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インサイドセールスとは?導入メリットや意味などの基礎知識

2021年8月6日 (公開 :2020年11月24日)

インサイドセールスとデジタルマーケティングは、コロナ禍以降のセールスには必要不可欠なものとなってきています。ここではそのインサイドセールスの基礎知識を紹介します。これを見ればインサイドセールスとは何か、その歴史、導入方法や参考事例について理解することができるようになっています。これからインサイドセールスの導入を考えている場合には、ぜひ参考にしてみてください。

 

📚 目次
      1.  
      2.  1 インサイドセールスとは
      3.            A  インサイドセールスの普及の背景
      4.  2 BtoBの売上拡大に必要な理由
      5.  3 インサイドセールスのメリットとデメリット
      6.            A  インサイドセールスのメリット
      7.            B  インサイドセールスのデメリット
        1.  4 インサイドセールスに最適なツールとは
        2.  5 インサイドセールスに向いている企業
        3.  6 立ち上げる際の注意点
        4.  7 海外の事例
      1.  8 まとめ
  1.  

 

 

インサイドセールスとは

フィールドセールスが企業に訪問して営業活動を行うのに対して、インサイドセールスはWebツールや電話を用いて社内から営業活動を行います。顧客先に訪問することなく電話やメール、ビデオ会議を通じてリードの優先順位の決定、リードとの関係性維持、アポイント獲得、商談、クロージング、アフターフォローの全て、もしくはフィールドセールスへトスアップするまでの過程を実行します。

日本でも少数ではありますが、かなり以前からインサイドセールスを取り入れている企業がありました。しかし、その起源としては1980年代から1990年代にかけてアメリカの営業活動で普及したと考えられています。アメリカは日本に比べて国土面積が広く、端から端まで訪問しての営業活動を行うのは現実的ではありません。そのため、電話で商談からアフターフォローまでを行う営業文化が広がっていったのです。

 

インサイドセールスの普及の背景

近年、インサイドセールスがこれほどに注目されているのは、いくつかの社会的な要因があります。一つ目は国をあげたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が行われていることが挙げられます。経産省の定義では、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や会社のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と書かれています。こうした国の取り組みにより今ではテレワークを導入する企業も増えてくるなど、柔軟な働き方ができる企業が注目されています。このようなデジタル技術を用いることで、場所や時間に縛られない働き方やテレワークができるようになることも大きなメリットとなっています。

二つ目に少子高齢化による労働人口の減少が挙げられます。経産省の調査によると、2030年までにIT人材に絞った需要の変化を見てみると、最悪の場合では約80万人近い人材が不足することになります。どの業種においても不足することが考えられ、一人当たりの業務量が増加してしまうという課題に直面します。そのため、営業活動に限らず、人間が手を出さなくてもよい業務は機械やシステムに任せるなどの業務効率化が求められているのです。

日本では昔から営業活動といえば、相手先に訪問する対面型の形式が一般的でした。しかし、この手法には移動時間や交通費、カフェなどを利用する場合には会場費といったコストもかかることから、無駄だと考える企業が増えてきています。

これに加えて、世界中で猛威を奮っているコロナウイルスの影響から、日本でも人が密集する機会を避けるようになりました。そのため、対面での営業活動も自粛する風潮になってきています。そして、これまではフィールドセールスのみで営業活動を行なっていた企業でも、電話やメール、ウェブ会議システムを導入することによって営業活動を行うことができるインサイドセールスを活用する組織の増加が見られます。

 

BtoBの売上拡大に必要な理由

売上上がる

BtoBにおける営業活動では、インサイドセールスの役割が非常に重要です。その役割について見ていきましょう。

最初に挙げられるのが、リモートワークが一般化したことによる影響です。これまでのDXといった国の取り組みに加えて、コロナウイルス感染拡大という社会的な自粛モードによって非対面営業が加速されたという背景もあります。そして今までは対面ではない営業に対して「誠意がない」や「失礼だ」といったようなイメージがありましたが、最近ではインサイドセールスからのアプローチに対して違和感を感じなくなってきています。

次に、消費者のリテラシーが向上したことによる購買行動の変化が挙げられます。インターネットの普及により、消費者がモノを購買する際に他の商品との比較、検討をすることが当たり前となりました。これにより、コンテンツマーケティングを行う上で必要な考え方の「DECAX」、SNSマーケティングでは「ULSSAS」という新たな購買行動のフレームワークが出現してきました。

