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中小企業がDXを進める上で活用できる補助金や助成金とは?

2021年8月6日 (公開 :2021年1月20日)

業務効率化をすすめるために、DXを導入することは中小企業や小規模事業者にとっては金銭的に厳しいことが多いかもしれません。そこで、国や自治体は補助金や助成金を利用して、DX化に向けて費用の負担を減らす政策を進めています。今回は「IT導入補助金」「小規模事業者持続化援助金」「ものづくり補助金」の3つについて解説していきます。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 助成金と補助金の違いとは
            1.  2 IT導入補助金
            2.  3 小規模事業者持続化補助金
            1.  4 ものづくり補助金
        1.  5 まとめ

 

 

助成金と補助金の違いとは

まず、押さえておきたいのが助成金と補助金には違いがあるということです。

1つ目の違いは導入の難易度です。助成金は一定の条件を満たしているともらうことができますが、補助金は申請しても審査があるため、基準を満たしているからといって必ず支給されるものではありません。

次に用途の違いです。助成金は従業員の雇用を守るために支給されることが多く、支給金額に限りがあります。これに比べて、補助金は新規事業の立ち上げ等を目的に運用されるため、支給金額が大きくなることもあります。そのため、規模の大きな案件になると億単位の補助金が支給されることもありますが、もちろんその分審査も厳しくなる傾向があります。

補助金3

IT導入補助金

経営や業務の効率化を図り、生産性を上げるためにITツールを導入することが一つの課題になります。こうしたITツールの導入のハードルを少しでも下げるために、「IT導入補助金」があります。対象となっている企業は中小企業・小規模事業者のうち、製造、飲食、介護・保育、宿泊など業種は多岐にわたります。しかし、対象となる要件は細かく定められているので、IT導入補助金の2021年最新版から、自社が当てはまるのかを確認することをおすすめします(執筆時点で詳細はまだ未発表)。

次に制度の目的についてです。ITツールを導入する目的は「経営の見える化」や「業務の自動化」「働き方改革」などが挙げられます。スケジューリングや社内の情報共有に問題がある場合には、カレンダーや営業資料などを一斉に共有することができるグールプウェアを導入するのがおすすめです。自動化ならマーケティングオートメーションの人気も高いといえます。その他、人の手による数値などの入力作業を効率化したい場合にはRPA(ロボティックス・プロセス・オートメーション)などの自動化ツールを導入することで負担を減らすことに繋がります。

次にIT導入補助金の種類について見ていきましょう。A型、B型、C型の三種類あり、それぞれ補助上限額と補助率、補助対象経費に違いがあります。A類型では、補助額が30万~150未満であり、補助率は2分の1となっています。補助対象はソフトウェアやクラウド利用費、専門家経費などがあげられます。B類型の補助額は150万~450万円であり、補助率は2分の1となっています。補助対象はA型と同じソフトウェアやクラウド利用費、専門家経費などです。C類型(特別枠)は補助額が30万円~450万円であり、補助率は3分の2又は4分の3となっています。補助対象経費はA・B類型に加えてタブレットなどのレンタル費用も対象で他の2つに比べて範囲が広くなっています。A・B類型では交付が決まった前に導入した経費については補償対象とはなりません。しかし、C類型では交付前に契約・導入していたものに対しても補助対象となります。会社の規模に関わらず、ITツールの導入は多くの企業で必要な業務措置といえるでしょう。日々の会計や営業業務の効率化を図りたい事業者にとって、IT導入補助金は大きな手助けになります。

次に交付・申請の流れについてです。まず、申請を準備するために自社の経営状況や事業の業種に沿って、IT導入を支援している事業者と、今後導入したいITツールを選択し事業計画書を作成します。その後、ITツールの選定や見積もりの依頼を出し、申請するためのマイページを作成してから交付申請を提出するのが一連の流れになります。交付が確定するとマイページに交付通知がはいります。事業を開始して完了後にはITツールを発注・契約・納品などを証明する資料が必要になります。事業実績報告が完了すると補助額をマイページから確認することができます。事業実績の報告を提出した後に、補助金確定通知を受け取ると、ほぼ同時に補助金が交付されます。補助金の交付後にも必要な作業があります。それは決められた期間内に導入したITツールのアフターフォローと事業実施報告の作成や申請です。補助金を受け取って満足してしまいこの作業を行なわないと、勧告通知や返還を求められるので注意が必要です。

 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、すでに行っている事業から新たな市場への参入といった顧客獲得に向けた販路開拓の取り組みや、業務の効率化の取り組みを支援するにあたって、経費の一部を支援する補助金のことです。

一般型と事業再開枠の2種類があります。一般型は、商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいることや、持続的な経営に向けた経営計画を策定していることが条件に挙げられます。対象となる経費は広報費や旅費、外注費など13種類にもわたるため、使い勝手の良い補助金の1つです。次に事業再開枠についてです。これは新型コロナウイルスなどの感染症の拡大予防をするために取り組みをしている事業者が対象になります。対象となる経費は消毒費用やマスク費用、PR費用など7種類です。

