際にある場所の近くに来ると通知が来る仕組みを展開しています。その他、店頭での行動をベースにオンラインで商品をおすすめすることも行っています。例えば、キッチン売り場に10分間滞在していたことを位置情報として把握し、もし何も買っていなくても検討していたという事実からオンラインでもキッチン用品をおすすめしたりします。このように、オンラインとオフラインの融合にも位置情報が活用されています。

BOPIS

欧米においてもAmazonを中心にECサイトの存在感が大きくなっています。しかし、配送料を節約したい、自分のタイミングで欲しいといった消費者ニーズに加え、海外では治安の問題で置き配などでの盗難の心配もあります。そこで普及したのがBOPISです。BOPISとは、Buy Online Pick-up In Storeの略であり、オンラインで購入し、オフラインの店頭で受け取るというスタイルです。小売からアパレルまで幅広い業種が取り入れていますが、特に特徴的なのが大手スーパーのWalmartによる大型のピックアップタワーです。店舗内に大型のタワー式のピックアップカウンターを設置しており、タワーで携帯のQRコードをかざすと自動で自分が購入した商品が落ちてくるというものです。このように多くの流通において顧客の買い物体験を向上させるための取り組みが増えてきています。

しかし、BOPISという購入スタイルが定着したのには、顧客の利便性の面だけでなく小売側のデジタル化によりサービスの効率アップという側面もあります。オンラインとオフラインが連携することにより、店舗がいわゆるオンラインの倉庫という役割も果たすようになります。そのため、余計な在庫を持たなくて済み、配送のためのコストもかからないなどのメリットがあります。また、BOPISのような買い物では、顧客がどのようなものを買ったかのデータを取得することができます。そのようなデータを分析することで店舗内の商品群の最適化をすることができたり、顧客の購買データを分析することでおすすめ商品を提案したり、より最適な顧客体験を提供することが可能です。このように多くの小売でオンラインとオフラインの融合が進んでいます。

 

無人レジ

現在日本でもコンビニやユニクロなどで導入されはじめていますが、海外の小売での導入が進んでいるのが無人レジです。いままで行列をしていたレジに並ばずお客様自身だけで会計を済ませられ、買い物ができるものです。例えば、Amazon初のリアル店舗として注目されているAmazon GoやWalmartでも全レジをセルフレジに変換させる実証実験などが進んでいます。

無人レジの形式としては、商品登録を自分で行う形式と顧客は何も行わなくていい形式とがあります。Walmartのセルフレジでは、最近のコンビニのように自分で商品登録をする形式と、Amazon Goのように、お客様が商品を買物カゴに入れるだけで後からアカウントに請求されるという形式があります。このような無人レジは、コロナの影響での接触を減らせるなどの側面もある一方、行列を避けることができるといった顧客側メリットや労働力を軽減できるため新たなサービスが提供できるというメリットなどから今後も多くの小売で導入されると考えられますこのような無人レジはどのような技術が支えているのかをご紹介します。

画像認識

Amazon Goなどで用いられている技術が画像認識です。Amazon Goでは、天井に数百個以上のカメラを設置しており、消費者がどの商品を手にとったのか、カゴに入れたのかを認識し、オンライン上のアカウントと同期させます。また、トライアルの例では、レジカートにカメラを搭載し、棚の様子を認識、商品が欠品していたらすぐに店員に通知がいくシステムを導入している。技術としては、事前に商品を登録しておき、それをカメラで認識するというものであり、カメラ精度の向上やAI技術の進化で可能となりました。画像認識は、レジの無人化やマーケティングの改善を目的として活用されているケースが多いです。

RFID

店舗体験を変えてくれるもう一つの技術がRFIDです。RFIDはユニクロの無人レジで活用されている技術であり、いままではアパレルを中心に活用されていましたが、技術の発展によりRFIDタグの低価格化によりさらなる普及が見込まれます。技術としては、商品に情報を読み込んだRFIDタグを貼付し、リーダーで読み込む事によって情報を得られるものです。バーコードとは違い、中距離からの情報が取得できるため、箱の中に入ったままでも読み取りができ、位置情報も取得可能などのメリットがあります。無人レジなど消費者が触れるところだけでなく、在庫管理や物流改善などサプライチェーン全体の改善に活用が検討されています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。本稿では海外の小売が力を入れている最新のマーケティングトレンドをご紹介しました。現在新型コロナウィルスの影響からのニューノーマルが求められたり、AmazonなどのECサイトの普及に伴い、新たな顧客体験の提供が求められたりしています。そこで多くの企業が新たなマーケティング手法の導入を検討しています。マーケティングは来店促進だけでなく、顧客体験の向上やサービス全体の最適化など様々なことが求められます。海外の最新事例を参考にぜひ自社でも新たな取組みを検討してみてください。