そして、マーケティングツールが進化したことも挙げられます。これまでの営業活動においては、実際に消費者と接触をするまでは、商品に対してどのくらいのニーズがあるのかということを認識するのは困難でした。また、マンパワーだけでの顧客管理には限界があり、一人が多くの案件を処理する場合には忙しさのあまり「忘れていた」や「タイミングを逃した」といった状況になることも多く見受けられていました。しかし、MAなどのマーケティング自動化ツールを活用することで、顧客の管理や顧客のフェーズ・行動の解析を任せることができるようになります。今後売り上げ拡大を目指すには、必須のツールになるでしょう。

最近では営業手法、マーケティング方法に変化があります。これまでの営業方法で一般的であったのが、プッシュ型営業でした。これはテレアポや飛び込み営業などのことを指し、現在においてはあまりニーズがなく、消費者にとって面倒だと思われる行動の一つになってしまったといえるでしょう。

しかし、インサイドセールスへの導入には課題もあります。これまでの営業方法からの転換は社員を困惑させる可能性があり、スムーズな移行と社員へのケアが必要になることです。新しい手法への切り替えは時に困難を伴いますが、経営層がインバウンドマーケティングへの理解を深め、熱意を持って社員に伝えて浸透させることが大切です。

 

インサイドセールスのメリットとデメリット

メリット-1

 

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスにおける1つ目のメリットは、営業にかけるコストや時間の削減があります。一般的なフィールドセールスをメインに行う営業活動では、企業先に訪問することで商談やクロージングを行います。それに対しインサイドセールスでは電話やメール、ウェブ会議を用いることによって移動にかける時間や費用をカットすることができます。これにより、1日あたりの商談件数を増やすことができるというメリットがあります。例えば、フィールドセールスではどんなに頑張っても1日4、5件の訪問や商談が限界です。これに比べて、インサイドセールスは1件あたりにかける全体時間が30分だとしても1日に10件以上の商談ができることになります。

次に、戦略を練った組織的な営業がしやすくなるというメリットが挙げられます。MAやCRMといったマーケティングを効率化するツールを使えば確度の高い顧客とそうでない顧客の振り分けや、適切なタイミングでの接触をすることができます。また、フィールドセールスと連携させることによって、顧客への対応を柔軟に行うことができるようになります。

続いて、営業活動の質の属人化を防ぐことがメリットとして挙げられます。飛び込み営業やテレアポなど、顧客との関係作りをゼロから行う場合には、営業担当の人柄やモチベーションによって結果が大きく変わってくることがあります。その点インサイドセールスではツールを利用したマーケティング活動によって、できるだけ確度の高い見込み顧客に絞ったアプローチをすることができるので、営業の属人化を防ぐことにつながります。また、これまでの活動記録を残して、分析結果に従ったアプローチが可能なので、将来的な売り上げ目標や予測を立てやすくなります。

 

インサイドセールスのデメリット

次にデメリットを挙げていきます。対面での営業活動でないため、相手によっては稀に「誠意を感じない」や「不安だ」といった感情をもたれることが挙げられます。非対面での商談は慣れていないと相手の空気感の理解や情報を聞き出す作業に苦戦することもあります。

また、活動の記録を意識的につけて共有する手間もあります。初めのうちは顧客履歴などの記録に時間がかかったり、仕事が増えたと感じることもあるでしょう。しかし、コミュニケーションが不足するとインサイドセールスは失敗します。そうならないためにも早い段階でのフィールドセールスへの移行や、トレーニング、トークスクリプトなどの環境整備が大切になります。

導入時にデメリットの対策をするならば、メインはインサイドセールスで行いながら、相手の温度感や状況に応じて訪問するなどの対応をとることができるでしょう。

 

インサイドセールスに最適なツールとは

いろいろなデジタルツール

インサイドセールスの効果を増大するものとしてツールの導入は欠かせません。ツールを導入することで、期待値の高いフェーズにあるターゲットに対しての認識ができるようになったり、フィールドセールスへの引き継ぎの際には内容を共有しやすくなるなどのメリットがあります。注意点としてはインサイドセールスとフィールドセールスがそれぞれ同じツールを用いていることが必要である点です。