対象企業は、まず前提として、申し込みをする時点ですでに創業している企業となっています。補助金の対象となる企業は業種と従業員数によって変わってきますが、この制度では主に従業員数が少ない事業者向けです。具体的には従業員数が5人以下または20人以上となっていますが、卸売業

・小売業と娯楽施設などのサービス業とでは人数が違ってきます。また、この人数には役員やパート、アルバイトなどの社員は含まれていません。

次に、支給金額についてです。補助金額は該当費用の3分の2に設定されており、上限は50万となっています。しかし、近年の新型コロナウイルスの影響から新しく「事業再開枠」という制度が設定されています。事業再開枠も補助金上限が50万円となっているので、小規模事業者補助金と合わせて最大で100万円の補助を受けることが可能です。申請・交付の流れについてはまず、最寄りの商工会議所や商工会と一緒に経営計画書の作成を行います。その際に必要なことは、新規での販路開拓や開発をすることで「このような売り上げをあげることができる」といったアピールです。そして、効果的にアピールを行うためには、写真やグラフなどのひと目でわかりやすい資料を作成しておくと、良い印象を与えることができます。

相談員からのアドバイスを受け、印鑑をもらうことができたら、郵送にて申し込みができます。商工会などでの印鑑は当日すぐにもらえないこともあるので、締切2週間前をめどに余裕をもって提出することが望ましいです。申込みが完了したからと言って、すべての人が補助金を受けられるわけではありません。結果通知から約2ヶ月の通知待ち期間があり、審査に落ちる可能性もあります。審査が通ると、事業を実施して、定められた期間内に経費の精算や証拠書類などの報告書を提出する必要があります。最後に提出した書類に不備がなく、目的通りに経費が使われていることが確認されると、交付という流れになります。

 

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称のことで、中小企業庁の補助金施策になります。

ものづくり補助金は特殊な機械を用いた製造業が対象だと思われていることが多いですが、業種には関係なく生産性の向上に向けた取り組みにつながる設備投資であれば、補助対象になる可能性があります。

補助金の申請に必要な条件は3つあります。

1つ目は、「申請時にすでに創業している」です。創業「予定」といった場合には申請はできません。

2つ目に「一定水準以下の資本金、又は従業員数である」ことです。この制度では主に中小企業や小規模事業者むけの制度であるため、資本金や従業員数に上限があります。例えば、卸売業では資本金1億円以下、従業員数100人以下。旅館業では資本金が5000万円以下、従業員数200人以下となっています。ポイントは資本金か従業員数のどちらかが条件に入っていると申し込みを行うことができることです。

3つ目に「賃金引き上げ計画を従業員に公表している」ことです。申し込みを行う前に従業員に対して、賃金の引き上げを表明していることが必要です。

賃上げ計画とは、「役員従業員の給料支給総額が年率1.5%増加する」や「地域別最低賃金を+30円以上引き上げる」といった条件を従業員に表明して「賃金引き上げ証明書」を作成することです。

ものづくり補助金には、「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」の3つのタイプがあります。共通する部分として「設備投資にお金を使う」ということです。

補助金額は最大で1000万円となっており、補助率は原則2分の1となっていますが、従業員数が5名以下で小規模事業者であれば、補助率は3分の2に引き上げられます。また、「先端設備導入計画」や「経営革新計画」の設定を受けていると、補助率は同様に3分の2になるので、ほとんどの企業は3分の2の補助率で申請しています。

ものづくり補助金は他の補助金や助成金と比べると競争率が高く「自身で行う」ことはおすすめではありません。事業計画書を作成するにあたっては専門家のアドバイスのもと、新しいサービスや試作品の開発になっているのか、生産性の向上がちゃんと図れるのかを踏まえることが大切になります。

申請の流れは「ものづくり補助金サイト」から電子申請を行い、結果通知まで数ヶ月かかります。また、応募した時期に合わせて支払いを済ませる必要があります。ものづくり補助金も落ちる可能性があり、もし受かると10ヶ月の補助対象期間があります。補助金交付後5年間は事務局に状況の報告を行なわなければいけません。

 

まとめ

国をあげたDXを実現できなければ、「2025年の崖」と言われているように、最大12兆円もの損失が生まれてしまいます。既存のレガシーシステムを刷新して、企業に新しい風を吹かせることは企業成長へとつながることでしょう。2021年もDXを進めるための予算は確保される見込みになっているので、上手に活用することで自社のDX化が推進できます(詳細は執筆時点で未発表)。詳しくは専門家のアドバイスのもと、補助金や助成金を活用して、業務の効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

Topics: 中小企業, デジタルトランスフォーメーション

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。