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データで考えるデジタルマーケティングにおいて営業が考えるべきこと

2021年8月6日 (公開 :2020年10月28日)

営業が社内での事務作業によって外回りにいけない、既存顧客や角度の低い顧客に振り回されているといったことが見受けられる場合には、既存の営業の活動に問題がある可能性があります。営業は売り上げを作る重要なポジションであるため、営業活動がうまくいかないと企業としては深刻な問題になります。そこで新規獲得や既存顧客のサポートなどを効率よく行うために、やるべきタスクの順位付けやデータを活用するなど方法を変えていかなければいけません。

今回は営業効率を上げるために考えるべきことをテーマに「新規のアプローチ」「セールスコール」「できる営業の行動」「MAの活用」の4つについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

📚 目次
    1.  
    2.  1 新規へのアプローチ
       2 セールスコール
      1.  3 できる営業の行動
      2.   MAでの管理
      1.  5 まとめ
  1.  

 

新規へのアプローチ

営業活動のうち、難易度が高いとされる仕事は新規顧客の創出だと考えている人は多いのではないでしょうか。確かに特に接点のないところから、テレアポや飛び込みで行う新規の獲得営業は肉体的にも精神的にもタフな業務です。

商談数が多ければ多いほど、営業マンの場慣れや実力向上によって得られる結果も大きくなります。しかし、闇雲に商談数を増やせば良いわけではありません。そこで注目したいのがHubSpotの調査である商談件数と目標達成の割合です。調査結果によると、1か月間の商談数が50件以下の企業では、収益目標を達成できない割合が72%なのに対し、51~100件の会社では15%、101~200件の会社ではわずか4%にとどまります。営業活動における訪問件数は会社の規模や営業マンの数によって大きく変わってきますが、訪問件数を多くすることが重要な項目であるのはお分かりいただけたのではないでしょうか。

収益目標において大切な考え方はKPIを設定して売り上げ目標からの逆算を行うことです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」のことです。目標達成のために行うアクションを明確にして可視化することで現状と目標の距離を知ることができます。そのためにはまず「新規顧客訪問数」と「提案数」を「月次、週次、日次」にわけて算出します。そしてアクションごとに課題の抽出を行い、必要であれば迅速に対応を行う事が大切です。

次に営業アプローチの時期です。よくあるのが、月末や四半期末が近づくにつれて件数が足りないための駆け込み営業が増える事があります。もちろん目標の達成が危ぶまれている場合には必要な行動ではありますが、締めの時期が近づくにつれて訪問先も忙しくてアポイントがリスケになったり、時間を長く取ってくれなかったりといったことが起きます。そのような場合、結果として欲しい結果を獲得するのが難しくなるでしょう。こういった事態を防ぐために、月初から余裕を持って目標達成のために動いていかなくてはなりませんGong社が15か月分の調査によると、平均的な営業担当者は、四半期の最終月に、その前の2か月よりはるかに多くのセールスコールをかけているとされています。

また、HubSpotの調査によるとプロスペクトの半数以上が最初の接触時に「価格」と「使用感」について知りたいと考えているとの結果があります。商品のメリットを話す前に価格を聞かれて相手が高いと感じた場合は、交渉が難航することが多くなります。その場合は価格相応のメリットがあることを伝えられる準備をしておくことが大事です。「使用感」については導入事例を紹介するとともに、実際に使用した企業の例から実感を持ってもらうことが大切です。

その他、TOPOの調査によると、決済者と直接話をしたり許可をもらうには平均して18回もの電話をかけるという調査結果も出ています。アポイントを獲得するには粘り強く接触をはかるタフな精神が必要です。テレアポは受付で門前払いがあるなど、担当者に会うことすらなかなか難しいですが、電話をかける時間を変えるなどの工夫をして辛抱強くやることが大事になってきます。

さらに、営業メールは24%しか開封されず、営業メールだけではほとんどアポや成約を獲得するのは難しいというTOPOの調査結果があります。そしてDrift社の調査によるとフォームからの問い合わせがあった場合に、返答を5分以内にできている企業は7%だけと非常に少ないという結果が出ています。実は60分以内に返答できた場合はそうでない場合に比べて、先方の意思決定者と有意義な会話ができる可能性が7割向上しているというハーバード・ビジネス・レビューの調査結果もあるのです。フォームからの問い合わせがあれば、1時間以内に、遅くてもその日のうちに対応するなど素早く返答することで好印象を持たれるなどの反応につながります。

 

セールスコール

営業の電話

セールスコールの際に大事になってくるポイントは、プロスペクトは何に困っているのかを知ることです。そのためにはプロスペクトが抱えている課題を知るための質問を行っていきます。

効果的な聞き方として、直接「○○に困っていますか」と聞くのではなく、「××のような形態の会社でも〇〇といったことに困っている事が多いのですが、御社ではどうですか?」という聞き方が良いでしょう。前者では「Yes or No」が返答されるのに対し、後者では「聞かれた質問に対する答えの説明」が含まれています。これに加えて、他社でも同じような事で困っているんだという安心感から、担当者の愚痴や課題などを聞く機会につながります。そこから、真のニーズを聞き出した後に適切なプランを提案することができる可能性があります。