ここではインサイドセールスにおすすめのツールを4つ紹介します。

一つ目は顧客管理機能(CRM)です。CRMとは顧客関係管理システムのことを指します。ネットショップや通販などで一回きりの購入で終わらせるのではなく、継続した購入や定期購入をしてもらえるように顧客に細やかなフォローを行います。定期的なメール配信などで自動的に購入周期に合ったプランを提示することで、担当者と顧客の関係を強くしていきます。定期購入では通常購入よりもお得に購入できるなどのメリットを与えて企業や商品のファンにすることが重要になってきます。

2つ目にセールスフォースオートメーション(SFA)があります。SFAは営業活動における情報をデータ化して蓄積、分析できるツールのことです。具体的には会社名や担当者名などの顧客情報、案件の進捗情報などの案件情報、アポイント段階か商談段階かといった案件の進捗情報、顧客に対してメール送信やプレゼンといったどんなアプローチを行ったのかを管理する、行動情報があります。これらを可視化することで営業活動における次のアプローチが見えやすくなります。

3つ目にマーケティングオートメーション(MAです。MAは顧客の育成を行いつつ、良好な関係を継続して構築することを目的としたツールで、作業を自動化することで省力化が行えるツールですMAツールには、SFACRMとセットになっているものもいため、わせて使うと効果的です。インサイドセールスに関しては、MAを導入することをおすすめします。

最後にビデオ会議ツールです。インサイドセールスでは訪問の際にかかるコストや時間の削減ができますが、対面での営業ではないために、顧客の心理面に顔が見えないことによる不安が生じる場合があります。Skypeやzoomなどのビデオ会議ツールでは、お互いの顔を見て商談や会議ができ、複数人での対話にも対応しています。また、資料を見せながらの説明を行えるというメリットもあります。

ツールは大幅な効率化ができる一方、うまく活用することができないと宝の持ち腐れになります。一度導入するとすぐに変更することができないので、自社にとって必要な要素をしっかりと分析して導入を検討するようにしましょう。

 

インサイドセールスに向いている企業

コロナウイルスの影響もあり、多くの企業で導入が拡大しているインサイドセールスですが、商材や企業の組織形態によっては合わない企業もあるので注意が必要です。

多くの企業が流れに乗るような形でインサイドセールスの導入に取り組んでいますが、大切なことは、インサイドセールスは手段であり、インサイドセールスを導入することが目的にならないようにすることです。顧客価値・顧客体験としてインサイドセールスを導入するに値するかを検討しましょう。ブームに踊らされずに自社営業にとって足りない部分が補えるのかを見直してみることが必要です。

まず、向いている企業としてはBtoB向けの商材やサービスがあることです。もちろんBtoCにもインサイドセールスは有効ですが、単価がある程度高いか、安くても大量購入が見込める顧客でないと、丁寧に顧客対応をするコストに見合わないため、法人営業の方がより向いているといえます。

次に営業効率を上げようとしている企業です。これまで訪問型の営業手法だけでは限界を感じており、限られた人員で売り上げや顧客数を伸ばしたいと考えているのであればインサイドセールスが有効です。インサイドセールスではMAのようなツールを活用することで、顧客への定期的な接触や効率の良い顧客管理を行うことができます。これは効率的な時間の使い方ができることにもつながり、交通費の削減も期待できます。

3つ目として商圏を広げたいと考えている企業です。インサイドセールが国土の広いアメリカで端から端を訪問することができないために発展したものであるように、訪問が難しいような遠方でも営業活動を行うことができるインサイドセールスを活用することで、これまで届かなかったビジネスの範囲を広げることができるようになります。

最後に、経営陣がインサイドセールスの重要性を深く認識している企業です。従来の手法からの転換は履歴の記録といった作業の負担や心理的な反発をスタッフに起こす可能性があります。こういったときに経営陣が断固として推進しないと、導入は成功しません。経営陣がまずインサイドセールスの意義を勉強して理解し、スタッフに説明していくことが大切です。

 

立ち上げる際の注意点

いざインサイドセールスを立ち上げることになった際には気をつけるべきポイントがあります。スムーズな立ち上げができるようにポイントをしっかりと確認しておきましょう。

商談や成約を得る前に営業においてリードの獲得は大きな課題です。リードの数と質が自社商品のファンや顧客になるための重要な要素になります。なるべく高い確度のリード獲得が最終的に成約率の向上につながるのです。

自社の顧客となる可能性のある見込み顧客の情報を集める方法には、広告の掲載、コンテンツを利用した資料請求やメールマガジン、セミナーや展示会で興味を持ってもらった人の情報を集める、などが挙げられます。

