DIGITAL BUSINESS BLOG

今や企業が生き残るためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した生産性の向上が必須となっています。これを実現するにはコンテンツ・経営データと連動する総合的なデジタルマーケティング戦略の策定と検証・実施が不可欠です。当ブログでは、DXやデジタルマーケティング・集客などマーケティング担当者が直面する課題解決に役立つ情報をほぼ毎日更新していきます。

不動産会社が集客でやるべきマーケティング戦略とは

2021年8月6日 (公開 :2020年8月31日)

近年、デジタルテクノロジーの進化・一般化によって、あらゆる業界で新しい製品やサービス、あるいはビジネスモデルなどが誕生し、また顧客へのアプローチ方法や顧客との関係のあり方が大きく変化しています。そのため、競争に打ち勝ち、ビジネスを拡大・発展させるには製品やサービス、ビジネスモデルだけでなく、集客など日々のマーケティングや営業活動業務から戦略や組織の文化・風土までをデジタル化するデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要です。不動産業界も、その例にもれず、デジタルテクノロジーを最大限に活用しなければ、利益を上げ、事業を拡大していくことは困難です。そこで、不動産業界にとって重要な集客を増やすためのマーケティング戦略に積極的にデジタルテクノロジーを使う理由、必要性について解説します。


📚目次

 

 1⃣ 新型コロナウイルスの影響とこれからの課題

 2⃣ 集客に必要なコンテンツマーケティングとは

 3⃣ コンテンツマーケティングに利用するメディア

 4⃣ まとめ

 

不動産業界に対する新型コロナウイルスの影響とこれからの課題

1 新型コロナウイルスが不動産業界に与えた負の影響

新型コロナウイルスは、旅行・宿泊、飲食、小売り、運輸など多くの業界・業種に影響を与え、市場を縮小させており、それは不動産業界にも大きな影響を与えています。株式会社クラスココンサルファームの調査によると、不動産仲介企業の中で、集客で79%、成約件数で76.9%、売上で74.6%もの企業が減少したと答えています。これは恐るべき数字で、市場環境の厳しさを物語っています。

2 不動産業界の抱える課題と必要な対策

不動産業界は、社会や経済の影響を大きく受ける業界です。新型コロナウイルスは一過性と思われていましたが、今ではこのウイルスとの闘いは長く続くと考えられています。また、新型コロナウイルス以外にも、これから先の日本は人口減、高齢化という構造的な問題が不動産ビジネスに影響を与えます。また、2022年問題なども間近に控えています。従来のビジネス手法で大きな問題がなくても、新しい時代・環境に適応したビジネスに変革していかないと、競争に負けるリスクが大きくなっていきます。

なぜなら、厳しい経営環境は必然的に競争激化を招き、厳しい競争が起きるからです。その結果、上記の新型コロナウイルスの影響でも多くの店舗がマイナスの影響を受けていますが、影響を受けていない企業も20%から30%弱あるわけで、当然ですが優勝劣敗の傾向が強まっています。同じ不動産業でも主力の事業や店舗の立地などの違いで影響の現れ方は異なりますが、環境に応じた対策をしっかり行っていかないと、これだけの大きな差が出て、何も対策を行わないならますます大きくなっていくことは間違いありません。

そこで、不動産業社がまず行うべき重要な対策の1つは「集客」を増やすことです。不動産を求める見込み客は、衝動や思いつきで物件の購入や賃貸の決定を行うことはありません。また、見込み客は購入の場合、不動産が高額であること、何度も買い換えることがないことで多くありません。賃貸の場合は、購入よりも需要は多いですが、賃貸する事由が顧客に生じない限り見込み客になりません。そのため、少ない不動産購入の見込み客をできるだけ早く、確実に集客すること、また賃貸を希望する顧客は、その必要に迫られているため、成約の見込み度の高い顧客であることから、こちらもできるだけ早く、多く集客することが不動産ビジネスでは最も重要です。そこで、集客を効果的・効率的に行うためのコンテンツマーケティングについて解説します。

不動産不況

集客に必要なコンテンツマーケティングとは

1.コンテンツマーケティングとは

 コンテンツマーケティングとは、顧客が必要としている、あるいは価値を感じる情報(コンテンツ)を制作し、発信するマーケティングのことです。従来の広告によるマーケティングでは、企業が潜在的な顧客に伝えたいことを一方通行で発信していました。一方、コンテンツマーケティングでは、潜在的な顧客が知りたいと思っている情報を企業がコンテンツとして発信し、顧客が自らの意思でそのコンテンツを探し出し、専門家としての企業を信頼し、最終的に成約(利益)に結びつく点で異なります。

2.コンテンツマーケティング成功事例と不動産業界に必要な理由

効果的なコンテンツマーケティングとして全国的に有名な事例に「Suumo タウン(不動産)」「ライフネット生命(保険)」「くらしの良品研究所(小売り)」「ミシュランガイド(製造)」などがあります。