また、その際には「私たち」「一緒に」や「必ず」「確かに」といったワードを会話中に入れることで、先方にとって「一緒に考えてくれているんだ」「ちゃんと結果を残してくれそう」といった気持ちを持たせる事ができます。HubSpot Researchによると優秀な営業マンは、あまり成績のよくない営業と比べて、相手を巻き込んだ言葉や言い回しを10倍も使用しているという調査結果が出ているそうです。

一方、使わない方が良いフレーズとしては「取引、契約」といった堅苦しく聞こえるようなワードです。こうしたワードは先方が身構えてしまう可能性があり注意が必要です。また、自社や競合他社の名前を連呼することは気分を害する場合もあるため、避けた方が良いでしょう。先方から使用感を確かめたい場合によく無料トライアルが用いられます。これは短期で効果の出やすいものであれば、積極的に活用して満足度を高めることに対して効果的です。しかし、時間のかかるものについては労力と見合っているのかを検討する必要があります。Gong社の調査によると「割引」という言葉を使うと成約率が17%低下し、「契約」も7%低下、「無料トライアル」は次の段階に進む確率が5%低下するそうです。

 

できる営業の行動

HubSpotの調査によると、できる営業の代表的な印象は下記とのことです。

プロスペクトのニーズに耳を傾けること(69%)
押しつけがましくしないこと(61%)
すぐに対応すること(51%)

1つ目からわかることは、先方との契約が決まる決まらないに関わらず、課題にたいして本当に必要な対策を考えているということでしょう。これによって、今回は成約にいたらなかった場合でも、相手からの信頼が得られ、次回ほかの案件で契約が取れる可能性や、逆に自身が困ったことがあった際に助けてもらえるような関係の構築ができるようになります。

2つ目に関しては、どこまでアピールするかの問題です。契約が取りたいために、相手のニーズに合っていないにも関わらず商品やサービスを押し売りするのはよくありません。プロスペクトには落ち着いて納得をしてもらった上で契約が取れるように自身のスキルを磨きましょう。もっとも良いのは商品説明をしただけで「欲しい」といってもらえることです。

3つ目はできそうでなかなかできないことです。商談を行ったお客様が不明な点についてメールや電話で連絡をしてくることもあるでしょう。それに対して、忙しいからといった理由で返信を遅らせると、せっかく質問までしてきた確度の高い顧客を競合に取られることもあります。連絡はマメにできれば即レスを目指しましょう。

これに加えて、できる営業が意識している3つ項目があります。

1つ目は成約する取引先を増やすことです。できる営業はプロスペクトのニーズや課題の事前調査をしっかりと行い、確度が高いとわかっている営業先を多く作っています。

2つ目はセールスファネルを効率化することです。あなたのビジネスを知らない人に対して、いかにして知ってもらい、有力な商品やサービスであると認知してもらうかを考えています。また、その仕組みを作るためにブログでの発信やセミナーにおける登壇などで、セールスにおけるテクノロジーの改善とマーケティング活動を行っています。

3つ目は紹介で新規顧客を獲得できるサイクルを創出しています。プロスペクトのほとんどは知り合いからの推薦や紹介を信頼しやすくなります。また紹介されたものは、紹介者が使用感についても詳しく話してくれているなど、成約率が高い傾向にあります。

 

MAでの管理

これまでの営業活動がうまくいっていない場合、企業としての課題はこれから営業がすべきことと実際の行動を明確に可視化することです。目の前の仕事が多くなると営業はついつい目先のことばかりに囚われて既存対応ばかりを優先するため、新規営業の数が減り、いまの営業成績は好調でも数ヶ月先の成績が落ち込むことはよくある話です。こういった状態を減らすためにも管理者がデジタルツールを使って可視化するのが良いでしょう。たとえばSFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)の導入がおすすめです。SFAは見込み顧客を獲得後に必要な顧客の管理や案件の進捗状況を把握しやすくしてくれます。MAではワークフローやEメールマーケティングなどのマーケティングを自動化し、やるべきタスクの漏れを防ぎ、省力化も実現できるので、営業の効率が高まります。優秀な営業の行動データに基づいてパイプラインを設定し、営業状況の進捗や予測を個人はもちろん、会社全体で行うべきです。

 

まとめ

営業は企業活動において最も重要な部分でもあり、最も大変なことの1つと言っても過言ではないパートです。やることの多い営業活動において、情報の可視化は最重要課題です。そのため、データを用いた戦略的なマーケティングで効率化を図ることが望ましいのです。

今やテクノロジーの発展に伴い、訪問営業を主体とした営業活動を行っている企業も減ってきています。営業はインサイドセールスや営業支援ツールなども掛け合わせて効率的な方法をとることでよりやりやすいものになります。これを機に御社の営業活動を見直してみてはいかがでしょうか。

※参考:HubSpot社「75 Key Sales Statistics That'll Help You Sell Smarter in 2020」

 

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Topics: マーケティングオートメーション, 営業, デジタルマーケティング

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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