DIGITAL BUSINESS BLOG

今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

農業と水産業におけるデジタルマーケティングの海外事例とは?

2021年8月6日 (公開 :2021年2月5日)

日本だけでなく、農業や水産分野で大きな問題となっているのが人手不足などの後継者不足や環境問題への影響です。このような影響に対抗するために現在注目されているのが、アグリテック、フィッシュテックといわれる分野です。アグリテック、フィッシュテックとは、IoTやAI、機械学習などのテクノロジーを農業や水産に活用することで生産性や働き方の効率を上げたりすることを目指します。本稿では、海外のアグリテック、フィッシュテックの事例をご紹介します。是非参考にしてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 アグリテック・フィッシュテックとは?
      3.            A  農業・水産の効率化
      4.            B  働き方改革
      1.  2 海外のアグリテック・フィッシュテック事例
      2.            A  ノルウェー
      3.            B  Plenty
      4.            C  Blue River Technology
      5.            D  GrainChain 
      1.  3 まとめ
  1.  

 

 

アグリテック・フィッシュテックとは?

アグリテックとは、農業を意味するアグリカルチャーとテクノロジーを組み合わせた言葉で、フィッシュテックは魚を意味するフィッシュとテクノロジーを組み合わせた言葉です。現在ビッグデータやAI、IoTなどのテクノロジーの発達や5Gの普及に伴って新たなビジネスの開発が可能になってきたことから現在注目されています。アグリテック、フィッシュテックで解決できる課題には下記の様なものがあります。

 

農業・水産の効率化

アグリテック・フィッシュテックの大きな効果の一つが農業・水産の効率化です。具体的には、従来人の手を介してしか行えなかったような作業など収穫時期をAIロボットに学習させて、自動で収穫を行うことや熟練の農家が長年の経験で蓄積してきたノウハウをビッグデータで解析しながらデータ化することなどがあります。このように、従来の作業で自動化、データ化することで農業・水産作業の効率化を目指します。

 

働き方改革

農業・水産業の大きな負担の一つが働き方です。従来、朝から晩まで休みなく働くというイメージが強い農業・水産業ですが、テクノロジーを活用することで、農作物や魚の状況をロボットやAIをデジタルで管理したり、ドローンやトラクターを活用することで作業負担を減らすことができます。

 

海外のアグリテック・フィッシュテック事例

海外で開発されていたり、活用されはじめていたりするアグリテック・フィッシュテック事例をご紹介します。

海外の漁業

ノルウェー

ノルウェーはサーモンの漁獲、養殖で有名な国ですが、乱獲による将来の漁獲減を防ぎ、業務の効率化を目指すために、AI等を活用しています。例えば、Scantrol Deep Visionが開発したAIでは、海中カメラを用いることで海中の魚群を分析し、船に引き上げる前に漁獲量が把握できるため、混獲や漁獲量オーバーの無駄な漁獲を避けられます。また、高く売れる成魚のみを選別することもできるため、生産性アップにもつながります。

また、養殖においてもAIやデータ分析を活用してより効率化を目指しています。例えば、養殖水槽にセンサー、AI、カメラを分析することで餌やりタイミングやワクチン接種のタイミング、養殖の点滴であるフナムシの増殖への対応などを最適化したり、自動化したりすることなどを行っています。また、流通においてもネットオークションを活用しており、漁業者が船上からオークションに参加し、落札した加工業者がいる港に寄港することでより生産性を上げ、新鮮度が高いまま消費者に届けることも可能になっています。ノルウェーでは、水産においてテクノロジーを活用することで生産性向上、また将来への対応も検討しています。

 

Plenty

Plentyは海外で今最も注目されているアグリテックのスタートアップです。ソフトバンクもリクルートも出資をしており計220億円近い出資をしています。Plentyが手掛けるのは、インドア垂直農法と言われるものであり、従来広い土地が必要と言われていた農業において、トレイや吊り下げ式のモジュールを用いて栽培しています。センサーやLEDを用いて、データを分析しながら最適な栽培手法を検討し、水の使用量は9割以下で今までの農業に比べて生産量が350倍ともいわれています。このようにテクノロジーを活用することで農業の生産性や新たな農業手法が注目されています。

 

Blue River Technology

Blue River Technologyは、除草技術でテクノロジーを活用している企業です。Blue River Technologyの技術は、ピンポイント散布技術であり、農業機器です。ここのレタスの発育状況を分析して必要な場所にだけ除草剤を巻いたり、間引きをしたりします。この技術には、画像認識技術とロボティクス、機械学習を組み合わせたものであり、作物と雑草の違いを見分け、自動で除草剤を散布します。その結果、除草剤は従来の10分の1程度に節約でき、作物の質アップにもつながります。

 

GrainChain

GrainChainはブロックチェーンを活用して、コーヒー豆や農産物のトレーサビリティを担保して、農家に対する収入に貢献します。農業が農作物を販売する際には、どうしても多数の仲介業者を挟むため、農家に入る収入が限られ、バイヤーにとっても農家の選択が限られているという点がありました。しかし、同プラットフォームを用いることで仲介業者を最小限にし、農家の収入増加に貢献し、バイヤーにも自分にとって最も好条件の農家を選択できるようになり、質の向上やコストのカットにつながります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。農業・水産もデータ、テクノロジーを活用することで生産性の向上や新たな手法の開発、サプライチェーンの合理化などにつながります。現在課題が多い、農業や水産事業ですがテクノロジーを活用することで新たなソリューションがうまれるかもしれません。どのような業種においても新たなテクノロジーをチェックしておくことが大事です。新たなニュースをフォローしましょう。

Topics: デジタルマーケティング

執筆 海野健

マーケティング支援会社のストラテジー部門に10年在籍。自動車、金融、FMCGなど多種な業種において、商品マーケティング戦略や商品コミュニケーション戦略開発、デジタルマーケティングを担当。また、東南アジア駐在経験があり、現地でのマーケティング案件に携わり、グローバル・マーケティングの知見も広い。