ウェブ広告は短期間で成果を出したい場合に有効ですが、一時的な掲載であるため、継続性がなく、費用を多く出すことができない場合にはあまり良策とはいえません。また、展示会やセミナーも集客にうまくいけば興味のあるユーザーを多く獲得できる機会につながりますが、開催にあたっては会場の準備や集客に多くの手間とコストがかかります。

一番おすすめできる手法は、ブログやSNSなどでのコンテンツマーケティングを活用した情報発信です。短期間で効果を得ることは難しいですが、継続して行うことで企業のブランディングにもつながり、長期的な集客ができるようになります。有益な情報を届けることで自社のファンとなってもらうようにすることが重要です。また、初期段階ではコンテンツマーケティングと広告などを組み合わせて、短期、長期のどちらも対策すると良いでしょう。

インサイドセールスを立ち上げる際に同時に導入したいのが、MASFACRMといった業務効率を上げるツールです。これらを活用することで、リード獲得から顧客管理といった業務を自動化して生産性の向上を見込むことができます。

次に目標設定の重要性についてです。インサイドセールスで契約までを一貫して行うことができる場合には成約数という一つのはっきりした指標がありますが、商談をフィールドセールスにトスアップする仕組みにしたい場合には、インサイドセールスの明確な目標を設定することが大切になります。例えば、電話やメールを用いたアプローチ数、商談アポイント率、商談アポイント数、制約率は数値化して可視化するようにしましょう。これによって極端に確度の低い案件がフィールドセールスにトスアップされるといったことが生じにくくなります。また、できるだけインサイドセールス内でクロージングまで行えるのが理想であり、フィールドセールスにおいて活躍していた人材をインサイドセールスに割り当てることでより効果を発揮できる可能性があります。

その他、業務の一部をマニュアル化することも重要です。社内スタッフによって対応が変化することが少なくなり、業務レベルを一定水準に保つことができます。例えばトークスクリプトや評価方法を統一することで、スタッフによる能力の差において大きなばらつきを防ぐことができるようになるでしょう。

 

海外の事例

海外のインサイドセールス

国土の広いアメリカで1960年頃からインサイドセールスは始まったとされていますが、リーマンショックを機により多くの企業がコストカットや効率化を求めて導入するようになりました。海外ではインサイドセールスによる取り組みが日本よりも以前から進んでいます。特にアメリカでは国の大きさゆえに、インサイドセールスに頼らないと一部の範囲でしか営業活動ができないからです。ここでは海外の導入事例について説明していきます。

米自動車メーカーのテスラ社は車という高額な商品にも関わらず、全ての業務をインサイドセールスで行っています。テスラは品質へのこだわりとコンテンツマーケティングやテレビCMなどを使った積極的な認知活動や、非対面でも顧客に理解、納得してもらえるような仕組み作りを行い、インサイドセールス内で数百万以上するような車の販売を完結できるようになりました。

Gray Falkonはアマゾンなどの通販会社における不正転売や偽造販売を防ぐためのコンサルティング企業です。アマゾンを販売の主戦場とするメーカー企業にとって、偽物や転売商品によって売り上げを落とすことは非常に大きな問題です。しかし、こうしたコンサルティングへの認知がなかったために、契約をとることが難しいという課題がありました。そこで、サービス認知から契約までの一連の流れを向上させるために、インサイドセールスを導入してリード獲得から契約につなげることができるようになりました。また、感謝祭やセールといった期間前により力を入れることで売り上げを10倍に伸ばすことに成功したのです。

 

まとめ

アメリカではリーマンショックを機に多くの企業でインサイドセールスの導入が始まりましたが、日本でもコロナ禍で三密を避けるために不要不急の外出ができなくなったことから、営業においても半強制的にインサイドセールスを導入する企業が増えてきました。

導入にあたってはさまざま注意点や目的の確認があり、導入後にも社内浸透などの課題が挙げられます。しかし、経営層が決意を持って取り組むことや、マニュアル化などの適切なアプローチを行うことで、売り上げ向上や効率化につながる手法であることは間違いありません。インサイドセールスを活用してさらなるビジネス拡大を目指してみるのはいかがでしょうか。

 

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Topics: デジタルマーケティング, インサイドセールス

伊藤孝介
執筆 伊藤孝介

セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。Webマーケティング・集客戦略をストーリーテーリングという手法を使って実践。マーケティング系ライター歴7年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。