不動産業では、即断即決で成約に至ることは少ないため、顧客とのコミュニケーションによる良好なリレーションを築けるコンテンツマーケティングは大きな効果を期待できます。なお、コンテンツマーケティングは、費用をかけて全国的に行わなくても地域や対象などを限定して、少ない費用で費用対効果の高いマーケティングができる特徴があります。不動産業は、地域に密着したビジネスであること、即断即決で成約に至ることは少ないことなどから、顧客が長い期間を過ごすことになる地域の情報を魅力的に伝えることが重要です。地域への興味関心が高まれば、不動産物件のニーズも連動して高まるからです。

また、高い人件費や深刻化する人手不足などの問題から人力に頼った訪問や電話では費用対効果の高い販促は期待できません。より効果が高く効率のよい手法を積極的に試していく必要があります。顧客が求める情報(コンテンツ)を発信し、顧客が必要とすることに対して、自社ができること、どのようなメリットを提供できるか、どのような思いで不動産事業を行っているかを理解・共感してもらうことで、顧客からの問い合わせを大きく増やせます。これにより、営業マン1人が頑張ることの数倍、数十倍の集客ができ、信頼関係も強まることから、従来以上に成約の成果も期待できます。

コンテンツマーケティングに利用するメディア(情報を発信する場)

コンテンツマーケティングは必ずしもデジタルのコンテンツでなくても問題はありません。その代表的な例は「ミシュランガイド」です。しかし、ここではエリアや顧客の対象を絞っても費用対効果の高い集客が可能なマーケティングができるデジタルメディアについて紹介します。

1 コンテンツマーケティングで利用するメディアの種類

利用できるメディアは大きく分けて、「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」の3種類があります。

A.ブログやSNSなどの「オウンドメディア」とは

オウンドメディアとは、企業が自社の情報発信のために利用するメディアのことです。ブログやSNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)、Webサイトなどがあります。顧客のニーズは多様なため多くのコンテンツを用意しないと効果が生まれません。また、新しい情報を随時追加していくことも必要です。

B.お金を支払ってWeb広告を掲載する「ペイドメディア」とは

ペイドメディアとは、他社企業が運営し、多くの人が利用するWebサイトに有料で自社の情報を掲載してもらうメディアのことです。ペイドメディアには、多くの情報を掲載できないためオウンドメディアへ顧客を誘導する目的で利用します。顧客が知りたいキーワードについて、その検索結果を表示するページに検索キーワードに関連して表示される自社の情報(広告)も含まれます。最近では、多くの人が利用するSNSに自社のオウンドメディアへ誘導する情報(広告)を効果的に出稿できます。

C.顧客の口コミなどを利用する「アーンドメディア」とは

アーンドメディアとは、口コミサイトや個人が運営するブログで発信される情報が掲載されているメディアのことです。企業ではなく主に個人(インフルエンサーなど)が発信するため、良いことだけではなく、悪い情報も含め、客観的な情報として高い信用が得られます。SNSが代表的であり、拡散力の大きさは目を見張るものがありますが、良い情報よりも悪い情報が、より広く伝達・拡散されるため注意が必要です。アーンドメディアは、うまく利用できると費用がほとんどゼロで、極めて大きな宣伝効果が得られます。良い口コミをしてもらうことは、企業が依頼してもうまくいかず、日常の営業活動やオウンドメディアによる顧客のために必要で有益な情報を発信し続けるなどの地道な努力が必要です。

2.効果的なコンテンツマーケティングの展開

これら3つのメディアの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。しかし、ペイドメディアもアーンドメディアもオウンドメディアがよいコンテンツになっていないと効果は弱くなります。どこから流入しようと最終的には自社サイトなどのオウンドメディアを見て、顧客は買うか買わないかを見るはずだからです。オウンドメディアの充実があってこそ他のメディアとの連携がうまくいくということを忘れてはいけません。

まとめ

長引くことが懸念される新型コロナウイルスの影響や、人口減・高齢化による空き家問題など不動産業界は厳しい市場環境に置かれています。市場環境が厳しいときは、リスクが大きくピンチに見えますが、一方で、今までできなかったことができるチャンスにあふれています。デジタルを活用することでさまざまなことにチャレンジでき、他社との差別化ができるチャンスです。集客を効果的に行えるコンテンツマーケティング初めてみてはいかがでしょう。

Topics: コンテンツマーケティング, 集客

デジタルブログ編集部
執筆 デジタルブログ編集部

ゼクシィネットなどの数多くのメディア制作に携わった後、Investing.com日本版編集長。現在はデジタルマーケティング統括責任者。メディアで培ったノウハウを生かし、HubSpotを中心としたデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、インサイドセールスなどを中心に執筆。HubSpot導入コンサルタントとしても活動中。