デジタルビジネスブログ

海外の金融業界のデジタルマーケティング事例からわかること

作成者: 海野健|21/01/08

デジタルマーケティングはどの業界でも必要になってきています。従来マーケティングに力を入れてきませんでしたが、現在力を入れてきている分野の一つが金融業界です。本稿では、海外の金融業界におけるデジタルマーケティング事例をご紹介します。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 Capital One
            1.  2 Mint.com
            2.  3 アメリカン・エキスプレス
            1.            A  コンテンツマーケティング
            2.            B  データ活用
        1.  4 まとめ
  1.  

 

Capital One

Capital Oneは米国の金融機関の一つです。PayPalなどの決済システムが増えている中でアメリカの金融機関の大きな課題はどのように消費者との距離感を縮めるかです。そこでCapital Oneが実施したのがインフルエンサーマーケティングです。インフルエンサーの財布やその中に入っているものの写真などをハッシュタグ#walletstoriesと一緒にSNSに投稿してもらいました。投稿内容はCapital Oneのサービス内容ではなく、お財布やそこに入っているものの思い出やお金に対する考え方などのストーリーなどです。旅先での忘れられない思い出や家族のことなど普段はあまり知ることができないインフルエンサーの裏話が聞けるということで大きく話題になりました。またハッシュタグとともに投稿するという簡単なテンプレートであったため、インフルエンサー以外にも多くのユーザーが利用してくれました。その結果、多くの人にリーチを獲得でき、「Capital One」はユーザーのことを意識してくれる金融機関というイメージを作り出すことにも成功しました。

 

Mint.com

Mint.comは、銀行の入出金やクレジットカードの利用、住宅ローン、投資などの個人の金融サービスを一括管理できるサービスです。Mint.comが運営するオウンドメディアがMint. Lifeです。Mint.comはスタートアップから開始したため、広告に割く予算がなかったことをきっかけにオウンドメディアを運用し、ユーザーの集客を狙いました。コンテンツは、家計や個人資産ということを軸に、投資、節約、家族など消費者が普段気になるカテゴリーで情報を発信しています。どのコンテンツもお金についての記事のための記事であるため、お金について考えるきっかけになるという特徴があります。また、Mint.com自体のサービスサイトへ導線もしっかり構成されているため、コンテンツからサービス利用促進にもつながります。Mint.comはローンチ以降、会員数を順調に伸ばしておりそのきっかけはコンテンツマーケティングと言われています。このように広告以外にも集客するきっかけとしてオウンドメディアを使うというのも有用です。その際、重要なポイントは、消費者がどのような情報に興味があるのかを分析し、自社ブランドとの共通項があるコンテンツを継続的に発信することです。また、デジタルマーケティングの最終的なゴールはもちろん自社のサービスの利用率を高めることです。そのため、オウンドメディアから自社のサービスの導線もしっかり意識しましょう。

アメリカン・エキスプレス

アメリカン・エキスプレスは、デジタルマーケティングで大きく成功した企業の一つです。大きく成功した要因としては、コンテンツマーケティングとデータの活用です。

コンテンツマーケティング

アメリカン・エクスプレスは、サービスのターゲットとなるビジネスマン・ビジネスウーマンを見込み顧客に育成するためのメディアを作成しました。結果として、Facebookでは約800万フォロー、Instagramでも40万フォローを達成しました。Mint.comとは違い、お金の話だけでなく、ビジネス関連の情報を提供しています。例えば、ビジネスの影響力がある起業家や思想家のインタビューや、ビジネスの成功の秘訣記事、その他フォーラムなど起業家、思想家と対話したり、質問したりすることなども可能です。このようにターゲットとなる層のハブとなる立ち位置を築き上げることで短期的な成果ではなく、長期的な関係性を築くことに成功しました。このようにオウンドメディアは集客だけでなく、ロイヤルティー向上やリレーション向上にも活用できる事例です。

 

データ活用

アメリカン・エクスプレスが力を入れているもう一つがデータ活用です。アメリカン・エクスプレスは、加盟店ネットワークから、カード発行業までのほとんどを自社で運営しています。その結果、カード会員がどこで、いつ、どのように使っているのかのデータが集まります。このようなデータや利用動向に基づいて、コールセンター、電話、DMなどを通してプロモーション計画を立てています。例えば、年末の海外旅行に行く顧客を抽出して、家族構成や今までよく行っているエリアなどから最適なホテルの予約をレコメンドしたり、プライパンを購入したらそれの関連商品を紹介したりするといったことも行っています。このようにカスタマーのデータを分析することでアメリカン・エクスプレスならでは体験を生み出すことが可能にしています。ただ顧客の満足度を高めるのではなく、どのように顧客のエンゲージメントを高めていくのかに力を入れている結果、顧客エンゲージメントを評価するNPSでも最高点を獲得しているのです。

デジタルマーケティングは集客や宣伝に活用するだけでなく、データを分析することでよりよいサービスの提供につなぐことができます。デジタルでは様々なデータを集められるようになっていますが、GDPRなどデータ収集に関して規制が強くなってきています。どのようなデータを集めるのかをしっかり検討し、その上で、データをただ自社のためだけでなくどのように顧客にそれを還元していくのかまで含めて活用していくことが今後必要となっていくと思われます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。海外の金融業界でデジタルマーケティングに成功している事例をご紹介しました。デジタルマーケティングは集客や顧客とのエンゲージメントに活用できることはもちろん、データが収集できたり、顧客の行動がより可視化されたりするためサービスの改善、新しいサービスの開発にも活用できます。まずは、自社の課題を抽出した上で、何ができるのかを検討してみてはいかがでしょうか。